MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

CRY VENOM

2017.04.19UPDATE

2017年04月号掲載

CRY VENOM

Member:Jacky Vincent(Gt)

Interviewer:山本 真由

元FALLING IN REVERSEのギタリスト Jacky Vincentが新たに結成した、ネオ・パワー・メタル・バンド CRY VENOM。彼らのデビュー・アルバム『Vanquish The Demon』が、ついにここ日本でもリリースされる。80'sメタルの泥臭さと最先端のEDMを見事に融合させ、様々なジャンルの壁を超えたまったく新しいメタル・サウンドをクリエイトしたJacky Vincentに、バンドの成り立ちとそのサウンドに影響を与えた様々な要素について語ってもらった。

-FALLING IN REVERSEのギタリストとして活躍したJacky Vincentを中心に結成されたバンドのようですが、他のメンバーの経歴についても簡単にご紹介お願いします。

俺たちの出会いと始まりについて簡単に説明するよ。俺自身は昔からパワー・メタルが大好きだけど、ジャズやフュージョン、クラシックも大好きで、様々なジャンルを聴いてきたんだ。あらゆる音楽の要素をミックスしたパワフルな音楽がやりたいと思ってきた。そして、俺がまだFALLING IN REVERSEにいたころのことなんだけど、あるとき飲みに行って、一緒にツアーに出ていたバンドのツアー・マネージャーのJustinという奴と話していた。"パワー・メタルのバンドをやりたい"なんて言ってたら意気投合してさ。日本ではどうかわからないけど、アメリカやイギリスではパワー・メタルをやりたいなんて人は稀なんだ。そうしたら、"俺のいとこがクラシック・ピアノの教育を受けていて、キーボードをやっているんだけど"なんて言うんだ。最初はあまり乗り気じゃなかったけど、写真を見せてくれた。電話番号をくれて"電話してみれば?"って。ビデオを見たらピンときたものがあったから、すぐテキスト・メールを送ったんだ。"こんにちは、Jackyと言います。FALLING IN REVERSEというバンドをやっています。新しいバンドをやろうと思っていて、キーボード奏者を探しています"ってね。そうやってColton(Majors)と出会ったんだ。あいつと俺は聴いてきた音楽が似ているからすぐに意気投合したよ。DRAGONFORCEやGALNERYUS、SYMPHONY Xなんかを聴いてきたからね。それからパンク・バンドの趣味も合ったんだ。AFIとかね。ふたりともパンクやハードコアが好きなんだ。それと、ふたりともエレクトロニック・ミュージックも大好きだから、そっちでも気が合った。とにかく音楽のテイストが一致したんだよね。映画やアニメ、ビデオ・ゲームまで同じものが好きなんだ。

-まるで音楽的な双子ですね。

(笑)そんな感じかなぁ。まぁ似ていない面もあって、俺はジャズやフュージョンも好きなんだ。あいつもその手の音楽をリスペクトしているとは思うけど、俺ほど聴いているかどうかはわからないな。でも、ほとんど同じような音楽的テイストだと思う。で、俺はあいつに"パワー・メタル・バンドをやろうと思うんだけど、エレクトロニックな要素も取り入れたい"と言ったんだ。そういうことをやった人は今までいなかった気がするし、誰も踏み入れていない領域なんじゃないかって。それで、俺とColin(Colton)でアイディアを話し合い始めたんだ。そのあと、FALLING IN REVERSEは"Warped Tour"のヘッドライナーを務めた。2014年のことだ。"Warped Tour"ではショーのあと、毎回バーベキューがあるんだけど、そこで出会ったのがベースのNiko Geminiだった。実はあいつはツアーに参加していなかったんだけど、なぜか潜り込んだんだよね。たぶん柵を乗り越えてきたんじゃないかな(笑)。あいつは俺が誰だか知っていた。俺のところに来て、"君のギター・プレイ、良かったね"と言ってくれたんだ。俺がInstagramに載せたGALNERYUSのSyuとの写真を見たって言ってた。俺が"GALNERYUSがヒーローのひとつなんだ"って言ったら、"俺もGALNERYUSが好きだ"って言うんだ。そこから話が始まった。"バンドを始めるんだ"と言って、そのとき作っていたものを聴かせたら、あいつも自分が作っているものを聴かてくれた。あいつが作っていた音楽は、まさに俺が作っていたものだった。あいつもいろんな要素を組み合わせていたんだ。"なんて偶然なんだ!"と思ったよ。それで俺たちは3人になった。それから今度はシンガー探しだ。でもアメリカでは見つからなかった。若い世代はスクリーモやハードコアばかりだからね。BLINK-182みたいな声の奴とかさ(笑)。ああいうのもクールだし俺は好きだけど、俺はパワー・メタルを本格的に歌える奴を探していたんだ。

