INTERVIEW
a Soulless Pain
2013.12.06UPDATE
2013年12月号掲載
Member:Yonemura (Vo) Buffalow (Gt/Cho) hiro (Gt/Cho) Take (Ba/Vo) Kensaku (Dr/Cho)
Interviewer:篠崎 祐介
-1stアルバム『繋ぐ世界』について伺います。Arise In Stability、Arbus、To overflow evidence、Hopeless Ravenといったバンドをリリースしているlast fort recordsからのリリースですが、経緯を教えてください。
Y:もともと僕が日本のハードコアとかメタルコアを聴きだした時に、Arise In Stabilityがとにかく衝撃的で、単純にファンだったんです。バンドとして絡む前に僕が個人的にコンタクトを取ったりしてて、Answer for lifeでの共演をきっかけにバンドとして関われるようになったんです。で、last fort recordsって尊敬するバンドや大好きなバンドが所属してて、憧れのレーベルだったんですが、Arise In Stabilityの山口のレコ発をlast fort recordsが企画するってことで誘ってもらえて、その時に初めてlast fort recordsの社長に会うことができたんです。そこでライヴを見てもらって話をして、僕らからlast fort recordsで出したいですって話をしたら、快くオッケーしてくださったんです。
-で、まずラストの曲「繋ぐ世界」がアルバム・タイトルにもなっていますが、どんな思いが込められた曲なんでしょうか?
Y:アルバムの中で最後にできた曲なんですけど、実は原曲は3年前からあったんです。歌詞はTakeが当時書いたものがあって、良い感じのメロディも僕が付けられて、Buffalowが曲を作って途中まで出来てたんですけど、当時の僕らでは完成させれなくて。で、時間が経ってアルバムを作る時に"もう1回「繋ぐ世界」を完成させたい"ってなって、Takeも歌詞を書き直して、曲も後半部分は全く新しいものにして、みんなで作り上げたんです。で、完成した時に、3年前もそうだったんですけど、歌詞の内容が色んなものを包み込めるパワーがあったので、すごく可能性を感じたんです。今回のヴァージョンの歌詞が完成した時に、アルバムのそれぞれの曲が人生の1ページを切り取ったものだとしたら、それを全て包み込む存在になったんです。それが「繋ぐ世界」がアルバムの最後になって、アルバム・タイトルになった理由ですね。
T:歌詞もテーマがあって書き始めたわけではないんですけど、3年前自分が1番伝えたかったことなんです。でも、その当時の自分には、まぁ今もですけど甘ちゃんで書ききれなかったんです。うちの曲は主に僕とYonemuraが歌詞を書いてて、ひとつひとつ"生きること"がテーマではあるんですけど、それでも限定的な"別れ"だったり"出会い"だったりを描いてるのに対して、「繋ぐ世界」は全ての、もっと引いた視点から書いてて、それを書けたのが今だったんです。絶対いつか書きたいと思ってたんですけど、そう思った時に「entrust」など僕が書いた歌詞を、もっと引いた視点で繋ぐことができるのがこの「繋ぐ世界」だなって思ったんです。今はhiroも少し歌詞を書くんですけど、バラバラに3人が書いた歌詞も"生きる"っていう部分で全部繋げると思ったんです。
-歌詞は3人で書いてるんですね。
Y:割合でいうと今回のアルバムはTakeが6割、僕が3.5割、hiroが0.5割ですね。
T:僕が書いたものが多いですけど、それもYonemuraとディスカッションしながら僕が文章にしたりしてます。
Y:そこがa Soulless Painがa Soulless Painたる理由だと思っていて、楽曲に関しても歌詞にしても全員が必ず関わってるんです。全員が納得しないと絶対世に出ないんです。お互いある意味完璧じゃないから、故にお互い干渉して、自分たちにしかできないものを生み出せてると感じてるんです。
T:ちょっと話が反れるんですけど、うちはクレジットを全てa Soulless Painにして、タイトルは個人が付けてるんですけど、みんなから影響を受けてて。バンドのメンバーもそうだし、名古屋のみんなもそうだし、バンドで出会った人たちもそうなんですけど、その影響を僕がまとめてるって思いがあるんです。歌詞を書いてるのは僕だけど、みんながOKしてくれたのは、みんなの心の中にあったものを僕が拾い上げれたのかなって思いもあって、そういう意味で個人名を出さず、a Soulless Painというクレジットにしてるんです。"a Soulless Pain全員で書いたんだよ"って思いがあるんです。
-Track.2「entrust」は、ど頭から"俺たちの未来を"という歌詞で、他の曲も含め、"俺"という一人称よりも"俺たち"というワードの方が多く出てきます。これは意識していますか?
T:"俺たち"って書き方は意識はしてなかったですけど、僕が意識してたのは根底にあるのは自分だけの歌にしたくないと思ってるんです。"代弁"って言ったら偉そうに聞えるかもしれないんですけど......
-あ、でも僕も"代弁"って言葉は思い浮かんだんです。自分の発信したいことだけじゃなく、バンドのメンバーや、さっき話してた名古屋のバンドたちや仲間や全てを含めて"俺たち"って言ってるんだろうなと思ったんです。
T:そうです。バンドやる以前もそうだったんですけど、言いたいこと言えない人も多いと思うし、自分もそういう人間だったんで。"本当は君もそうなんじゃないの?"っていうような思いは無意識にあるんです。"代弁"だと大袈裟かもしれないけど、"あなたも言いたいんでしょ?"って。だからそこはシンガロングにして、"みんなで言おうよ!"って思いなんです。
Y:全曲の歌詞を見た時に、絶対誰でもリンクする部分はあると思うんですよね。生きていくなかで感じたことが重なる瞬間があるんじゃないかと思ってます。
-自分の内面的なことについての歌詞が多いと思うのですがTrack.3「Attitude」は他人に対して怒りのような感情をぶつけた曲に感じました。
T:そうですね。その曲も僕が書いたんですけど、人間関係やバンドとの関係だったりで、どうしても軋轢が生まれた時に、気付いたんですよね。軋轢が生まれるのは主張があるからで、その主張を貫くのには摩擦が生まれると思うんですよね。そういう時に自分たちって態度を示してこなかったんじゃないかと自分たちを疑ったことがあって。"俺たちはこういうスタンスでやっていくぜ"って示すことは同時に敵を作ることでもあるし、それをやってこなかった自分たちは敵を作りたくなかった。みんな気に入られたい、嫌われたくない――それってかっこ悪いなと思ったんです。これは"代弁"じゃなく強く自分に言い聞かせるための曲なんですよね。そういう意味での提示をしたかった曲なんです。意思表明することで逃げられなくしたかったんです。
Y:ハードコア好きには評判いいよね(笑)。今まで自分たちが見せてこなかった部分ではあるんですよね。でもアルバム出すタイミングで、こういう面もあるんだよって見せれてよかったですね。