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INTERVIEW

knotlamp

2012.09.04UPDATE

2012年09月号掲載

knotlamp

Member:KEIT (Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-アルバム・リリースおめでとうございます。中心に貫かれているのはこれぞknotlampらしさとも言える"光"を感じさせるメロディですが、サウンドの振り幅が広いアルバムですね。

ちょっとずつ幅を出していこうっていうコンセプトがここ2、3年の傾向なんです。去年出したミニ・アルバムが『Bridges We've Dreamed』で、"自分らが夢見てきた架け橋"っていうタイトルなんですけど。そこを去年渡って、今年は渡った後どうだい?っていう感じのところで。......橋を渡るってことは違う島に行く、要は新しいことをするっていう意味でもあって。出来るだけ今までの良さは残しつつ、どれだけ自分たちが今やりたいことを見せられるかなってところは結構考えてましたね。

-『Bridges We've Dreamed』を制作している頃からそういう段取りは頭にあったのですか?

そうですね、ふわりと頭にあって。僕らの音楽はメロディック・パンクとか、パンクって分け方をされてきてたんですけど、ずっとそれに対抗したい、逸脱したいって気持ちがあったんです。そこだけに囚われているバンドじゃないし、自分たちが楽しめる音楽っていうのが......確かにパンクと呼ばれる音楽にもあるけれど、絶対にそこだけではないから。2、3年前から湧き上がってた感覚で、去年は、頭の中で膨らんでたものがより盛り上がってた時期で。

-それはメンバー・チェンジがあったことも理由のひとつでしょうか。

メンバー脱退もあったし、ツアーもあったし......新しい何かをって気持ちは凄くあったし。ここで自分たちが思ってることをやりきらないと次の何かが見えてこない、このまま見えないかもしれないっていう危機感もあったし。でもそれ以上に、何としてでも見てやろうっていうような、何でもどうでもいいから前に進んでやろうっていう気持ちがあったんで。......割とこの1、2年はメンタル的には、耐えるというよりは"戦う"っていう言葉が合うような気がしますね。葛藤、苛立ち......不安もありました。

-knotlampは歩んできた過程を重んじるバンドだと、曲を聴いたりKEITさんのブログなどで強く感じます。なのでバンドの流れもそういった経緯も必然的というか。なので今作にも、今までの要素が全部詰まっていると感じました。

その時の衝動だけでやって形になるバンドも凄くかっこいいと思うんですけど。僕らは今までの道のりを経た上で"今何をするべきか"とか、"今何をすることが自分たちらしいのか"っていう考え方で曲を作り始めることはあるんで。毎回今までの集大成っていうところをまとめている感覚もありますね。

-レコーディングは7月に終えたとのことですが、曲作りはいつ頃行われましたか?

去年の秋ぐらいからやってて。実際チョイスしてデモとして作り始めたのが今年の3、4月くらいですね。

-それでは今作はじっくり制作したということでしょうか。

サビのメロディに関してだと、このスケールの中で"いいな"って思うメロディや歌は1個しかないと思うんですよね。感じたままにボン!と出てきたものが、そのスケールの持つマックスだっていう考え方なので、そこからいじって変えるってことはないですね。作り込むことではそれは出来ないと思ってるんで。サビの周りを取り囲むAメロBメロに関しては、いろんなことを試して、サビが引き立つように変えていったりするんですけど。

-確かにknotlampのサビは力強さと華々しさと開放感がありますよね。

それが気持ちいいなって。メロディはそんなに良くないけどサウンドでハクをつけたりする音楽もあるけど、僕はAメロBメロがあって、サビが覚えやすくて良いっていう、基本的なシンプルなところを守りたいというか、そこにしかあんまり興味はないんですよね。自分の殻を破れてないと言えばそうなんですけど(笑)、どの曲をどう書くにしても、そのスタンスは変わらないっすね。それで結果を出さなければって思いもあるし。そういう意味ではあんまり変化はないっちゃないかもしれないですね。聴いてくれる人もアレンジの変化は感じてくれるかもしれないですけど、中に入ってる歌は全然弾き語りでやれるような音しかやってないなって気はするんですよね。バンド始めてからずっと。

-そういうKEITさんの考え方を他のメンバーさんはどう感じてらっしゃいますか?