-ハイトーンの・・・・・・。

そう、ハイトーンで歌えて、パワフルな奴をね。今主流になっているタイプじゃないヴォーカルが欲しかった。もちろん今主流のタイプもクールだけど、IRON MAIDENっぽいのが歌えるような奴がよかったんだ。そうしたらNikoが"ロシアにいる親友がすごいシンガーなんだ"って言う。そうしてAleksey(Smirnov)に出会った。あいつはNikoの子供時代からの親友だったんだ。"でもロシアに住んでるんだろう? どうやって連れてくるんだ? 不可能じゃないのか?"なんて話にはなったけど、"不可能だとしても構うもんか。連れてくるんだ"ってことになった。それぐらいすごい才能がある奴なんだ。あいつはポップスをやっていたんだけどね。ともあれなんとかアメリカに連れてくることができて、1stアルバム『Vanquish The Demon』の制作に取り組み始めた。たくさんのデモを作ったよ。さらにそのころ、Wyatt(Cooper)という男から"ドラマーいらない? ドラマーいらない?"なんてしょっちゅうメールが来ていた。あいつはFALLING IN REVERSEのファンだったんだ。最初は無視していた(笑)。だけどあるとき、"実はドラマーが必要なんだ。お前が演奏しているビデオを送ってくれ"と返事した。そうしたらすごくハードな曲を演奏しているビデオをよこしてきたんだ。とても感心したよ。俺はドラマーじゃないからあまりよくわからないけど・・・・・・もちろんリズムがどうとかそういうのはわかるけど、詳しいことはよくわからないから、俺にはクールに聞こえるけどどうかなと思って、ドラマーの友達に"このドラマーどう思う? 上手いと思う?"って見せたんだ。そうしたら"すごいよ。ハードに叩けるし"って言うから、"わかった"と言った。それまでにあいつとは話していて、人となりも気に入っていたから、"叩きにおいでよ。そこから始めよう"と誘ったら来てくれた。Wyattとはそうやって友達になったんだ。そして、みんなもあいつを心から気に入った。それでバンドに加入したんだ。そうやって全員が揃った。音楽的なバックグラウンドはパンクだったりメタルだったりいろいろだけどね。WyattはAVENGED SEVENFOLDの大ファンなんだ。だからああいう音楽も大好きだけど、パンクやハードコアも大好きだね。Alekseyはポップスがバックグラウンドだけどメタルも大好きなんだ。Colinは俺とまったく同じで、アグレッシヴなメタルやプログレッシヴ・メタルが好き。あいつはDREAM THEATERが大好きだね。俺はジャズやフュージョンが好きで、エレクトロニック・ミュージックも好きだし、パワー・メタルも大好きだ。・・・・・・Nikoは何でも好きだね。でも全員メロディックな音楽が好きだから一緒になった。・・・・・・って長い答えになっちゃったけど(笑)、バックグラウンドはそんなところだね。

-ありがとうございます。そういうメンバーが集まったからこそ、1stアルバムにして個性的な音楽性がすでにあるのですね。CRY VENOMの音楽性は、ネオ・パワー・メタルとも言われる独特なものですが、80'sメタルの泥臭さもありつつ、EDMも取り入れています。そういう音楽ができたのも自然の流れだったのかもしれませんね。

そうだね。このバンドの構想を誰にも言っていなかったころ、何年も前から、エレクトロニックなものとパワー・メタルを融合させるという夢があったんだ。というのも、音楽のビートが似ていると思うんだよね。みんな気づいていないけど。パワー・メタルのビートはこんな感じで(と机や身体を叩いてビートを鳴らす)・・・・・・エレクトロニックのビートはこんな感じ(同じく机や身体を叩いてビートを鳴らす)だろう? 拍動が似ているんだ。

-たしかに! 気づきませんでした。

コード進行も同じなんだ。違いはビートのタイプだけ。エレクトロニックの場合は電子音だからね。じゃあ使ってみたらいいんじゃないか? と思った。同じ世界に共存させたらいいじゃないかってね。

-今説明されて、目が開いた感じがします。もともとふたつのジャンルには共通点があるんですね。

まぁ、音楽には12音しかないからね。少なくとも西洋音楽には。だから同じコード進行を何度も何度も使い回している。今はマッシュアップなんかでいろんな音楽を組み合わせることがあるけど、ああいうのってクールだよね。ジグソーパズルのピースを組み合わせているような感覚で、いつだって音楽を作ることができるんだ。