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INTERVIEW

CYPRESS HILL

2010.04.01UPDATE

2010年04月号掲載

CYPRESS HILL

Member:SEN DOG(Rap)

Interviewer:KAORU

-『Rise Up』は、これまでのCYPRESS HILLが打ち出してきた、ハードコア・ヒップホップ、ラテン、ロックをミックスさせたサウンドの集大成と言えるサウンドであると共に、最高傑作と言えるクオリティを誇る素晴らしいアルバムだと感じました。6年ぶりの新作ということで、アルバム製作前から「こんなアルバムにしたい」というような具体的なイメージなどはありましたか?

本当にありがとう。そう評価してくれて嬉しいよ。力を入れて作ったアルバムなんでね。そんなふうに感心してくれるとは、鼻の高い思いだ。制作前の段階では、いわゆるコンセプト的なものは何もなかった。うちは基本的にいつもそうなんだが、何か楽しいことやろうぜっていうのが最初にくるんでね。それも、他の誰でもない、俺たちが楽しいと感じることをやる。自分たちが楽しめる音楽こそが、俺たちにとってのグッド・ミュージックなんだ。それだけに、他の人が喜んでくれると俺たちの喜びもひとしおなワケ。何だってそうだけど、やってる本人が楽しくなきゃ始らないからな。

-各曲のプロデュースを、B-Real以外にも様々なプロデューサーが手掛けたようですが、このスタイルは今回が初めてですか?

初めてだ。俺としては前から思ってたんだ、俺たちも音の幅を広げる必要があるんじゃないか、って。俺個人は前からそう思ってたし、だからまぁ、漠然とだけど、色んな人とコラボの話をして盛り上がったりしてた。だってさ、この世の中、プロデューサーを名乗る人間は星の数ほどいるが、本当にビックリするほど才能のあるやつはそうそう多くないんだから、そういう本物の連中と組めるチャンスが巡ってきたら、逃すのはもったいない。だろ?CYPRESS HILL にとっても、いいことに違いない。というわけで、今回のアルバムで思い切ってやってみたんだよ。俺たちのアルバムって、性質的にコラボレーション向きだと思うし。人選は俺たちでやった。今までまともに組んだことのなかった連中とのトラックも、いい音になったよ。

-また、ミックスも複数のエンジニアが行ったようですが、このように曲毎にプロデューサーやミックス・エンジニアが変わると、アルバムが少し散漫な印象になってしまうのではないか?と推測してしまいますが、実際に散漫な印象は全くありません。B-Realは彼らに対して、一曲一曲に対する具体的な注文や、入念なディスカッションを行ったのでしょうか?または、ほぼ完全に彼らに委ねた感じなのでしょうか?

流れとしては、一緒にやろうって連中にスタジオに来てもらって、まずは既にあった素材を聴いてもらって。つまり、俺たちだけで先に作業は始めてたんで、途中まで作ったやつを聴いてもらったってことなんだが、その段階で俺たちなりに考えていた、求める音とか、こんなフィーリングでとか、そういうのは説明したよ。でも、そこから先は相手に任せた。その人が感じるままに音楽を仕上げてもらったんだ。俺が思うに、コラボレーションである以上、相手の意図を理解するっていうのは、すごく重要っていうか、鍵になるポイントだよ。プロデューサーには、自分に何が求められているのかを、ちゃんと把握した上で仕事をしてもらわなきゃ。逆に、そこを把握しておけば、あとは自由度が増すだろ?その人が手掛けるトラックは1つでも、アルバム全体として俺たちが求めているフィーリング、さっき言ったような楽しさを感じさせるサウンドにしたいっていう部分は、プロデューサー全員に話して、合意の上で作業したつもりだ。なんで、サウンドに一貫性があると思ってもらえたら、それは成功だな。嬉しいよ。まぁ、基本は一緒に楽しんじゃえってことだったんで、どれもこれも楽しい音になるのは必然だったかもしれないけどさ。プロデューサー側は、俺らのことも俺らの音楽のことも、事前によく知ってたから、そういう安心感はあった。

-あなたとB-Realとの間にはディスカッションもいらなそうですね。

俺とB.リアルの付き合いは、あいつが13歳で俺が17歳ぐらいの頃に遡るんでね。サイプレス・ヒルそのものよりもずっと前からの付き合いだから、俺たちの間のリスペクトっていうのは、音楽やってる人間同士っていうよりも、友達同士のそれなんだよ。で、それがあるからバンドの方も長く続いているんだろう。人間としてのリスペクトが先にあるっていうのは大きい。俺はあいつに失礼なことは絶対しないし、あいつも俺に失礼なことは絶対にしないっていうのが、10代の頃からずっとそうなんで、俺たち同士のリスペクトは鉄壁さ。

-『Rise Up』の中で、完成するまでに一番苦労した曲は?

特にないね。少なくとも、最終的にアルバムに入ることになったトラックに関しては、サンプリングも含めて、最初からクリアなヴィジョンを持って作業してたんで、これといった障害も無く完成することができたと思う。実は俺、最初は心配してたんだけどね。というのも、これだけ大掛かりなプロジェクトで、大勢の人間が関ってくるとなると、面倒なことも多いんじゃないか、まとめるのが難しいんじゃないか、と。結局、成功の秘訣は考え過ぎないこと、なんだろうな。曲に任せておけば、ちゃんと進んでいくんだよ。音楽自体は俺たちの魂のウソのないところから生まれてきてる。それは確かだ。だから、あとはそれが自由自在に、好きなように流れていけるようにしてやれば、それでいいはずなんだ。あれこれ考え過ぎたり、考え直したりしてると、それは自分を疑い始めるってことだから、絶対よくない。一番大事なのは正しい人選だ。相応しい、クリエイティヴな連中を集めること。それさえできてりゃ、あとは何だって可能だ。