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INTERVIEW

MURDERDOLLS

2010.09.03UPDATE

2010年09月号掲載

MURDERDOLLS

Member:Wednesday 13(Vo/Key/Gt/Ba)  Joey Jordison(Gt/Dr/Per)

-このアルバムにある怒りは、どこから生まれたものなのですか?

W:俺達の事を考えてみろよ。多くの人はいわゆるロックスターってもののイメージを持ってる。で、そのロックスターが色んな事に不平を並べてるのを耳にする。エゴとかを持ってる奴らが多いんだ。でも、普通の人には全くわからない。きつい人生だよ。ツアーに出て、9か月も10か月も家に帰れず、家族や子供、妻にも会えない日が続く。徐々にその普通の生活に思いを馳せるようになって、そいつを打ちのめしてしまうんだ。で、そんな生活を何年も続けていく。
だから、ロック野郎達のクレイジーな話をよく耳にするようになるんだ。10代のころは何にでも反抗してたから、全てに対してうんざりしてたように思うんだけど、俺も今年で34歳だし、過去5、6年でいろんなことを経験してきた。金を手にしたり、金を失ったり、奥さんがいたり、子供がいたりってね。色んなしがらみがあって本当に自由には出来なかった。これはすべてに対する反逆なんだ。
前のMURDERDOLLSを振り返ってみて、今こそ全身全霊をかけて進むべきだって感じたんだ。前回は100%の俺を出してはいなかった。だから今回は、自分自身を再度作り上げる事であり、バンドを再度作り上げる事なのさ。俺にはこれしかない。このバンドをやるために、今まで持っていたもの全てを手放した。この6か月ほど、スーツケース一つで生活してきたんだ。このアルバムにある「Rock 'N' Roll is All I Got」っていう曲は、100%真実なんだ。これが俺の持つ全てなんだ。

-前作と比べて、最も重要な音楽的違いはなんですか?

W:ファースト・アルバムは楽しい雰囲気があった。でも、曲自体はすべて以前に書きあげられていた曲なんだ。Joeyの曲もあれば俺の曲もあった。さっくり出来上がったアルバムなんだ。3コードの、2分半の曲とかね。でもそれだけじゃずっと続けていけられないだろ。このアルバムで、俺達二人は初めて一緒に曲を作っていった。どの曲か忘れちまったけど、"おっと、この曲は4分半もあるじゃん!"っていう時もあったね。つまり、俺達は本当の曲作りを一緒にしていったんだ。これが全てだね。リアルな曲を今回は書いたんだ。歌詞的に見ても、今回はただ単に座って、まぬけな事を考えながら書く、なんてことはなかったね。ちょっと待てよ、これってすごく俺にぴったりくるみたいだな。
今回は、俺が感じてる全てのクソに関する事を書いてる。だから、ステージに立った時、完全にそのモードに入れる。以前は、イントロが流れてステージに立って、間抜けな事を考えながらただ楽しんでるって感じだった。死者の目覚めさ。
ちょうど先週6年ぶりのショウをやったんだけど、何が起こったのか覚えてないくらいさ。いや、酔っ払ってたわけじゃないし、薬でラリってたわけでもないけど、なんて言うかスイッチが入った感じで、新曲の世界に入り込み、ステージ上で歌詞で歌われている世界に取り込まれてたから、とでもいえばいいのかな。何が起きようとしているのかも分らなかった。後でその日の映像を見たんだけど、Joeyが途中でマイクスタンドをほおり投げて、それがあとちょっとで俺の頭に当たりそうになってたんだ。でもその時はそんな事全く気付かずに歌い続けてた。そんな感じだったんだ。完璧なケイオスだったね。まるでステージ上で俺達に憑いてる悪魔を振り落としてるみたいだった。俺達にとってのセラピーなんだ。これが俺達のやりかたさ。

-このアルバムではホラーの要素が少なくなり、よりパーソナルな内容になっています。その理由を教えて下さい。

W:14歳の頃から俺はホラーっぽい曲を書き続けてきたんだ。で、あるときふとこう思った。いったいあとどれくらい墓泥棒やゾンビやドラキュラの歌を歌い続けられるんだ?よりパーソナルな事を歌った方が、そのバイブをステージ上でも発揮できるんじゃないか?ってね。実際そっちの方が、ステージでプレイしている時も自分自身が楽しめるんだ。たとえば「My Dark Place Alone」を歌ってるとき、その場所に入り込んでるんだ。前のアルバムの曲、例えば「Graverobbing U.S.A.」をステージで歌ってるとき、別に墓を掘り返してる事を思い浮かべながら歌ってたわけじゃないしね。曲にのめり込む方が、より違う感情を引き出せる。もちろん昔の曲もこれからもプレイするよ、すごく楽しいし、楽しいバイブに溢れてるからね。でもこの新作からの曲では、俺達のアティテュードや感情を全て注ぎ込みながらプレイできる。すごくリアルなんだ。

-では、新作での楽しい個所っていうのはありますか?

