MENU

激ロック | ラウドロック ポータルサイト

INTERVIEW

OSIRIS

2016.10.19UPDATE

2016年11月号掲載

OSIRIS

Member:小林 正典(Vo/高良 京)

Interviewer:沖 さやこ

-小林さんはアニマックス主催の第4回"全日本アニソングランプリ"(※2010年開催)にて審査員特別賞を受賞したことがきっかけで歌手/声優の世界に入ったそうですね。

もともとアニメが好きだったので、ほぼ毎日家でアニマックスを観ていて。そこで"アニソングランプリ"の詳細を知って、知人が"ちょっと応募してみなよ"と言ってくれたのが応募のきっかけでした。それまで歌うことは趣味の一環だったんですけど、この世界に入ってからは歌に対しての価値観や考え方が180度くらいガラッと変わって――歌に限らず、すべてのことを突き詰めたくなってきたんです。自分のアンテナを張って、いろんなことに興味を持つようになってから聴き取れる音の幅も広がりましたし、歌える音域も変わりました。"自分はまだこんなふうに変われるんだ"と感じられたんです。

-"アニソングランプリ"で受賞する前から音楽活動はしていたんですか?

大学時代にちょっとだけバンドを組んでました。当時、僕の世代では洋楽ロックがすごく流行っていて、MR.BIGやU2のコピーをやっていましたね。音楽に興味を持ってからずーっと聴いているのはL'Arc~en~Cielです。あとは世代的にGLAY、LUNA SEAあたりのバンドはほぼ通ってきました。

-小林さんはスマートフォン・アプリ用リズム・ゲーム"バンドやろうぜ!"の劇中バンド OSIRISのヴォーカリストである高良 京の声優として参加し、OSIRISの歌唱も担当しています。そしてOSIRISは2016年9月にシングル『Voice』をリリースしました。まず、どういう経緯でこのお話があったのでしょうか。

最初はオーディションですね。そのときにデモ段階の「Voice」(Track.1)を聴いて"これはいい曲だ、歌いたい!"と思って。僕がずっとバンドの音楽が好きというのもあって、すごくやりたかったお仕事だったので、正式にお話をいただいたときに"きたー!!"と思いましたね。OSIRISはちょっとヴィジュアル系に近いダークな曲が多いので、本当に好みのど真ん中だったんです。それに加えて、"バンドやろうぜ!"のプロデューサーである足立(和紀)さんが"音楽がメインのゲームにしたい"とずーっとおっしゃっていたんですけど、その言葉のとおりOSIRISでできあがっていく曲にまったく手抜きを感じなかったので、"どこまでも音楽を追求していくんだな"と思いました。実際にレコーディングでもまったく手を抜かずにやってくださるので、それがものすごく嬉しくて。もちろん音楽がいいだけでなく、ストーリーも面白いし声優さんも腕のある方々が揃っているので、ゲーム自体がリリースされるのも本当に楽しみなんです。

-OSIRISはライヴ活動を精力的に行い、その中でメジャー・デビューが決まるも、様々なことが重なってその話がなくなり解散寸前まで陥る。だけどそれを乗り越えて再びメジャー・デビューを目指すというバンドですが、小林さんにはOSIRISというバンドはどのように映っていますか?

インディーズ時代からちゃんと経験を積み重ねて......と段階を踏んでいくのは、とても理想的な活動だと思います。OSIRISは崩壊寸前の状態からストーリーが始まるので、今後それがどうなっていくかも期待していてほしいですね。いきなり1万人の前でライヴをする、みたいなシンデレラ・ストーリーは、僕個人は"積み上げてきた経験がない状態でその場所に行ってもあまりいいものはできないだろうな"と思うし、あまり惹かれないから。

-私には"アニソングランプリ"で賞を受賞した小林さんもシンデレラ・ストーリーの主人公だと思えるのですが。

そうですか? もちろんすごく運はいいと思うし、人との出会いも恵まれていると思うんですけど、僕は自分ではあんまり――変な話、"選ばれた"という感覚がずっとないままなんですよ。OSIRISに関してもオーディションを受けて、受かって、と段階を踏んでいるし、これまで一気に階段をすっ飛ばした感覚もないので。......それは自分に自信がないからかも。人に見られるのが怖いので、ステージに出るまでは出るのが嫌なくらいビビッてます(笑)。小心者だし、人前に立って何かをするなんてことはできないはずの性格なんですけど、歌うとなるとスイッチが入るので何も思わなくなります。

-声優としての活動と歌手としての活動で通ずる部分はありますか?

OSIRISでは、歌うことに関しても"演じる"ことを考えますね。そのままの僕では歌わないようにしています。高良 京として歌うときは、レコーディングでもライヴでも勝手に京ちゃんのスイッチが入るんですよね。京ちゃんは"自分の気持ちを歌でしか伝えられない"、 "人と喋ることが苦手"というキャラクターなんですけど、僕もお喋りが苦手だからライヴのMCは本当にいつも"あぁ、何を喋ろう......"と悩んでしまって(笑)。だから高良 京として歌うときは"伝えたいことは歌に込めよう"と思いながら歌っていますね。歌もそうですけどお芝居も修業中なので、京ちゃんと一緒に成長できたらいいなと思ってます。

課題をクリアしていく過程が楽しいし
それ乗り越えたときに自分のレベルアップを感じられる

-"バンドやろうぜ!"で最初に現実世界で活動するリアルなバンドとして動き出したのはOSIRISですよね。定期的にライヴを行って、"精力的なライヴ活動を行ってきた"という設定に則った動き方も面白いと思いました。

最初にライヴの話があったときは1ヶ月に1回やるかやらないかくらいだと想像していたので、こんなにも頻繁に活動させていただけるとは思ってなくて。僕としては歌える場がもらえてとても嬉しいんですけど、ここまでやるというのは想像以上でしたね。OSIRISのライヴは本当に楽しいんです。自分がすごく好きなテイストの音楽がやれることもそうですし、一番嬉しいのは"バンドやろうぜ!"で僕のことを知ってくださった方々だけでなく、昔から応援してくれている方々に"今こういうことをやってるよ"というのを見せられることですね。あと、知らない人同士が仲良くなっていくのは、この仕事をするなかで一番見ていたい光景なので、ライヴハウスでそれが見られると"やった!"とニヤニヤしちゃいます(笑)。ライヴは基本的に同じメンバーでやっていて、メンバー同士も仲がいいので嬉しいですね。まさかこうやって自分がバンドを組めるとも思っていなかったので、"バンドやろうぜ!"は本当にいい出会いでした。

-ライヴはもう何回もやっていらっしゃいますし、成長の手応えを感じられている部分もあるのでは?

手応えかー......。手応えというよりは、やればやるほど課題が見つかるので、それをクリアしていく感じですね。調子に乗っていると思われるかもしれないですけど、僕はデビューしてから歌に関して全然否定されてこなくて、"本当はもっといろいろけちょんけちょんにされて、それに対してクソ! と思って這い上がりたいタイプなのに! 俺は本当にこれでいいのか?"と思いながら過ごしてきたんです。でも、"バンドやろうぜ!"はお芝居に関しても歌に関しても意見を言ってもらえるし、この前ライヴでも、とあるスタッフさんに指摘してもらって、それが嬉しすぎて笑っちゃいました(笑)。課題をクリアしていく過程が楽しいし、それを乗り越えたときに自分のレベルアップを感じられると思う。"バンドやろうぜ!"ではかなり鍛えさせてもらってますね。もう結構レコーディングを終えているんですけど、すごく難しい曲もあって。ライヴをやっていくなかで自分も腕を上げて、曲を成長させていけたらと思います。