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INTERVIEW

喜多村英梨

2017.09.20UPDATE

喜多村英梨

Interviewer:荒金 良介

喜多村英梨が早くもニュー・シングル『arcadia † paroniria』を発表。表題曲はゴシック風味のシンフォニック・メタルで、キタエリのメタル魂が炸裂! ヘヴィさと荘厳な雰囲気を併せ持った奥深い曲調に仕上がっている。それから一転、シャッフル調の「TiCK TACK」はハンドクラップを用いた豪華なパーティ・チューン。大人っぽいジャジー感も大きな聴きどころと言えるだろう。そして、通常盤のみ収録の「EDEN」は硬派なメタル・ナンバーでこちらも文句なしのかっこ良さ。移籍以降、音源とライヴを両輪に、活発に動き続けるキタエリに話を訊いた。

-今年は移籍第1弾作ミニ・アルバム(2017年3月リリースの『Revolution 【re:i】』)から、すでに今作で通算3作目の音源になりますけど、リリース・ラッシュですね?

はい。駆け抜けてはいるんですけど、それはトムス・ミュージックさんのおかげですね。ライヴ活動を早くしたかったので、ミニ・アルバム5曲に続いて、シングル2枚をリリースさせていただいて、ようやくフル・アルバムぐらいの曲数が溜まりましたからね。ライヴで同じ曲を何度もやることで、中毒性の高い曲だったと気づいてほしいし。新曲も、変わらぬ良さと取るのか、マイナー・チェンジと取るのか、大きな変化と取るのかはファンの方の自由なんですけど、自分の中では少しづつやりたいこと、可能性があることをちょい足ししてます。前作(2017年7月リリースのシングル『DiVE to GiG - K - AiM』)、そして、今回の『arcadia † paroniria』と、略して"アルパロ"と呼んでいるんですけど(笑)、そういう感じになってると思います。

-そういう意味では作品とライヴ活動は喜多村さんの中で連動している感じ?

そうですね。リリースして終了じゃなく、受け取った人たちがどう噛み砕いてくれるのか、それを見据えて物作りしてますからね。繰り返しやるライヴも、リリースする新曲もどちらも大事です。ミニ・アルバムを出したときに、キタエリ国歌のオハコにしたいと言っていた「バラユリxxxx」という楽曲があったんですけど、自分が作詞するなら、キタエリ節や私が書く意味を入れたかったから、聴く人が聴けばわかる空耳みたいな暗号を散りばめていたんです。それ以外の部分でも、8月にワンマンを恵比寿ザ・ガーデンホールでやらせていただいたとき(※8月19日に開催された"KiTAxERI ♦ CARNiVAL ♦ 2017 - re:birth -")に、4月のライヴ(※4月2日に開催された"Revolution【re:i】発売記念プレミアムライブ「零-rei」")のときよりも曲が育っていたので......何度も音源を聴き込んでくれているんだなと。その8月のワンマンでは「バラユリxxxx」を2回やったんですよ(笑)。"バラユリキリトリ"の歌詞はいつもその場に合わせて変えているんですけど、今回はどうしようかなと思って。私リハーサルをやってもすぐ忘れちゃうんですよ。

-そうなんですね(笑)。

これをやろうと思っても、パーッと飛ぶんですよね。タンメンとか意味ないことを言わせようと思ったのに、"キタエリ大好きでいいんじゃね?"とお客さんに言われたから、そうしようと(笑)。だから、また違う形でやれて良かったですね。作詞しているときに、そういう景色を見たいと思っていたから。

-なるほど。それで、今作も素晴しかったんですが、制作前に考えたことは?

今回の表題曲は自分で作詞をさせていただいたんですけど、そこで挑戦というか、コール&レスポンスや耳に残るキタエリ造語にポイントを置きました。楽曲はすごくヘヴィで、タム回しが激しい曲調にしてもらって、静と動の棲み分けも明確なサウンドにできたら、また違う魅せ方ができるなと。なので、自分のことよりも、架空のおとぎ話、妄想癖少女というのは私の代名詞でもありますけど(笑)、作り込んだ世界観の詞にしようと意識しました。激しくてオイオイ! するだけじゃない、大人の激しさを表現できたらいいなと。8月のワンマンでこの曲を初解禁させてもらったんですけど、これからライヴでどんな景色が見れるのか楽しみですね。

-「TiCK TACK」は違いますけど、今作はメタル色が強くなってますよね?

これもあれもそれも全部私というか、前のめりな制作態度は変わらないけど、前作はテクノ・ポップな方向だけに振り切らず、ちゃんと楽器の音も聴こえるようにしたんですよ。王道のメジャー・コードの4つ打ちで、どれだけ強気なパリピ曲にできるかなって。今回も曲によって、ちゃんと仮面を被れるかどうか、それは考えました。そういう意味で前作と今作のメリハリは作戦通りですね。重たい楽曲の中にもシャッフル調の「TiCK TACK」みたいな曲を入れて、秋だからこそ大人っぽい曲も入れたくて。いろんなニュアンスの声素材が、オケの一部としても成り立つ。それをこのシングルではやりたかったから、メタルとラウドな楽器の中に、毒抜きじゃないけど、双方が良く聴こえるような凹凸をつけたくて。1枚通して、秋の喜多村の物語として聴けると思います。

-「TiCK TACK」があるからこそ、喜多村さんの中にあるメタル魂もドーンと出せた?

「arcadia † paroniria」と「EDEN」は激しいんだけど、静と動みたいな歌い方をしているんですよ。「EDEN」は汗びっしょりになりながら歌っているし、気分はジャンヌ・ダルクじゃないけど、闘いに行く女みたいな気持ちなんです。「arcadia † paroniria」はオケ隊を背負って、神格化した自分を見せられたらいいと思ってます。北欧メタルでもヴォーカルはスーッと歌っているのに、バックは激しいみたいな楽曲がたくさんあるじゃないですか。それをやりたかったんですよ。だから、同じカテゴライズでも赤と青ぐらいヴォーカルは違うんじゃないかと。

-えぇ。「arcadia † paroniria」は喜多村さんが好きなゴシック・メタルのUNSUNとか、あのへんのイメージですか?

そうですね。ウィズイン(WITHIN TEMPTATION)、NIGHTWISHとか。この曲で重視したのは、ストリングスをつけるとクラシカルっぽくなるんだけど、クワイア・コーラスでミサ感やゴシック感を入れたかったんですよ。それはそういうアーティストからの影響が表れてますね。EPICAも好きな曲はクワイアが入ったものが多くて。