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INTERVIEW

喜多村英梨

2017.09.20UPDATE

喜多村英梨

Interviewer:荒金 良介

-EPICAの『The Holographic Principle』は合唱隊や生オーケストラを導入したゴージャスな仕上がりですもんね。

すごいですよね。今回はジャケ写のとおり、理想と幻想というか、私ではない何者かの集団がクワイアしてる。それはテーマにありました。やっぱり秋ですからね。

-全部、そこなんですね(笑)。

はははは(笑)。春や夏は躍動感があって、軽いイメージがあるけど。秋や冬はウェットでどっしりした感じで、秋は特に好きな季節なんですよ。それも自分の中で大切にしたい感覚なんです。春、夏がパステル・カラーで、秋、冬はゴールド、ラメとかゴージャスになるじゃないですか。歌とファッションも自分の中で繋がっているし、「arcadia † paroniria」はいろいろと目指すところが合致したんですよね。声優でもこういう音が好きなんだよ、やれるんだよ、というところを見せたくて。この曲の間奏も曲の間奏も、声優の方って短くしがちなんですけど、私は"短い!"と言っちゃう方で、極限までテクニカルなことをやってほしいなと。

-インスト・パートも聴き応えがありました。

ライヴで手持ち無沙汰になるけど、そこは陶酔してればいいかなって。女性の声優の方では持ち込まない音の世界になったんじゃないか、という優越感に浸れますね(笑)。

-「arcadia † paroniria」ではゴシック感を入れたかった?

恐すぎてきれい、みたいな世界も表現したかったから。芸術の秋だし、サグラダ・ファミリアみたいな感じで。

-いきなりそこですか。

はははは(笑)。行ったことはないんですけど、ネット・サーフィンして、世界の寺院とか画像検索するのが好きなんですよ。あと、イギリスの墓地とかも好きなんです。雨のなかで黒いベールを被って傘を差して立ってる未亡人の画が好きで(笑)。ひとつの映画の風景のように見えるし、メタルっぽく見えるじゃないですか。この曲は語りから始まる歌詞を含めて、手の届くはずがない幻想を追っている夢遊病の子の曲なんですよね。アウトロは男性の声で英語の語りも入れてるんですけど、そこはこの曲の作曲者でもあるマチゲリータさんに参加してもらったんですよ。その語りではとある女の子がいたという内容で、おとぎ話チックな仕掛けも入れてます。

-確かにここに登場する主人公は愛を欲しているんだけど、それを自分から掴みにいくのではなく、待っているというシチュエーションですよね。

はい、夢の中に逃げている子で、寝床でああだったらいいなぁ、こうだったらいいなぁと思いながら、寝落ちしているようなイメージですね。

-「TiCK TACK」は先ほども話に出ましたが、クラップを導入した華やかな曲調ですね。

シャッフルでジャジーな......秋といえば、大人、ジャズみたいなイメージがあって(笑)。作品の中にも、ちゃんと表情があった方がいいから。そこは声優だからなのか、ずっと同じテンションで怒るよりも、泣いてみたり、笑ってみたりの方が、皆さんに魅力を持ってもらえるかなと。そこは喜多村として大事にしたい部分なので。シャッフルは......ポジティヴな言い方ですけど、声優ファンの方はついてこれないです!

-はっきり言い切ってます(笑)。

喜多村だからこそ、アダルティというより、コケティッシュというか。"ベティちゃん"っているじゃないですか。生々しいエロさはないけど、セクシーなシンボルというか、あの華奢かわいい感じをシャッフルでやれたらいいなと。この曲では"コケティッシュかわいい"をやりたかったんですよ。作曲者の永井正道さんが「+×+×+ 荊棘 +×+×+」というバラード(『DiVE to GiG - K - AiM』収録曲)も作ってくれたり、私のツボを理解してくださっているのか、作詞したくなるフレーズをつけてくれるんですよ。オールディーズとは言わないけど、そういう歌詞を乗せられたかなと。「TiCK TACK」の歌詞は実はチークタイムとチクタクをかけてるんですよ。求愛なのか、みんなで楽しむ曲と捉えるのかは自由なんですけど......コケティッシュかわいい曲にできたなと。あと、この曲名はどういう楽曲なの? って、聴く人のイメージも膨らむかなと思って。

-わかりました。そして、通常盤のみ収録の「EDEN」もすごくいい曲ですね! この曲を表題曲にして、もう1枚シングル出せるぐらいのクオリティで。

ですよね。男性が歌ってもかっこいい曲だなと思ったので、男性にも負けたくない! と思って、レコーディングしました。スマホアプリ"キングズディセント"の主題歌にもなりまして、力がある楽曲だなと。あと、今までありそうでなかったというか、ライヴ映えするだろうし、聴き応えもありますからね。今の時代にも刺さりそうな、王道なデジコアに仕上がったかなと。ストリングスも鳴っているけど、一緒に拳を振り上げたり、一緒に歌える曲になってますからね。サビも弾けているから、アニメのオープニング曲にもハマりそうだし、気に入ってもらえるかなと思います。

-中盤過ぎに急にダークになり、メロスピ調に展開する流れもかっこ良かったです。では、今後の予定を教えてもらえますか?

10月28日にかつしかシンフォニーヒルズモーツァルトホールで、今作を引っ提げたライヴをさせていただいて、そこで新しい情報解禁も控えてます。またよろしくお願いします!