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INTERVIEW

Jessica Wolff

2013.04.01UPDATE

2013年04月号掲載

Jessica Wolff

Interviewer:荒金 良介

-今回はデビュー・アルバムになりますが、最初に明確なテーマのようなものはあったのでしょうか?

ええ、このアルバムとその背後にあるメッセージについてのはっきりしたヴィジョンは、ずっと前から持っていたの。あとはそれを組み立てるのに相応しい道具を見つければよかっただけ。その過程でアイデアがたくさん出てきたし、昔からずっと存在していて、それに生命を吹き込む手助けをしてくれる、ぴったりの共作者かプロデューサーが見つかるのを待っていただけ、というのもあったわ。でも、今こうして完成したものは、オリジナルのヴィジョンと合致しているのよ。ただ、よりビッグになって、より明確になっただけでね。

-今回、Kid RockやBritney Spearsを手掛けたEric Gastをプロデューサーの1人として迎えていますが、その経緯を教えてもらえますか?また、彼から何か具体的なアドバイスはありましたか?

カイト・サーフィン(※スポーツ種目の1つ)をやりにカリブ海に行っていた時に、Ericの知り合いの誰かを知っているというプロモーターに会ったの。誰かを助けることは、私にとって、いつだってすごく大事なことで、Ericが、長いキャリアを持つプロデューサーだというだけでなく、"FM Worldcharities"(※音楽を基盤としたチャリティ)の創設者でもあると聞いて、絶対に彼に会おうと決めたのよ。それで賭けに出て、彼と話す機会を作るために、ニューヨークで開かれる彼のチャリティ・イベントの1つに行くことにしたの。幸運にも、彼はその翌日に私に会ってくれることになって、意見を交換したり私の音楽を聴いてもらったりした後、フィンランドまで来て、私がアルバムを作るのを手伝おうと決めてくれたのよ。彼は、このアルバムにプロデューサーとして関わっただけじゃないの。パフォーマンスに関しての指導から、契約や実務に関すること、歌詞のことまで、そして、それ以外のたくさんのことで私に力を貸してくれたのよ。彼は私がこれまでに会った人たちの中でも、1番思いやりのある人よ。彼と一緒に仕事が出来たなんて、本当に光栄なことだわ。

-今作を聴かせてもらい、まずあなたのパワフルな歌唱力になにより引き込まれました。ヴォーカル面で意識していることなどあれば教えてください?

感情が私の最強の武器なの。感情に入り込めば入り込むほど、そして声がその感情と一体化すればするほど、バリエーションは豊かになるわ。時には1歩脇に逸れて、感情とは別に、リズムや発音やメロディといった技術面も意識しなくてはいけないけれど、それらは1度覚えてしまったら2度と考える必要はなくなって、また感情に完全に浸かってしまえるようになるわ。

-アルバムは前半からTrack.6「Want You Out Of My Head」までは割と重い空気で、後半は明るい作風にチェンジして、明暗の両面が1枚の中でうまく表現されているなと思いました。作品全体の流れも意識しました?

ええ、曲と曲を繋ぐ物語があるし、アルバムを通して表現したい様々なムードがあったの。陰陽は、このアルバムの制作における非常に重要なシンボルの1つよ。私の人生、考え方、経験を表しているし、私がオーディエンスと共有したいメッセージを、明らかなものも言外のものも両方、表現しているの。いくつかの曲は同じテーマを持っているけれど、異なる角度や視点から描かれているわ。例えば「Broken Wings」、「In Disguise」、「Blind」、「Blue」、「Ashes To Diamonds」がそうよ。このアルバムは、私に、同じ幹から色とりどりで様々な形状の枝が伸びている様子を思い浮かばせてくれるわ。

-Track.2「Broken Wings」では「カノン」、ストリングスを導入したTrack.7「Trophy Girl」では「エリーゼのために」とクラシック音楽のフレーズを引用していますが、このアイデアはどこから生まれてきたのですか?

「Broken Wings」は、スタジオでコーヒー・カップを洗っていた時に、"We just lost another child today"(今日もまた ひとりの子どもが失われた)という歌詞が頭に浮かんだ曲なの。それ以外の部分がどういうものになるか、私には、はっきりわかったわ。そして、この曲には子供たちに関するテーマにつながる要素を入れたいと思っていたところ、偶然、スタジオにオルゴールがあって、それが奏でていたクラシック音楽がチャイコフスキーの「白鳥の湖」だったの。それで、そのオルゴールの音をレコーディングしただけなのよ。「カノン」と「エリーゼのために」は、それまで似ているなんて思ったことはなかったけれど、ロック/ポップとクラシカルなヴァイブを融合させるというアイデアは、とても気に入っているわ。だって、それが私の音楽的なルーツなんだもの。

-今回のレコーディング自体はスムーズに進んだのでしょうか?

むしろスムーズとは正反対だったけれど、そのことに、とても感謝しているわ。ジェットコースターみたいだったお陰で、私の経験と感情の幅をとても広げてくれたもの。エキサイティングだったり、チャレンジングだったり、大忙しだったり、滑稽だったり、ストレスたっぷりだったり、驚くほど感動したり、くつろげたりと、何でも有りだったわ。シンプルにあっという間に終わらなかったのが嬉しいの。そうじゃなかったら、アーティストとして成長する機会も大切なことを学ぶ機会も、その多くを失っていたことになるはずだもの。