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INTERVIEW

GARI

2015.08.07UPDATE

2015年08月号掲載

GARI

Member:YOW-ROW(Vo/Prog)

Interviewer:荒金 良介

-なるほど。

このサウンドをあの人がミックスしたら、こうなりそうだなというのをイメージして作りました。俺は昔からそういうものが好きなんですよ。ミクスチャーが流行ったときにコンピレーションでDJとコラボしたもの、映画"Spawn"のサウンドトラック(『Spawn: The Album』)とかあの時代はロック・バンドをテクノのクリエイターがイジったらどうなるかそういう作品があって。それを多感な時期に聴いたから、未だに残ってるんですよね。バンドだけでも成立しないし、家でトラック・メイキングしてるだけでは思いつかないアイディアですからね。

-『Spawn: The Album』みたいな質感をこのタイミングでやろうと思ったのは?

デビューしたころから常にそういう気持ちはあったけど、自分のスキルがまだまだ追いつかなかった。感覚的には1stアルバムのころから、そういう脳はありましたね。

-その意味でもこの4年間は大きかったんですね。YOW-ROWさんはGARI以外にもBUCK-TICK、Doll☆Elements、Paul Wellerを父に持つNatt Wellerなどのサウンド・プロデューサー/編曲を手掛けてますよね。その経験も今作には活かされてます?

ああ、そうですね。アイドルだろうが、リミックスだろうが、そこにはそこのルールがあるんですよ。そこで得た経験は今回活きてるかな。なので、必要な4年間だったと思います。

-特に勉強になったことは?

同じ音楽でもジャンルが違うと、聴きどころが違うんですよね。例えばアイドルの曲は歌に1番時間をかけるんですよ。しっかり歌を聴かせるジャンルだから。アイドルを手掛けてるディレクターと話すと、"あっ、そんなにこだわるんだ"って気づかされます。ヴィジュアル系だと、彼らなりの美的センスがあって、そこを1番気にするんだなって。そういう意味でいろんなジャンルのきめ細かさを知ることができたから、それはGARIをやっているだけでは気づけなかった部分ですね。

-今作を聴きながら、どんなふうに曲作りしたのか、不思議でしょうがなくて。

ああ、どんな感触でした? 俺、人からどんな感触なのか、まだ聞いてないんですよ。今日初めて人から感想を聞くタイミングなので、僕もこの作品を聴いて、どう思うか知りたいんですよ。

-Track.1「SHAKEDOWN」はTHE PRODIGYの新作に通じる雰囲気もあるし、個人的にはTrack.2「Serious Drive」が大好きですね。作品全体としては、どこにも属さないありそうでない振り切れたサウンドがかっこよかったです。

ははは、そうですか。良かった。そう思ってもらえる音を作ろうと考えてました。日本にこういうバンドいないよね、こういうアルバムを作ってる日本のロック・バンドはいないよね、というものを作りたくて。今、若くて一生懸命やってるロック・バンドとせめぎ合うためには、そこしかないから。"GARI先輩、やっぱり突き抜けてるし、面白いことやってくれるね!"と思われないとダメだなと(笑)。キャリアも長いので、ミクスチャーなのか、EDMなのか、ダンス・ミュージックなのか、わからないけど。そのど真ん中をなぞってもしょうがない。いい意味でちょっと面倒臭いバンドだなと思われる音にしたくて。

-曲を作るときに意識したことは?

どう刺激的に聴こえるのか、良くも悪くも耳障りでいいのかなって。引っかからないと意味がないから、わざと汚していきました。聴きやすいものを目指さないなら、中途半端に聴きにくいものより、"もう!聴きにくい!"と思ってもらえた方が面白い。だから、音の渦みたいなものを作ろうと。

-なんだか、作品全体から狂気が迸ってますよね。

疲れますよね(笑)。僕の人となりを知ってる人は、そこも汲み取ってくれるんじゃないかと思うくらい念が乗ってます。俯瞰で聴いても、ちょっと怖いなって。

-念という言葉をもう少し詳しく説明できますか?

前作(4thアルバム『Harmonik / Electrik』)、前々作(3rdアルバム『Colorful Talk』)を作って、評価も得られつつ、満たされない部分もあって。俺はそういう評価じゃない......そこが念ですかね。バンドにおけるいい曲というのは、そのバンドにしかないやり方があるわけで。それを間違えたり、見失うと、いわゆるいい曲を目指してしまう。さっきの話ではないけど、そこにはそこの専門家がいるし、GARIにおけるいい音楽、いい曲というのは自分たちで見極めないとダメだなと。

-ヴォーカルも演奏や音の一部として取り入れている点も特徴ですね。

サウンドの情報量が多いので、一度で伝わる情報量が多ければ多いほど、伝わりづらいと思うんですよ。歌がいい感じで聴こえちゃうと、逆にサウンドの面白さに耳がいく機会が減る。そうなると、ああいうバランスになるんですよ。歌詞はほとんど日本語だけど、日本語に聴こえないニュアンスにしてますからね。それも歌詞が飛んできた瞬間に歌詞に耳がいくじゃないですか。そうなると、他の音が目減りしちゃうから。歌詞にこだわらないという意味ではなく、歌詞はあとで読んだときに、こんなことを言ってたんだぐらいの優先順位でいいんですよ。それより、サウンド感が最初に伝わることが大事ですね。