INTERVIEW
Vorchaos
2017.02.07UPDATE
2017年02月号掲載
Member:淳(Vo) yuzo(Gt) Kaz(Gt) Fuji(Ba) Masashi“USHI”Ushijima(Dr)
Interviewer:米沢 彰
Vorchaosの名前のとおり、あらゆるヘヴィ・ミュージックを呑み込み、カオスの渦に引きずり込むような音楽性をベースに、日本語詞を多用し聴く者の脳にメッセージを直接届けるかのようなダイレクトな感覚を融合させた、今までありそうでなかったスタイルを提示する彼らのデビュー・アルバムとその成り立ちに迫る、初インタビュー。
-初めてのインタビューになりますので、まずは結成の経緯からうかがえますか?
Kaz:以前から、僕とギターのyuzoが別のバンドでよく対バンしてまして。それがきっかけでギター同士仲良くなって、ちょうどそのタイミングで"THRASH DOMINATION"(※スラッシュ・メタルのイベント)があったのでふたりで遊びに行って、僕はTESTAMENTでグルグル回りつつ、彼は......。
yuzo:その風を浴びつつ。
一同:(笑)
yuzo:ちょうどPaul BostaphがTESTAMENTにいたときで、彼が投げたスティックをバッとキャッチしたっていう思い出を一緒に共有したときです(笑)。
Kaz:僕が回ってる間にyuzoはスティックをゲットしてて、"何それ!? 俺回ってたから知らない......"っていう(笑)。そこで仲良くなり、一緒に飲みに行ったりもしてたんです。そのときはまだヴォーカルがいなかったので、キャッチーな歌を歌いながらシャウトもできて、且つステージングが派手で一緒にステップアップしていけるような、そういうヴォーカルを探そうって思っていて。そこで友達に"ライヴがあるから一緒に行こう"って言われて行ったライヴで歌ってたのが、ヴォーカルの淳で。"お! この人にしよう!"って思って声を掛けて、たまたま住んでるところの最寄駅が一緒だったので、なかば強引に飲みに連れて行き(笑)。それで、前のメンバーも含めて5人揃ったので、活動をスタートしました。
-それが何年ごろですか?
Kaz:それが2010年ですね。初めて集まったときが2009年の春か夏くらいかな。それから最初はスタジオで曲作りをしながらデモを作って、2010年6月6日の初ライヴまでの準備を整えて。初ライヴのあとは、10月にLOUDNESSの樋口宗孝さんの追悼イベントのオープニング・アクトに決まっていたので、急でしたけどバンドを一気に固めて、そこから活動をスタートしました。その後、ドラムとベースが同時期に変わって、そこでドラムのUSHI(Masashi"USHI"Ushijima)とベースのFujiがバンドに合流して、今の体制になったのが2012年です。それからVorchaosとして作品を作ろうということになってレコーディングに入って、インディーズでの1stアルバム『Vortex of chaos』(2013年リリース)を作って、そこから今のVorchaosの歴史がスタートしました。
-バンド名は活動を開始したときから決まってたんですか?
Kaz:はい、決まってました。
-"Vorchaos"というバンド名はシンプルな造語ですが、どういった経緯でつけた名前なのでしょうか?
Kaz:"chaos"って言葉がまず最初にあったんですが"chaos"だけだとちょっと弱いし、"じゃあ何がchaosなんだ?"ってみんなで考えたときに、ニ面性とか、渦とか、混沌としてるっていう言葉とか、いろいろなワードが出てきて。それらをひとつにするとしたらってことで"Vortex of chaos(混沌の渦)"っていう言葉が出てきたんですけど、ちょっと長いっていうのと、オリジナリティを出したいという意味も込めてキュッとくっつけて、"Vorchaos"になりました。
-今作を聴かせていただいて、歌い回しや日本語詞が非常に大きな特徴だと思いました。洋楽的なものよりもV系のノリが強く感じられるのですが、実際はいかがですか?
