INTERVIEW
HALESTORM
2015.04.13UPDATE
2015年04月号掲載
Member:Lzzy Hale(Vo/Gt)
Interviewer:米沢 彰
-買ったんですか!?
でしょ(笑)?その教会に足を踏み入れると、何だかスタジオに入った気がしなかったわ。ジャムっていても、高い天井の上のほうから太陽の光が差し込んできて、ありふれた言い方になっちゃうけど、とにかく綺麗だったのよ。そういうのも手伝って、とにかく心地よくレコーディングができたと思う。その部屋がまるで自分のものかのようにね。そういう雰囲気がアルバムにも表れているような気がするわ。
-ハードロック然とした骨太なサウンドはしっかりと継承しながらも、アルバム全体としては、より普遍的で幅の広いロックへとさらに進化したような印象を受けました。
わぁ、ありがとう!そういうふうに聴いてもらえたのは、自分たちがワクワクできるものをひたすら追いかけたからじゃないかと思うわ。私たちは音楽の本当にいろんな要素を楽しんでいるからね。聴いているだけで楽しい音楽がいっぱいあるわ。それに、いろんな経験をしたからね。ここ数年を取ってみてもツアーしたり、出会いがあったり、あとは私がいろんな人とコラボしたり、とにかく素晴らしい日々だったわ。今回は私たち4人だけにそぎ落としたことで、4人が受けてきた影響がはっきり見えるんだと思う。気を逸らすものは何もなかったし、ギターを3層にも4層にも重ねて録っているわけじゃないからね。きらびやかなスタジオでの仕掛けも何もなかったし。今回は私たちを私たちでいさせるものがはっきり表れていると思うの。だから"幅広い"ってポジティヴにとらえてもらえて本当に嬉しいのよね(笑)!
-確かに、あなた自身でいうと、"踊るバイオリニスト"Lindsey Stirlingのトラックにフィーチャリングで参加したり、他にも個人的な活動をかなり幅広くされていましたね。そういう活動が今回に生かされているのだと思います。
もちろん! Lindsey Stirlingとのコラボは特に大きかったわね。全く違うタイプのオーディエンスに知られることになったから、ソングライターとしてもシンガーとしても大いにインスピレーションを受けたわ。フィルターをかけられたって言うのかな。音楽を聴いたり何かを経験したりして、それが自分の中から違う形で出てくるような感じ。それは必ずしも意図してやるものじゃないんだけどね。さっき、別のインタビューで"リード・トラックの「Scream」はLindsey Stirlingに影響を受けたのか"って訊かれたわ。どう思うかって?多分そうだと思うのよ。さっきの話じゃないけど、ワクワクできるものを追いかけた結果だから。そうやってこの数年間はいろんなインスピレーションを受けてきたのよ。
-Track.5「Dear Daughter」は伴奏も本当に薄く、ほぼヴォーカルだけで聴かせる曲で、あなたの表現力を存分に活かした構成になっていますね。この曲はどういった曲でどのようにして生まれたのでしょうか?
「Dear Daughter」は個人的にお気に入りの曲のひとつなのよ。私も中身はウェットなところがあるからね。竹を割ったような性格でいつでもハイみたいに思われてるけど(笑)。この曲は随分前から書き始めていたの。自分が母親に教わったことへのトリビュートとして書いたのよね。あ、母はまだ生きているけどね。いつも私のやることにとても協力的だったの。それが親として必ずしも元来は賢明なことじゃなかったとしてもね。自分の子供がロックンロールをやりたいって本当に思っているなら、その世界に入れるように励ますってのはね。でも母は誰に何と思われようとあまり気にしないで、"いつも自分らしくいなさい"って背中を押してくれたわ。いつも自分の目標や夢を追いかけることを励ましてくれたの。挑戦しなかったら、どうして挑戦しなかったんだろうっていつまでも思い悩むことになるから。そういうことをずっと考えていたの。あるとき母に訊かれたわ......確か去年の話だったと思う。親ってみんなそうなのかも知れないけど、"私はいい母親だった?"って訊いてきたのよ。"あなたをちゃんと育てられたかしら?大丈夫?"ってね。もちろん"ママ、最高よ"と言ったわ。"私がバンドを始めてこのクレイジーな夢を追いかけることをママが応援してくれなかったら、私はグラミー賞なんて獲れなかった"って。そういうこともあって、母のためにこの曲を書き始めたんだけど、そうしているうちに、もし自分に娘ができたら、ママみたいなメンタリティを受け継いで娘に接することができるかしら?って思うようになったのよね。そうやってできた曲なの。でも最初はレコード会社にも送らなかったわ。"何?妊娠した?"なんて思われかねないから(爆笑)。ヘンな曲だと思われちゃうんじゃないかと思ったのよ。だから最初は自分だけのものにしていたんだけど、最終的にギタリストのJoeに相談したら"送ってみればいいじゃないか。様子を見よう"って言われてね。で、送ったら、"これはぜひ入れなければ"って言ってくれたの。それでスタジオに入って本録音したんだけど、朝11時半くらいにね(笑)。教会に置いてあったピアノを使ったの。Jayは"とりあえず録音ボタンを押してみるよ。それで良かったらキープすればいい"なんて感じだったわ。でも朝早すぎるしどうかなとも思ったけど、結局そのテイクをキープすることになったの。まぁ、バックで流れているヴォーカルは私が別録りしたものなんだけどね。全部いっぺんにはできないからね(笑)。