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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

FEATURE

RHAPSODY OF FIRE

2016.02.08UPDATE

2016年02月号掲載

エピック・メタルの代表格、ここに在り。荘厳なオーケストレーションと、ドラマティック且つダイナミックなメタル・サウンドが、新たな伝説を刻む

ライター:井上 光一

好きな人にとっては説明不要、ここ日本においても、ある一定のメタル・シーンの中ではトップ・クラスの知名度と人気を誇る、イタリア出身のメタル・バンドによる最新作。RPGさながらのストーリーを展開していくコンセプトありきな世界観で、生のオーケストラを大胆に起用し、欧州的な大仰さを前面に押し出した、強烈なシンフォニック・メタルを提示。俗に"エピック・メタル"とも称される彼らのサウンドは、バンド改名騒動や、メイン・ソングライターであったギタリストの脱退などを経た今も、基本路線はほぼ変わらず自らが築き上げた音世界を継承しつつ、己の信じるメタル道を邁進し続ける、すでに20年に及ぶキャリアを持ったバンドである。――このような説明だけで鼻白んでしまう向きもあるかもしれないが、本稿ではあえて現代的なメタルコア、ヘヴィ・メタル、ラウドロックを愛聴する若いリスナーを念頭に置いたうえで、話を進めさせていただこう。
 
音源をプレイヤーで再生させ、Track.1「In Principio」が始まった瞬間、彼らの音を知らない人は戸惑いすら覚えるに違いない。緊張感に満ちたオーケストレーション、荘厳なクワイヤで構成された、まさにオープニングと呼ぶに相応しい楽曲から、一気にクサクサのメロディアスなシンフォニック・メタル、Track.2「Distant Sky」へと雪崩れ込む様は、完膚なきまでに王道の展開である。タイトル・トラックのTrack.3「Into The Legend」も、力強いメタル・サウンドと勇壮なストリングス、ブラスなどのオケが見事に融合し、オペラ風の情熱的なヴォーカルでアンセミックなメロディを歌い上げ、美麗なギター・ソロがトドメを刺すのである。恐らく、往年のファンも快哉を叫ぶ出来栄えであろう。Track.4「Winter's Rain」あたりの、ミディアム・テンポでタイトなリズムの上を、ザクザクとヘヴィなギター・リフが刻むサウンド・アレンジなどには、現代的ヘヴィネスのセンスも感じられる。もちろん、ブレイクダウンやグロウルなどが盛り込まれるわけではなく、ギターと同じくらいの分量で高速のヴァイオリンが奏でられ、聖歌隊のごとき合唱コーラスが炸裂するのである。フル・オーケストラと、アコギの調べ、泣きのギターが楽曲を盛り上げるバラードのTrack.7「Shining Star」にしても、16分を超える大作にしてラストの楽曲「The Kiss Of Life」にしても、すべてが手加減なし、すべてが過剰。それでこそ、成立する音世界というものが確かにあるのだ。とはいえ、彼らがデビューした90年代後半当時は、こういったサウンドが熱狂的に迎えられる反面、冷ややかな目を向けられることも多かったというのも、ひとつの事実ではある。だからこそ、2016年という今の時代に、リスナーが表面的なイメージに囚われるような、偏屈な聴き方をする必要などはまるでないと強調しておこう。Fabio Lione(Vo)が現在ヴォーカリストを兼任しているANGRAのライヴでキッズたちがモッシュする光景は、たしかに私自身がいつぞやの"LOUD PARK"で目撃したものであるし、メタルコア系のバンドと同じような感覚でDRAGONFORCEに熱狂し、GALNERYUSのような正統派のヘヴィ・メタル・バンドも熱く支持する若いメタル・ファンは多く存在している。好き嫌いはともかく、本作のように徹底した美学、確固たるスタイルを持った作品は、時間軸などは気にせず音楽に接することが当たり前となった世代のメタル~ラウドロック好きにこそ、聴かれるべきであろう。本作は比較的アップテンポな楽曲の比重が大きく、この手のサウンドにありがちな冗長さもそれほど感じられないので、まずは本作を入口として、比類なきヨーロピアン・メタルの神髄に触れてみて欲しい。

 


RHAPSODY OF FIRE
ニュー・アルバム
『Into The Legend』
[KING RECORDS]
KICP-1746 ¥2,600(税別)
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1. In Principio
2. Distant Sky
3. Into The Legend
4. Winter's Rain
5. A Voice In The Cold Wind
6. Valley Of Shadows
7. Shining Star
8. Realms Of Light
9. Rage Of Darkness
10. The Kiss Of Life
11. Speranze E Amor (Japanese Bonus Track)

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