LIGHT BRINGERがメジャー3rdアルバム『monument』を完成させた。今作はメタル好きはもちろん、ドラマティック且つシンフォニックな音色が好きで、美メロをこよなく愛するリスナーには必聴の内容である。より多くの音楽リスナーを巻き込む出色のでき映えと言えるだろう。ここで少し駆け足になるが、バンドのプロフィールにも簡単に触れておこう。バンド自体は2005年にHibiki（Ba）を中心に紅一点・Fuki（Vo）を迎え入れ、それからMao（Key）が加入する形で結成された。音源とライヴ活動を両輪にシーンに存在感をアピールし続け、2012年にアルバム『genesis』でメジャー・デビューを飾り、チャート・アクションも好調で、着実にファン・ベースを築き上げていった。これまで幾度かのメンバー・チェンジを経験し、同年にJaY（Gt）が正式加入したものの、その半年後にSeiya（Gt）が脱退してしまう。翌年の2013年に元SABER TIGERのYumi（Dr）が加入し、新5人体制で再スタートを切った。そして前作2ndアルバム『Scenes of Infinity』を発表し、メンバーも声を揃えて"自信作"と太鼓判を押すほどのハイクオリティな作品を送り出す。そして前作に引き続き、Fuki、Hibiki、JaY、Mao、Yumiのラインナップで作り上げたのがこの3rdアルバムだ。表題の"monument"という言葉には、記念碑、金字塔、他に類のないもの、など複数の意味合いがあるが、バンドにとって現時点でどこから聴いてもブレのない、最高作を手にしたという実感があるのではないだろうか。オープニング・トラック「旅途」は１分半に及ぶ荘厳なキーボードを主軸にしたインストゥルメンタル・ナンバーで、アルバムの導入にぴったりの凛としたサウンドである。その流れから入るTrack.2「Clockwork Journey」は、いきなりのキラー・チューンと言えるだろう。DREAM THEATERばりの主張激しいプログレッシヴな鍵盤の音色もフックにした疾走ナンバーで俄然燃えてくる。それ以降もテクニカルで切れ味鋭いギター・サウンド、ボトムでうねるような存在感を見せるベース・ライン、タイトなビートで土台を支えるドラムなど、より一枚岩となったバンド・サウンド、巧妙なアレンジ・センスに引き込まれる曲調が目白押しだ。その卓越した演奏に1歩も引かず、圧巻の歌唱力で時に激しく、時に美しく、時に朗々と歌い上げるFukiのヴォーカリゼーションは特筆すべきだろう。一聴で彼女だとわかる、その華やかで個性的な歌声はオンリーワンの輝きを放っている。メタル・クイーンの名を欲しいままにした、ハイトーンを駆使した美声は劇的な曲調にもマッチしているが、ミドル・テンポで迫るTrack.5「魔法」のような楽曲でも一段と映えている。今作の中でもポップ色の強い曲だが、ファンタジックな鍵盤と相まってキュートな歌声を存分に堪能できる。他にもTrack.6「ICARUS」では流麗でトリッキーなギター・フレーズをさりげなく披露したり、Track.7「名もなき友～Lost in winter～」はストーリー性に長けためくるめく曲展開で聴かせてくれる。トドメはアルバム表題曲「monument」で、これまた叙情的なメロディ・ラインが素晴らしく、加えてドリーミーかつセンチメンタルな雰囲気に満ち、グイグイと聴く者をLIGHT BRINGERの世界観に引きずり込んでいく。今作は１曲１曲の強度はもちろん、作品全体の流れも良く、最後まで聴き終えると、長編のロード・ムービーを観終えたような感動が待っている。曲単位で耳を傾けるのもいいが、ぜひアルバム単位で繰り返して聴いてほしいアルバムだ。聴くたびに発見があり、異世界に運ばれ、新天地に誘ってくれるようなワクワク感が詰まっている。この曲たちをライヴでどう表現してくれるのだろうか。いろいろと想像力を刺激される作品だ。

LIGHT BRINGER
メジャー3rdアルバム
『monument』
KING RECORDS
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[CD]
01. 旅途
02. Clockwork Journey
03. Gothel
04. Dicer
05. 魔法
06. ICARUS
07. 名もなき友 ～Lost in winter～
08. monument
09. 陽炎 [Live]

[初回限定盤 DVD]
Clockwork Journey [Music Video]
Making of Clockwork Journey