W:もちろん楽しい要素はあるよ。まあもしかしたら俺達が思う"楽しさ"なのかもしれないけどね、なぜって俺達には病的なユーモア感覚があるからね。「Drug Me to Hell」は俺にとっては楽しい曲だよ。「Hello, Goodbye, Die」もファニーだね。「Pieces of You」はポッピーな曲だけど、内容は女の子を切り刻む男についての曲なんだ。それは、俺に言わせると"ファニー"なんだよね。そう、だから楽しいバイブはあるよ。よくわからない人もいるだろうけどね。でも、MURDERDOLLSがどんなバンドかって事を知ってる人達には、「Pieces of You」や他の曲にあるこの"ファン・バイブ"を感じてもらえると思うよ。

-今回の曲を書くにあたって、インスパイアを受けたバンドはいますか?

J:俺とWednesdayは、ちょっとした約束を交わしたんだ。何も聴かないようにしようってね。さっきも言ったように俺はフラストレーションを感じていたし、全てに退屈していたんだ。そんな感情が「Bored 'Til Death」っていう曲にも表われているんだけど、世に溢れるバンドや、誰も何の努力もしていない状況に関してうたった曲がある。だれもが何となく感情をくぐり抜けてる感じがするんだよね。バンドを結成して、レーベルは契約を結ぶ。そしてお互いの利益になるように努力し続ける...、レーベルも今じゃ蝿みたいに落ちていく一方だからね。
そう、俺達は約束をしたんだ。何も聴かずに、俺と彼だけで部屋にこもって俺達自身のサウンドを作ろうってね。二人で目を合わせながらずっとやってたよ。いろんな曲のアイデアも持ち寄って、俺達のやりたい事をどう表現するかっていうアイデアも持ち寄って、本当の意味でのMURDERDOLLSのファースト・アルバムを作ろうとしてたんだ。完全な形で仕上げて、そいつを世に放り出すんだ。これでしばらく進み続けるよ。俺達にとって有利な状況になるまで外に出つづけるつもりだ。でも、そうなるまでそんなに長くはかならないと思うよ。

-MOTLEY CRUEのMick Marsが「Drug Me to Hell」と「Blood-Stained Valentine」でギター・ソロを弾いていますよね。このコラボレーションはマネージャーであるSullyがきっかけをつくってくれたと聞いたのですが?

W:Sullyは、SLIPKNOTで何年もJoeyと一緒に働いてきた男で、MOTLEY CRUEのツアー・マネージャーだった事もある男なんだ。ちょうど「Blood-Stained Valentine」のトラッキングが終わり、ヴォーカルも取り入れ、あとはギターを入れる、という段階だった。あるディナーの時に一緒に飯を食いながらギター・ソロについて話をしてたんだけど、その時Joeyにこう言ったんだ。"マジで、この曲にはなんだかMick Marsっぽいバイブが感じられるだよな"ってね。そのソロを鼻歌で歌いだしそうな勢いだったらしく、プロデューサーは俺の事を笑ってたけどさ、とにかくそんなような事を話してたんだ。で、マッド・マネージャー(Sullyの事)がこう言ってきた。"おい、この腰ぬけ野郎、Mick Marsにこの曲でプレイしてほしいのか?"ってね。だから俺は"つべこべ言わずに彼に電話して来いよ"って答えた。そしたら彼はたばこを吸いに外へ出て、戻ってきた時にこう言ったんだ。"よし、この土曜日にセッティングしよう。もしMickがこのスタジオに現れたら、俺にタバコを一箱くれよな"ってさ。これがマッド・マネージャーとのディールだった。実はまだ奴にタバコを渡してはないんだけどさ。
で、まさしくロックスターって感じでMick Marsが来てくれたんだ。トップ・ハットを被って、厚底の靴を履いて、彼のギターを持ったホットな若い女の子と一緒にね。ちょっと座って、一緒に話をし始めたんだけどそれで俺達が同じ考えを持ってるって事に彼が気づいてくれたんだ。そう、同じ種類の人間だって事にね。その後彼はスタジオに入った。金とかそんな話は一切なかったね。そんな事よりも彼はギターのトーンやこの曲に彼特有のサウンドを注ぎ込む事に集中してくれた。で、部屋に入って、マーシャルにつなげてとんでもなくデカい音を出し始めた。アンプに耳を近づけて、"まだこんなんじゃ足りないな"とか言いながらさ。6、7時間ほど彼と一緒にあれこれやってみて、それからトラッキング・ルームに一緒に行って、そこで彼のプレイをすぐ横で見てたんだ。ただただ驚きだったね。彼が俺達のために弾いてくれてるなんて、夢みたいだったよ。俺はちっぽけな街で育って、MOTLEY CRUEは俺の大好きなバンドで、『Shout at the Devil』を聴いて育ってきたんだ。子供だった俺はその音にぶっ飛んだんだよな。怖くなっちゃうくらいだったよ、こんなレコード、俺が持ってちゃいけない、なんて感じだったね。俺は聖書地帯に住んでたから、このアルバムを隠さなくちゃならなかった。で、そのバンドの、俺がレコードを隠さなくちゃいけなかったバンドのギタリストがそこにいるんだぜ。俺は彼にこう言い続けてたよ、"このアルバムは親が嫌うアルバムになるぜ"ってね。
Mick Mars印はただ凄くて、彼はクールで、とんでもなく素晴らしい男さ。誰も彼の名声に勝てる奴なんていないね。彼こそ本物のロックン・ロールの悪漢なんだ。彼がこのアルバムでプレイしてくれたことを、本当に誇りに思うよ。