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INTERVIEW

MOONSORROW

2011.06.09UPDATE

2011年06月号掲載

MOONSORROW

Member:Mitja Harvilahti(Gt)Ville Sorvali(Ba&Vo)

Interviewer:道明 利友

-本人的にも今作はすごく手応えを感じているんじゃないですか?

Mitja(以下M):こういう感覚は初めてなんだが作品を作り終えると、“ここはこう変えてみたい”っていうようなものがだいたい毎回少しは出てくるんだ。しかし今回のアルバムに関しては自分達がやりたいことは全てやりとげられたと思っている。俺達は、自分達の作品にもパフォーマンスにも自己批判的に色々なことを考える性質だが、そういう自分達から見ても今回は凄い作品ができたんじゃないかと思っている。

Ville(以下V):そうだな。とてもストロングなアルバムになったよ。今回は特に一つの目的に向かってメンバー全員が一つになって向かっていけたから、その結果がこういう全ての要素に自分達も納得できる作品になったんだと思う。

-今の話の“目的”ではないですが、今回のアルバムに何か一つテーマがあるとしたら、それはどんな言葉で表現できますか?

M:一言で言うなら、“Life After Death”だ。今回のアルバムはコンセプト・アルバムで、邦題にもなっていると思うのだが、“終末後の世界”なんだ。世界が終わってしまった後を舞台にして、1曲1曲ごとのサブジェクトが展開していくというものなんだ。今回はコンセプト・アルバムというだけあって、曲それぞれのテーマやイメージに沿った音を表現している。例えば、収録されている足音も、終末後の世界で荒野を歩く生存者をイメージしたものだ。それに加えて、今回はブックレットでも“終末の世界”をヴィジュアルで表現していて、自分達が何を言いたいのかということがより伝わるような作品にしたかったんだ。

V:もしこのアルバムの“終末後の世界”の物語を映画にするなら、今作はそのサウンド・トラックになるような感じだと言える。

-映画のように壮大な物語ですね。その“終末後の世界”というものを今回のアルバムのテーマとして選んだそもそもの理由を教えてください。

M:このテーマを選んだのは、俺達にとってはすごく自然なことだった。実は、前作の『Viides Luku – Hävitetty』でも“世界の終末”というテーマを扱っていて、その作品というのが、世界が終わる場面でストーリーが終わっていたんだ。そのアイデアを前作のストーリーの続編として次に引き継いでいくのも良いのではないかと思ったんだ。前作で描いた世界、それが終わった後の世界はどうなるんだろうという疑問から今回のアルバムのテーマが生まれたということもある。あとは、例えばインターネットを通して、街が破壊された写真、たくさんの人が亡くなってしまった映像などが世界中から送られてくるのを俺たちは日々目にもしている。そういう中で生きている俺にとって、この“終末後の世界”っていうトピックで作品を描くことはごく自然なことだったんだ。

-必ずしも幸せなことだけじゃなくて、人が争ったり亡くなったりするっていう悲しい出来事も、僕達は毎日目にしているわけで……。MOONSORROWの作品も、言っていればその後者のほうが楽曲のテーマになることが多いというか。

V:やはり音楽に限らずではあるが……。何か芸術を創り出すときというのは、例えば悲しい出来事であったり悲劇みたいなものにインスパイアされるものなのだろう。だからといって自分達がいつも悲しい状況にいる人間だということではなく、今こうやって生きていることはとても幸せことだけど、人の心を焚きつけるのは、何かそういう大きな悲しい出来事であったりするということはあるんじゃないかな。

-歌詞のストーリー同様、サウンド面もすごくインパクトがありました。MOONSORROWの音楽は“フィニッシュ・ペイガン・メタル”という表現で称されることが多いですが、皆さんはどんな音楽に影響を受けて今の音楽性を確立させたんですか?

V:例えばブラック・メタルは、俺の中ではすごく大きな存在だったと思う。90年代初頭に自分が音楽を聴き始めたきっかけは、当時のノルウェーのブラック・メタルを聴いたことだったからね。

-ブラック・メタルというと、例えばどんなバンドが?

V:DARKTHRONEのあの攻撃的なサウンドは、当時の俺にとってはそれまで聴いたことがないもので本当に衝撃だった。あの感覚は、俺にとっては今も、他のブラック・メタルを聴いても絶対超えられないくらいのものだと思う。

M:俺もDARKTHRONEはインパクトを受けたし、あとはやはりEMPERORだな。彼らのシンフォニックな側面にすごく影響を受けたんだ。ブラック・メタル的なサウンドにキーボードが入っているというスタイルには影響を受けたし、さらに言えば、それより大きいのはENSLAVEDだろう。ENSLAVEDから受けた一番の影響は、自分達はフィンランドのバンドだというルーツを思い出させてくれたことだろう。音楽的にはもちろんだし、バンドとしての哲学みたいなものだとかリリックの面でも大きな影響を受けたね。そういうものを感じさせてくれたバンドはそれまではあまりなかったが、ENSLAVEDのようなバンドがノルウェーから排出されたことが今の自分達の音楽が形作られたという側面は凄くあると思う。

V:例えば、フィンランド語で歌うというスタイルもそうであるし、そこに、フィンランドの伝統的な文化であったり、俺達はフィンランド人だというアイデンティティを作品の中に込めていたENSLAVEDみたいなバンドが現れたことは、MOONSORROWだけでなくノルウェーの他のバンドにとっても影響は大きかったんじゃないかな。

M:実は、歌詞の中でノルウェーのことを直接歌っていたりする曲は、俺達の曲にはほとんどないんだ。でも、そういうルーツがあるからこそ、俺達の作品を聴けば“MOONSORROWはノルウェーのバンドだ!”ということがきっと伝わるんじゃないかと思う。