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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

FEATURE

THE INTEGRAL POULTRY

2014.10.07UPDATE

2014年10月号掲載

幅広いロックに精通した話題の"紙袋"バンドが、デビュー作から半年弱で2ndフル・アルバムをドロップ!!

Writer 沖 さやこ

2013年4月に始動して以来、都内でのワンマン・ライヴを8回開催、配信限定音源を40曲発表という、尋常ならざるスピードで活動を続けるTHE INTEGRAL POULTRY(通称インポー)。2013年10月にはMINAMI WHEELに出演し、渋谷で行ったゲリラ路上ライヴでは300人の観客を集め、2014年は初の東名阪ツアーを成功に導き、SAKAE SP-RINGにも出演......と話題を集める謎多き"紙袋"バンドである。2014年4月に、BiS、中川翔子、柴咲コウなどの楽曲も手掛ける、音楽制作集団SCRAMBLESの代表、松隈ケンタをサウンド・プロデューサーに招いた初の全国流通盤である1stフル・アルバム『WILD RIOT』をリリースしたことも記憶に新しい彼らが、なんと半年弱で2ndフル・アルバムを完成させてしまった。その名も『Sack Of The Dead』="死の袋"。

今作も松隈ケンタがサウンド・プロデューサーを務め、SCRAMBLESプロデュースによる"ジャンルの壁にとらわれない自由な感性を持ったバンド"がコンセプトのレーベル"SCRAMBLE RECORDS"からのリリースである。『WILD RIOT』はその名が示すように、非常に勢いがある攻めの楽曲が揃い、1曲ごとに様々な音楽性を見せ、どの曲も一聴すれば口ずさめるようなシンガロング必須のメロディが冴え渡っていた。配信限定音源の中の選りすぐりの楽曲である12曲が収録されただけあり、"高水準の初期衝動"とも言うべき作品だったのだ。だが今回はそれよりも大人というべきか。まずアルバムとしての統一感があり、地に足がついた印象。楽曲をひとつずつ磨き上げたものが多い。単刀直入に言うと前作よりもスタイリッシュでシリアスでひりついた、メロディアスでパンキッシュなラウド・ナンバーの応酬だ。攻撃的な高速ナンバーTrack.2「MAD A MURDER」、暗闇を踏み飛ばすようなポジティヴなパワーが炸裂するTrack.3「WAR IS OVER」と、アルバム序盤から本気モードで特攻してくる。間違いなく以前よりも聴き手に訴えかけるメッセージ性が強い。楽曲ごとにヴォーカルやシャウトを巧みに使い分け、ミディアム・テンポの四つ打ちが心地よいロックなダンス・ナンバー「KEEP ON」のスペイシー感はバンドにとっても新機軸だ。ドラムとベースもシンセやギターなどのうわものをがっちり固めて支え押し上げるという、メタル的な音の奥行きを作り出す。

覆面バンドというと顔が見えないぶん(特に彼らの場合は謎が多すぎる!)、メンバーがどういうテンションで、どういう心持ちで音楽やバンドをやっているか見えにくいところがあるが、このアルバムの12曲には音楽にかける3人の真剣な想いとグルーヴがしっかりと封じ込められている。Track.7「PARADISE」、Track.8「Hello」に辿り着いたときの高揚感たるや。約3分という短尺の中に魂を込め、ひたすらに駆け抜ける。Track.10「Burning」はノイジーなギターがサウンドを牽引する、日本的なメロディがシンガロング必須の楽曲。このアルバムは前作よりもカラーに統一感があると前述したが、カラーを統一させながらもどの楽曲にも細かくさりげない様々なアプローチが盛り込まれているので、前作以上に聴き込めば聴き込むほどいろいろな発見がある、味わい深い作品と言い換えられる。メロコア、デジタル・パンク、ラウドロック、ダンス・ロック、ギター・ロック、ヒップホップなどなど、ロック・サウンドを軸にしながら幅広いジャンルに精通した彼らが発する音像の進化をこれからも見届けたい。



THE INTEGRAL POULTRY
『Sack Of The Dead』
[SCRAMBLE RECORDS]
DDCZ-1979 ¥2,000(税別)
2014.10.8 ON SALE!!
amazon | TOWER RECORDS | HMV

1. TRA-TRA-TRA
2. MAD A MURDER
3. WAR IS OVER
4. no fear!
5. KEEP ON
6. NO WAY
7. PARADICE
8. Hello
9. kuwagata
10. Burning
11. Genie
12. MONSTER

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