INTERVIEW
LINDEMANN
2015.06.19UPDATE
2015年06月号掲載
Member:Till Lindemann (Vo)
Interviewer:米沢 彰
-今作のタイトルも『Skills In Pills』となっていて、これまでのRAMMSTEINのルールだったドイツ語によるタイトルというのも破られていますね。タイトルに込めた意味はどういったものだったのでしょうか?
まずは語感が良かったんだ。あとは、アルバムのタイトルを選ぶときには曲のタイトルからアルバム全体をうまく表現しているタイトルからつけることが多いんだけど、今回の場合はそれぞれの曲がそれぞれひとつの"Pill(薬)"になっていて、例えば楽しくなりたければこの"Pill"を聴く、みたいにまるで"薬箱"みたいなアルバムになってるって意味でもあるんだ。
-先日公開されたトレイラー動画「Praise Abort (official Trailer #1)」はわずか6日で22万再生を突破し、かなり話題になっていますね。このプロジェクトへの期待や待望の声はやはり大きいですか?
俺は悲観主義者なんだ(笑)。だからあまり期待しないで"なるようになるさ"って思っている。"期待されているといいな"とは願っているけどね。だから今回のことは驚きだったよ。"期待しなければ失うものはない"ってスタンスで見ているよ。
-ちょっと意外ですね。
グラスに半分水が入っているとき、満杯から半分に減ったって考えるか、空っぽから半分注がれたって考えるかって考え方があるんだけど、それで言うと空っぽから考えるタイプだね。
-Peterとあなたの組み合わせからはもっとアグレッシヴな音楽性を想像していたのですが、RAMMSTEINにもひけをとらない、ダークで荘厳な雰囲気が全体の大部分を占めているのが印象的でした。最終的にこの方向性にしよう、というイメージを持って制作に入りましたか?
本当にゼロからのスタートだったし、これまでのふたりのバックグラウンドがうまくまとまっていった結果がこのアルバムなんだ。こういうサウンドを作ろうという意図的なものがあって始まったわけではなく、お互いにインスピレーションを与え合い、受け合いながら作ってきたんだ。それまでのふたりの背景があってできた作品だから、これが今の俺たちだと言えるサウンドになったと思っているよ。
-サウンド全体を捉えた際に、あなたの低く、力強いヴォーカル・ワークがそういったイメージをもたらすようにも思えます。今作のヴォーカル・ワークとしてはどういったことを意識していましたか?
まず何よりも今回は英語詞を選んだからね。意識していなくても、英語で歌ったことで柔らかくてメロウな響きになってるんだ。ドイツ語で歌うとどうしても力強くなってしまうんだけど、英語の響きはソフトになるからね。
-Facebookのカバーにもなっているアーティスト写真は"最後の晩餐"をモチーフにしていますよね? 本来は荘厳な場面ですが、ここではかなりアブない行為が描かれていて非常に興味深い世界です。この世界観にはどういったストーリーがあるのでしょうか?
アルバム全体としての世界観はなかったんだ。曲毎に作っていった結果だったし、そもそも4~5曲ぐらいのEPにしようと思っていたぐらいだったのがどんどん増えて結果的にアルバムになったぐらいだし、全体的なメッセージや意味は最初から考えていなかったんだ。でも曲の並びにはすごくこだわったから、良い流れになったと思うよ。ヘヴィな曲から始まってTrack.6「Home Sweet Home」で1度落としてから、また上がっていく感じとかね。あのイメージは実は俺にとっての"最後の晩餐"になっているんだ。出てきている人物は全部俺なんだよ(笑)。
-RAMMSTEINでは一般的にタブーとされることにかなり挑戦してきましたが、今回のプロジェクトでも同じように挑戦していきますか?
それは考えていなかったな。でも、今作の曲には自分の内面から出てきたものもあれば、ネットやテレビからインスパイアされてできた曲もあるんだ。今のネットやメディアには隠しごとがなくてあらゆるものが見えてしまう。そのメリットもあれば、悲劇を生むこともある。すべてが見えてしまう、タブーがないという意味で、そういった環境やネットから影響を受けて曲を作ったという面はあったね。