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INTERVIEW

knotlamp

2012.09.04UPDATE

2012年09月号掲載

knotlamp

Member:KEIT (Vo/Gt)

Interviewer:沖 さやこ

-なるほど。『Geoglyph』は6月にシングルとしてリリースされた「Across my world」がアルバムの一番最初を飾るのにピッタリだと思います。楽曲のインパクトも勿論ですが、時系列的にも『Bridges~』で架け橋を渡って、最初にリリースした曲ですし。この曲はバンドの"らしさ"は失われてないのに、タイアップ作品の要素もしっかりと融合していますね。

作曲家としての技量を問われる瞬間だと思うんですよね。やっぱり"こういうバンドだからこういう曲しか書けないんだ"って言われるのは嫌だなぁって。何とか自分らの良さも保った上で、相手も納得させられる曲を書けないとおかしいと思ってるんですよね。だからそういう話が来ても、絶対にそこを納得させるってことができないとやってる意味がないと思うんで。そこは本当に、戦う場所だと思ってるんで。その闘争心が結果につながっているんだと思います。

-「Across~」がMAHIROさんが正式加入してレコーディングした初となる楽曲、すなわち新生knotlampの初楽曲となるわけですが、出来上がった音を初めて聴いた率直な印象はいかがでしたか?

一言で本当に分かりやすく言うと、すべてが良くなった。これはメンバー全員がそう言うと思います。あいつは自分が持ってるルーツを余すことなく出した上で、バンドに今何が必要なのか、その曲にとっての僕ららしさは何なのかっていうのを、常に研究してくるんです。だからバンドに馴染むスピードとかも物凄く速かったし、吸収したい欲とかバンドに対する愛が凄いんですよ。同じ九州出身っていうのもあるし。ベクトルが最初から同じ方向に向いてる、同じ正解を求めているタイプだったんで。出会うべくして出会ったのかなぁって、あいつの音を聴くと思いますね。

-ハード・ロック要素のあるギターですよね。

そうですね、あいつはNuno Bettencourt(EXTREME)が大好きなんで。GUNS N' ROSESとかも凄く好きだし。俺らの中で新しいキャラやなぁ、新しいタイプのギタリストやなぁって。

-今作の楽曲もそうですが、knotlampの音楽はいつも光を歌ってると思うんですね。ライヴでも光を感じるし。それは闇を知っているからこそ出せるものだと思います。そういう音楽を作るアーティストはいますが、knotlampは闇の中でも止まることがないんですよね。

シンプルなんですけど、どんなときでも足を前に出して前向きになって、明るく笑っていこう。きっとそのほうがいいってことを、本当に音楽とバンドはマジでくれたものなんですよね。今でも彷徨ったり悩んだり立ち止まったりっていうのもいっぱいあるんですけど、普遍的にずっとそこを見据えて音楽をやってきたし。多分これからもそれが失われながらも音楽をやることは絶対にないと思います。身体がある限りは、そこに自分の人生の時間を使う生き方をしたいんですよね。

-普通は彷徨ったり、悩んだり、立ち止まったり......そういうものを表現すると闇や陰になると思うんですよね。それさえも光になるんですよね、knotlampの音楽は。

そういう部分を知ってるから、光の大切さとか、光に対しての前向きな希望に対しての貪欲さっていうものは必ず生まれると思ってるんです。でも必ずしもそれが人間の幸せであるかといったらどうかなぁって思うこともあって。例えば、悩むこともなく、病むこともなく、苦しむこともなく。なにも考えずに仕事をして、大好きな家族がいて。何かと戦うことなく、自然に生きていく。それが1番幸せなのかなぁって思うところもあるんですよ。正直。でも、僕はこういう性格だし、こういう風にしか生きられないんだなぁって思い切ってるんですけど。俺はとにかく反骨精神が強いんで。周りが否定的なときとか、逆に前に行けるタイプだし。精神的には実はタフなんですよ。ふらふらでダウン寸前と見せかけて、実はいつまでも倒れないのが自分だと思ってるんで。

-そういうエネルギーはどこにありますか?

