INTERVIEW
RED PENCIL TEACHERS
2016.07.12UPDATE
2016年07月号掲載
Member:NAOKI(Vo) TAGIRU(Gt) MASAKI(Dr)
Interviewer:沖 さやこ
-「I am a sissy」はゴシップが好きな男の歌ですね。
NAOKI:1曲くらいはちゃんとタイトルと引っかかる歌詞を書かないとなと思って、"英語センテンス2000"からそういう嫌なやつをどんどん抜き出していって(笑)。俺たち自身がこういうやつに陰で悪く言われてる存在なのでね。
TAGIRU:陰じゃねえよ、思いっきり言われてるよ(笑)。逆にこれで評価を得ようとしてることが間違いだよ(笑)!
NAOKI:そっかそっか、言われてなんぼでした(笑)。歌詞に出てくる"棘山さん"はうちの事務の人間なんですけど、棘山さんがこれからの人生でモテていってくれればいいな~という希望を込めてポジティヴに未来に向かって、モテモテなチャラ男を描きました!
-「SINDBAD」はアパレルの店長代理の苦悩の歌。これはアパレル店員ならではのイントネーションの声も入って、かなり大胆なアレンジだと思いました。
TAGIRU:これがこのアルバムの中で一番古い曲ですね。去年の12月くらいにはできていたので。この曲の中のミックスでかなりこだわったのは、間奏の口うるさい店長の台詞をどれくらいディレイをかけるかでした。新入社員がトイレで"ああ、売らなきゃ......"みたいな感じで頭を抱えているのが浮かぶようなディレイ感にしたかった。
MASAKI:世界史で喩えるならば、歴史を動かす大きな出来事の前の大統領が演説をするときの緊迫感ですね。
NAOKI:セリフに一番時間をかけました(笑)。アパレル店員経験のあるCLEEMというガールズ・ユニットのシンガーであるMIKUにお願いしたんですけど、録りも時間をかけましたしね。"もうちょっと悪い奴になってくれない?"って。
TAGIRU:みんな演奏も頑張って、ラストに入ってる一番かっこいいキメとかもめちゃくちゃ頑張ってるんですけど、そこにセリフががっつり被ってる! でもそれを聴いてみんな"よしよしよし! これでいいんだよ! 一生懸命頑張ったことを台無しにするために俺たちやってるんだろうな! これが人生だよ"と納得しちゃいましたね(笑)。10代のときなら絶対文句言ってると思うんですけど、この年齢にもなると"報われなさこそ人生だ"と。あそこ何回もクリックで確認してやり直してます(笑)。
-"世界がどうなって 誰かが泣いたって/私は目の前にある服を売らなきゃ"という歌詞も現代人の心の闇を描いているような気がします。
TAGIRU:後輩をいびってる人もいろんなものに追われてますからね。これこそが人生なんですよ。みんな背負ってるものがある。
NAOKI:そうだね。深いね......。そんな深い歌じゃないでしょ(笑)!
-今作は音のドラマチック度が増しているんですよね。加えて歌詞が一聴してもわかるものになっているのもあり、歌詞の物語に描かれている報われなさがより引き立つというか......。
NAOKI:いや~、ありがとうございます。もとの"教材"が良かったんでしょうね。僕らも今回いろんなバンドの新作を聴きましたから(笑)。
TAGIRU:ミックスのときに参考にさせてもらいました。"あ、全然ギターが出てない! こんなにギター出てなくていいんだ"と気づかされたし。音の流行りも変わったんだなと思いました。すごくギュッとしてる。びっくりしました。
NAOKI:コンプかけまくって、ダイナミクスがゼロみたいなね。異ジャンルなことをやっているので、ちゃんと正解を確認しておかないとなと(笑)。
-ラストのTrack.6「God of romance」は名バラードで、最近の某公式SNSの仕組みに関する歌という。
NAOKI:某公式SNSの自動返信のシステムを理解していない人たちが世の中に多いらしいんですよ。レコード会社にクレームが来るらしくて。実際僕も本業のグループで"あの日のメール嬉しかったです"と言われたことがあるんですよ。そういう勘違いが起こっていることを説明したいなと思ったんです。
-前作のバラード「Message」よりも歌に情感もこもっていると思いました。
NAOKI:この曲はいろいろ私怨も込めたので、怒りもありますね~。
TAGIRU:この曲は大サビがいいですよね。無理矢理"twitter LINE facebook instagram and more..."と最後の一行に集約されてて。あとメロがいい。洋メロだよね。BON JOVIかな?と思った(笑)。だから俺、"Richie Samboraだったらどう弾くかな......"と考えてAメロはBON JOVI聴いたあとに録りました。すぐバレましたけど(笑)。
NAOKI:一瞬で"BON JOVIみてぇだな! Sambora!"って言いましたけどね(笑)。
-また濃厚な教材が完成しましたね。
TAGIRU:音楽好きなんだな、というのが伝わればいいですね(笑)。楽しんでやってる。
NAOKI:こんな楽しんでる人たちあんまりいないだろうなと思います(笑)。成功されている方々はどう過去作を乗り越えるか葛藤していると思うんですけど、我々はまだ成功していないので。
TAGIRU:作曲家の仕事もレコーディングの合間に入ったりしてたんですけど、その仕事から楽しい方へ楽しい方へ......という感じでこのレコーディングをしてました(笑)。
-みなさんにとっても赤えんぴつ先生の活動はいい刺激になっていると。今後ふざけた歌詞以外を書く予定はあるんですか?
NAOKI:どうですかね? ぶっちゃけ成功してないんで何でもやります(笑)!
TAGIRU:でも話題になるまではひたすら今のスタイルでやり続けようと思います(笑)。楽しんでやってるけどこだわりも強いんですよね。作ったものをちょっと壊して出す、という雰囲気でずっとやっている。そういう不完全なところとか、ちょっとのことで台無しにしちゃう感じでやったほうが次に繋がりますしね。
NAOKI:今は機械が進化して完璧なものはできあがっていくわけだけど、それでもやっぱり人間の不完全さみたいなところが美しい。それが我々の教材の一番伝えたいところかなと。......ほんとに(笑)!?
MASAKI:反面教師ってことですよね。完璧な人なんていないから。
NAOKI:そうそう。完璧じゃなくていいんですよ。これだけ世の中には失敗している人たちがいる(笑)。"俺の今日の失敗なんてこの人に比べれば......"みたいに、そういうところで勇気づけられてくれればいいなと。かっこよくておかしければOK。それって全然かっこよくないんだけどね(笑)。
TAGIRU:(笑)レコード会社の人も"面白いね"と今のスタイルを理解してくれているしね。作ったものを大事にしすぎたくない。そういう遊びがあってこそ"音楽って楽しいな"と思えるんですよね。