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INTERVIEW

ANTHEM

2015.10.22UPDATE

2015年10月号掲載

ANTHEM

Member:柴田 直人(Ba)

Interviewer:荒金 良介

-ほぼ聴いてませんか?

聴かなかったですね。特に『DOMESTIC BOOTY』には2001年に再結成したANTHEMの色合いがはっきり出てるんですよ。あぁ、やっぱり繋がっているんだなと。それは僕だけじゃなくて、メンバー全員が言ってましたね。

-30年間バンドを続けること自体が奇跡的ですけど、こういう機会でもないと振り返ることはないですよね。ルーツの再確認という意味では、柴田さんの中では6、7枚目のアルバムでそれぞれ違いはあります?

自分が見て聴いて想像して、子供のころに培った感覚をフル活用してバンドをやっていたんだなと思いましたね。それはプログレッシヴ・ロックが好きだった名残りとか、LED ZEPPELIN、DEEP PURPLEのようなエッセンス、僕はもともとフォーク・ソング上がりなので四畳半フォークに近いようなメロディやコード進行とか......日本のポップス、海外のポップスも大好きなんですよ。ロックに夢中になる前はポップスが好きで、CARPENTERS、日本で言うとチューリップや井上陽水に本当に憧れて育ったんです。だから、純粋に洋楽だけをお手本にしたメタルとは違って、誤解を恐れずに言えば、1stアルバムから解散する7枚目のアルバムまでは"これぞジャパメタ"みたいなものがあるんですよ。

-ああ、なるほど。

最近は自分たちのカラーとして認識しているけど、改めて30年前に作ったものを聴いてもそれがあるんですよね。ベクトルは変わってないんですよ。自分の好み、当時のメンバーのキャラクターがうまく組み合わさって、ANTHEMになっていたんだなと。気恥ずかしいような、嬉しいような感覚ですね。

-そういう意味でいろんな発見があったと。

長い間やっていると、否が応にも客観的に自分がやってきたものを見るようになるんですね。30年の意味みたいなものを感じます。ただ、僕はこれから先の音楽に活かしたいという気持ちが強くて。これまでやってきたことも、さらなる創作意欲に結びつけないと意味がないですからね。

-たしかにそうですね。

今は刺激でも何でもいいから、とことん楽しもうと思ってます。味わい尽くすというかね。30周年を待っていたファン以上に、バンド・メンバーが1番楽しんでいるというか、1番突き刺さっている可能性はありますね。この1年の期待や興奮は必ず次の作品に反映されるだろうなと。いろんな企画を立ててくれたスタッフやレコード会社、コンサート会場に来て一心不乱に歌って応援してくれる方々を見ると、力が入りますよね。収録されているライヴ音源は荒々しい部分もあるんですけど、よほどのことがない限り、イジるのはやめようと。実はここで初めて話すんですけど、『NO SMOKE WITHOUT FIRE』の完全再現で1曲目の「SHADOW WALK」をやるときにお客さんがあまりに熱狂してるから、自分も興奮してしまって。チューニングしようと思ってチューニング・メーターを押したんですけど、そのままミュートされた状態でイントロに入っちゃったんですよ(笑)。

-そうでしたか!

だから、ライヴではベースの音が出てなかったんですよ。でも作品をミックスダウンするときに、ド頭からベースの音が出てないのはあんまりだなと。でもそれ以外は基本的に直してないんですよ。音のズレやミス・トーンはあるんですけど、ライヴですからね。年甲斐もなく興奮してる雰囲気を真空パックした方がいいんじゃないのってことで。ミックス作業してる最中も、今まで話したようなことをずっと感じるわけですよ。

-というのは?

"こいつはこんなことやっていたのか!"、"この曲はこうだったよな!"って、自分たちがやってきたことを初めてちゃんと認識するような感覚なんです。人によっては"完全再現なんてしないで、早く新作を聴きたいよ"と言ってくださる方もいますけどね。これはこれで聴いてもらえると、同じ時代を過ごした人はもちろんですけど、いろんなことを感じていただけるんじゃないかなと。そんなに簡単に新曲は作れないですからね(笑)。

-今作は3枚のライヴ音源+DVDというかなりのボリュームですが、このアイディアはいつごろからあったんですか?