淳:各メンバーのルーツはみんなバラバラで。僕はもともとL'Arc~en~Cielあたりから入ったんですけど、"歌っていうものはどうあるべきなんだろう?"とか"感情表現ってどうしたらもっと届くだろう?"ってことをずっと考えていて、日本語でシャウトしながらなるべく聴き取りやすく、なおかつダサくなりすぎずに歌っぽくなるところを追求してきて、現状のような感じになっています。なので、メタルメタルしたグロウルやシャウトも入ってますし、メロっぽく歌ってる部分に関しては、よりメロディや気持ちの部分もすごく大事にしてるので、そういう部分が目立ってきてるのかもしれないですね。
-日本語詞でも歌詞を追わないとわからない歌い方のバンドも多いですが、それとは逆に、なんとなく聴いてるだけでも直接言葉が頭に入ってくるくらいすごく聴き取りやすいというか、わかりやすい歌い方をしてるなっていうのは、すごく感じました。
淳:ありがたいですね。実は、どストレートにいきすぎて戻した部分も少しあったんですけど。歌としてのカッコよさと、伝えたいワードや大事なワードが"メタル"という基盤があるなかでどこまで届けられるのかという部分で......。ライヴだと身振り手振りもありますけど、CDだと音しかないので。そこも意識はしてますね。
-なるほど。曲名にも日本語が多いというのも特徴的だと思いました。アルファベット表記でも元は日本語のものもあって、これも面白いですよね。
淳:曲名は、みんなで考えたり案を出し合って決まったりっていうことが多いんですけど、やっぱり日本のバンドっていうのもありつつ、わかりやすくはありたいんですよね。わかりづらいとどうしても残らないし、英語の中でも日本人が見てわかりやすいものが一番いいかなと思うので。そういうところで、シンプルにはしてます。
-音楽的には非常に広くて、まさに"chaos"な印象を強く感じました。みなさんそれぞれの影響を受けたアーティストや今に至る軌跡などをうかがえればと思います。
yuzo:私はメタルが基盤になっていて、もちろんJ-POPとかバラードとかも聴いてきたんですけど、根づいているのはもう、ひたすらメタルですね。で、自分がこのバンドに織り交ぜているのもメタル要素が強くて。日本だとインディーズのころの初期のXとか『ポルノ・スター』(2001年リリースの7thシングル)を出したころのsadsとかの影響がとても大きく、洋楽のメタルはSLAYERとか、デス・メタル系でいったらVADER、BEHEMOTHとか、あとはTHE HAUNTEDとかあのへんの音楽がそもそも好きで、リフがとても勉強になるし、そういうのがヒントになっているというのはありますね。あとは、和の感じだと人間椅子とかも。いろんなテイストは幅広くあるんですけど、ベースはハード・ロック/ヘヴィ・メタルです。
Fuji:もともとずっと教会に行ってまして、そこで中高生とかが集まって"バンドの生演奏で歌いましょう"みたいなのがあったんです。そのときに、"あ、カッコいい! ベースやりたい!"って言って、当時そこでベース弾いてたお兄ちゃんに"教えて!"って言って、借りたのがDEEP PURPLEとかXとかNIRVANAとかで。なので、本当にそこからがスタートなんです。それから自分で掘り下げて、いわゆる"これは聴いとけ!"みたいなものはひととおり聴いてたんですけど、特にハマッたのがXと黒夢で、バンドを組み始めた高校のころによりメタル要素が強くなり始めたのは、DREAM THEATERに出会ってからだったんです。それからバンドをやりつつも、エレクトロとかアンビエント、ノイズ、環境音楽みたいなコンピューター音楽の方にシフトして、"Björkになりたい"みたいな時期もありました(笑)。このバンドには途中加入したんですけど、昔、Vorchaosと対バンで会ったことがあって。そのときにやってたのは、モロにブラック・メタルだったんですけど、そこらへんから海外のメタル寄りになってましたね。
Kaz:僕はもともと、Carlos Santanaが好きで。Eric Clapton、Stevie Ray Vaughan、Larry Carltonから、R&Bとかファンクとかブルースまで聴いていたんですけど、18歳のときにギターを始めたら、アンプで歪んだ音を出すのが好きだったので。そこから、じゃあそういう音楽ってどういうジャンルなのよってことで、ハード・ロック/ヘヴィ・メタルの方にいきまして。TRIVIUM、BULLET FOR MY VALENTINE、AVENGED SEVENFOLDとか、KILLSWITCH ENGAGEも好きですし、あとMETALLICAは本当にすごく好きでしたね。そういうところから、ラウドなメタルという音楽に入っていって。サウンドとかギターのリフとしてはメタルが好きなんですけど、音楽としてはSANTANAやEric Claptonとかが好きで。相反するところなんですが(笑)。歪んだラウドな音を出しながら、雰囲気としてはそういうプレイも両立させることができるんじゃないかと思ってやっていますね。
-ずいぶんややこしいですね(笑)。
Fuji:そうですね、ややこしいっす(笑)。