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INTERVIEW

DOIMOI

2012.07.19UPDATE

2012年07月号掲載

DOIMOI

Member:杉山明弘 (Gt)

Interviewer:KAORU

-DOIMOIというバンド名の由来は?"ドイモイ"とはベトナム語で"経済、社会思想面においての新方向への転換を目指すもの"だそうですが、関係はありますか?

意味は知っていましたが、単純に響きだけでつけました。活動開始当初、僕がエモに傾倒しまくっていたのが他のメンバーにも波及して、皆そんなような音楽を専ら聴いていました。"emo"を英語読みすると"イーモ"になるというのを、日本語の"イモい"の語感と結びつけてジョークのように面白がっていまして...。バンド名をちゃんと考えようとなったとき、"イモい"に"ド"がついたら、そんなにひどいバンド名はない、ということで僕が言い出しました。後からちゃんとした名前を付けるつもりが、結局それを凌ぐインパクトがある名前が他に出ず、本採用になってしまったという流れです。
"ふやけきった音楽シーンをDOIMOIの音楽で変革してやる"みたいな意気込みをもってつけたのか?と訊かれたら、違います!と答えます。ただ、聴く人が"今まで自分の中になかった音楽だけど、これは好き、似たようなのももしかして聴けるかも"みたいに新しい意識を持ってくれるきっかけになるとしたら、それは嬉しいことです。

-メンバーさんそれぞれのルーツとなった音楽を教えてください。メタル、グランジ、エモ、ポストロックなどだけではなく、とても幅広い音楽を聴いているのではないかと思うのですが。

まず僕は、いま挙げていただいたものに付け加えるなら、各国の古いプログレや、ごく軽くですが、フュージョンや現代ジャズ、あとはもっと普通に聴かれているポップスも好きです。中学生の頃から圧倒的に洋楽メインで聴いてきましたが、日本語のバンドをやるようになって、どこか意識しているのはスピッツと筋肉少女帯だと思います。前者については誰も察しがつかないと思いますが(笑)。一番はずっとANTHRAXで、その他もKING'S XやRUSHなど、強く影響を受けたのはどこか異ジャンルとの境界に立つようなバンドが多いです。ひとくちにHM/HRと呼ばれる中でも、AOR同然のものから崩壊寸前のムチャクチャなゴシック・デスまで、色々あるものを結構熱心に押さえてきたので、それだけでも音楽的な幅広さにつながっていると思います。

ヴォーカルの二村は、特定のジャンルを決めて掘り下げないという意味では幅広いと思います。本人もはっきり言わないですし、未だにルーツは謎ですね。元々メタルとは無縁の人ですが、感じ入るところさえあれば好きになるようです。今まで聴かせた中ではTHIN LIZZYが1番のヒットで、意外とENTOMBEDやTHE HAUNTEDも気に入っていました。エモ/インディ・ロックではJ・Robbins(JAWBOX~BURNING AIRLINES)に入れ込んでいましたね。メンバー同士で行くことはないですが、カラオケではBILLY JOELやJOURNEYが十八番だそうです。

ベースの篠田は元々PANTERAやSEPULTURAみたいなヘヴィ・ロックや、FOO FIGHTERS、RED HOT CHILI PEPPERSあたりの王道オルタナを好んでいて、FARAQUETやDON CABALLEROあたりを入り口に、ポスト・ハードコアにものめり込んでいったという、わりとバンドの音楽性と近い嗜好の持ち主です。世代の近い国内のバンドを、メンバーの中で一番よくチェックしていて、活動していく上での世間とのバランスをうまく取ってくれてるように思います。

ドラムの林はまたガラッと変わって、MEDESKI, MARTIN & WOODのようなジャム・バンド~クラブジャズ、スカなどが専らのルーツのようです。一方で、日本のエモ/ポストコアがちょうど盛り上がってきた頃に、そんな音楽性のバンドに在籍していたことがあって、NINE DAYS WONDERやスパルタローカルズのようなバンドもよく聴いていたみたいです。中学時代にEXTREMEが好きだったというのが唯一のメタルとの接点ですね(笑)。

-アルバム『Materials Science』完成おめでとうございます!このアルバムを完成させるまでに、どの位の期間がかかりましたか?

曲作りは本当に長々と、3年近くずっと作りっぱなしでした。いい加減期日を決めてリリースに向けて動きましょうとなってから、録音などの制作にかけたのは2ヶ月くらいでしょうか。レコーディングもミキシングも自分達でやったので、土日で素材を録って平日夜に編集をして...という生活でした。プリプロを作らず、本番音源をいじりながらギターのオーバーダビングを考えていくので、いつも宅録に近いやり方になってしまいます。

-今作はただ一言でかっこいい!と言うことも出来ますが、個人的には様式化したメタルやエモ勢に対するカウンター的な姿勢を感じ、音楽インテリジェンスの高さに驚かされる非常に興味深い作品だと思いました。「"何々とメタルの融合"と称したコラージュ音楽との差別化」を目指しているとのことですね。批評眼と知性と初期衝動と探究心が結実した素晴らしい作品だと思います!ご自身では今作をどのように評価していますか?

まずお褒めのお言葉ありがとうございます。基本的には、歌の良さがまっすぐ届くことと、メタルやグランジのように、ー種の極端さを持つ音楽特有のエキサイトメントとを、いかに両立させるかという点に注意を払って曲作りをしているので、なかなかそれが達成できた曲の集まったアルバムになったかなと思っています。間をとって妥協するのではなくて、極端と極端をぶつけるような内容に出来たかと。ただ、そういうことを観念的にやりすぎてアカデミックな感じになるのも嫌なので、ロック然とした温度は常に根底で感じられるようにしたつもりです。

-作曲は全て杉山さんが担当されていますが、曲作りのプロセスを詳しく教えてください。

ギターを持つ場合と持たない場合があります。まず持つときは、あれこれ弾きながら探る中で、ふと特定のコードなり、リフなりの断片からバーッとその先に続くイメージが出てくることが稀にあって、そのきっかけを逃さないようにしてワン・コーラスくらいを一気に作ってしまいます。ギターを持たない時は、ラジオで初めての曲を聴くような感覚で、いわゆる"脳内再生"を作曲しながらやるという感じです。つまらないものが出てきたら即捨てて、行き詰まったらその前後を延々リピートして練っていきます。自転車をこぎながらやったり、部屋を暗くしてやったりと、色々試しています。どうにも先が続かなくなったら、一発のインスピレーションに賭けてギターを持ってみたり、また最初からギターを持って勢いで作った曲は、途中から"脳内編曲"に切り替えて整理したりと、途中途中寝かせながらゆっくり煮詰めます。最終的に完成となったら、打ち込みのドラムと、ギターでヴォーカルのメロディを弾いたデモを作って、メンバーに聴かせます。この時点でギターのアレンジの振り分けを考えたりします。

-詞は曲の土台が出来てから後に付けているのでしょうか?

完全にそうですね。曲ができるのがスロー・ペースすぎて、順序の入れ替えも試そうと考えましたが、まずはテンションの上がるリフなりワン・フレーズなりがないとダメなようです。

-アルバムの内容については第2弾インタビューで詳しく聞かせていただきたいと思います。ありがとうございました!

ありがとうございました。