なんなんやろー......。ものっすごい深いところの1番最後の部分だけ話すと、最後にたどり着くのは"命は大切なものだから"っていうのが答えですね。その答えが全部を投げ出さずにさせてくれるというか。......とは言え、もともとは楽しみたくて始めたバンドですからね。でも、前向きに明るくなりたくて始めたバンドっていうものが、だんだん突き詰めていくと歌詞の内容とか生き様とか、人の何倍の先回りをして掴んだような気持ちや言葉を伝えるものになっていって......でも俺はバンドが、人よりも何倍もいろんなことを考えてやらなければいけない仕事とは思いたくなくて。自然さというものを残した上で、自分たちに出来ることとのバランスを取りながらやらなければいけないと思ってるんで。あんまりそこに行ききっちゃわないようにはしてますね。

-現実的な視点と、夢を追う視点と、バランスがいいですよね。そういうところにリアリティがあるから、歌詞も刺さるのかなと。

まあでも言ってることはワン・パターンなんですよ。結局いっつも同じこと考えてるし(笑)。あと2、3年くらいで飽きられるんじゃないかなぁ~って。

-何をおっしゃる(笑)。歌詞において日本語と英語のバランスは考えますか?

日本語が合えば日本語にするってだけなんですよ。"日本語の曲をこれくらいにしよう"とかそういうバランスとかあんま考えてないです。"あ、日本語で歌ったらこのメロディ映えるわ"っていう感覚だけですね。知識とかじゃないですね。

-生きてきて感じてきたことをそのまま曲にして歌にしているから、なお響くんでしょうね。

いきなり家族全員が天災とかに奪われて絶望している人が聴いたときと、普通に生活している人が聴いたときに、反応が違うものは嫌だなぁって思ってるんです。自分が歌うものは不変的で、ありふれたものがコンセプトかもしれないけど、誰しもに同じバランスで、よりそれを求めてる人の痛みとか悩みの深さがある人にもちゃんと聴こえるようなところをやりたいっていうのは常にありますね。みんなに届けたいっていう気持ちが常にあるんですよ。"みんなの中の、より1個の正解はなんなんかなぁ"っていう風に書いてってるんで、シンプルな歌詞になるんですよね。国民的な歌......「上を向いて歩こう」とか歌詞もシンプルじゃないですか。そういう歌が、みんなに届く歌だったり、コンセプトだと思うんで。あと必要なのは説得力で。僕らはそこをメロディでやらなきゃいけない、ライヴで伝えなきゃいけないっていう"バンド"っていうものをやってるんですよね。

-なるほど。秋には全21公演のリリース・ツアーが予定されていて、ファイナルは福岡で。

そうですね。作品を作るときは本当に苦しいので、ライヴではスカッとしたいです(笑)。単純に、お客さんがどんな反応をするのかが楽しみっていうのはありますね。この曲に対してこういう風に反応する、とか予想だにしないことが起こるのがライヴなんで、それが楽しみかなって。

-その間の曲作りはいかがでしょう?

曲は常に作ってるんで、ツアー中に作ることもあると思います。......昨日ぼーっと次の作品について考えてて。作品を終えるごとに"あーここだめだったなぁ"とか課題が山ほどあって。それを何とかクリアしたいって気持ちが湧き上がって、"早く次の作りたい!"っていうところからそういう作業にいこうって気持ちになるんでしょうね。

-今作もですか?

ありますあります。8月頭に全部ミックスが全部終わって。......ありますよ。ずーっとあると思います、この先も。完璧になれないから続けられるっていうのもありますし。

-そういう感情がバンドを動かす1番のエネルギーかもしれないですね。

それじゃないとやってけないですね。どんな仕事でもそうですけど、好きだから続けられる。特にバンドや音楽は人前に出ていく仕事ではあるので、やっぱ愛がないとつらくてプレッシャーとかに簡単に負けちゃいますね。

-でもknotlampは大丈夫ですね。

そうですね。年老いて体力がなくならない限りは(笑)。