メンバーは穏やかで、控えめな感じなんです。でも実はやつらって物凄くシビアで。みんな音楽で食ってくこと、これで凌ぎを削っていくことの厳しさを知ってるし。自分がいいと思ってても、メンバーが良くないと言えばボツにしてきたし、その逆もありますし。メンバーは俺を信用してくれてると思うし、俺が作れば間違いないなって気持ちはみんな持ってくれてると思うんですけど、その分厳しいというか。みんなそれぞれの人生を持ち寄って音楽をやって、自分が一生懸命やってることだからいいものを作りたいという意味で、いつでもシビアというか。

-曲に対する愛情は演奏やアレンジにも出てると思います。音に生ぬるさなんて微塵も感じないですし。

本当、病むぐらいに"いいものを作りたい"って追いかけ回してるんで。去年は凄くつらい年だったし、今年に入っても凄く忙しかったから結構追い詰められてて。最近会った人に"痩せたよね?""やつれたよね"ってよく言われるんですけど(笑)。knotlampってライヴもまだまだだし、やらなきゃいけないこともいっぱいあるし。でも、曲に対しての気持ちとか愛情とか自信とかは、いつもすっごい持ってて。そこは多分、誰にも負けないなって気持ちもあるし。......愛情はハンパないかもしれないですね。

-そういう姿勢や考え方が信念と言うか。結成の頃からずっとぶれていないことではないかと思います。

意識して継続しようしてるわけじゃないですけど......でも僕がギターだった時代から考えてみても、今のバンドの中の感じってあんまり変わってないかもしれないですね(笑)。僕ら出身が田舎って言うのもあって、周りに音楽でプロを目指そうっていう人があまりいなかったので。その中でも常にやるからにはいいものを作ろう、人が聴いて何も思わないものじゃなくて何か感じられるものをやりたいっていう気持ちはあって。だから周りが関係ないというか。どのバンドにも負けないんじゃないかなって思うから、今の音楽シーンの流れを知ろうともしないし。......でもそれだと成長もしないし、良くないと思うんで、最近は昔より知るようにしてるんですけど。でも流行を知り過ぎると、それを含めた上で"バンドがどうあるべきか"ってことばっかりに意識が行きそうな気がするんですよね。

-そう考えるのはKEITさんが完璧主義というのもあるのかもしれませんね。

そうですね、神経質だし。もの作りもそうだし、人付き合いでも"これだけ誠意が要る"とか、こういう風にしないといけないって、細かいところまで考えちゃう方なので扉が重いタイプではあるかも(笑)。他のメンバーはおとなしいけどすっごく人懐っこいし。人間として尊敬できるんですよね。筋が通ってるし。......いいやつらだなぁと思いますけどね。みんな不器用だから、誤解されたりすることもあるんですけど、でも俺は長年一緒にいるから全部分かってるし。そういう意味で、そういう環境が変わってないからずっとそういう考え方の芯が変わってないのかもしれないですね。本当にアルバム作ってる間、みんな一生懸命で。......何とか聴いてくれる人をビックリさせたい、喜ばせたい。自分らでもそういう感覚を勝ち取りたいとかっていうのがあって。それに向かってグワァーってエネルギー出してやってるんで。変な話、曲作りやレコーディングも終わらせようと思えばすぐ終わらせられるんですよ。アルバムも年に5回は出せるかな? ってくらい曲もあるし。でも突き詰めないで曲を作ると、その影響は絶対自分たちに戻ってくる。社会やシーン、聴いてくれる人たちは本当に甘くない。だから時間が掛かってしまったりするんですけどね。