FEATURE
DAUGHTRY
2013.12.11UPDATE
Writer KAORU
2006年にリリースした『Daughtry』では2度の全米チャート1位を獲得し、2008年にはグラミー賞4部門にノミネート。MY CHEMICAL ROMANCEやHOOBASTANKを手がけたHoward Bensonがプロデュースし、NICKELBACKのChad Kroegerとの共作曲も話題を呼んだ2ndアルバム『Leave This Town』は、またしても全米チャート1位を獲得。2作連続1位の快挙を遂げ、前作『Break The Spell』もゴールド・ディスクを獲得した、Chris Daughtry率いるDAUGHTRYが、約2年ぶり、日本盤はクリスマス当日の12/25に待望の新作『Baptized』をリリースする。
今作は、BOYS LIKE GIRLSのMartin Johnsonや、ONE DIRECTIONに曲を提供したSam Hollanderなどとコラボレートし、今までのDAUGHTRYとは一味違うポップなアルバムに仕上がっている。
DAUGHTRYと言えば、NICKELBACKやBON JOVIなどに通じる、スケールの大きいアメリカン・ロックという表現が相応しかったが、今作はかなりディテールが違う。大陸的なメロディのスケール感は変わらないのだが、シングル・カットされている「Waiting For Superman」を聴いてもらえればわかる通り、ギターの音を抑えた代わりにシーケンスの音がグっと際立ち、今時のEDM風サウンドを取り入れた実験的な試みにも挑戦している。また、「Long Live Rock & Roll」を筆頭とし、カントリーの要素が随所に散りばめられているのも大きな特徴だ。カントリーはアメリカ一大きな音楽市場だし、これからのDAUGHTRYはロック・ファンだけでなくカントリー・ファンからも注目されることとなるだろう。
儚げな旋律と迫力のあるリズムの「Baptized」から始まり、EDM的なシンセ・アプローチの「Waiting For Superman」、サビのメロディが頭に残る「Battleships」、アップ・テンポでギターの音も重厚な「I'll Fight」、どこまでも爽やかで清涼感のある「Wild Heart」、隣の人と腕を組んでくるくる回りながらダンスしたくなくカントリー・ナンバー「Long Live Rock & Roll」、アコースティック・ギターが力強くかき鳴らされ、女性コーラスの声も印象的な「The World We Knew」、ファルセット・ヴォイスも使って歌い上げる「High Above The Ground」、ピアノとヴォーカルとストリングスだけのシンプルな構成でしっとりと聴かせる「Broken Arrows」、ドラムにエコー処理を施し、壮大なスケールを描く「Witness」、アルバムの中で1番ロック色が強く、歪んだギターとヴォーカルでパンチを効かせている「Traitor」、そしてアルバム最後を飾る秀逸なバラード「18 Years」……。
透明感のあるChrisの歌声は相変わらず素晴らしく、全体的に美しさが追求された仕上がりになっており、とてもポップでコンパクトで聴きやすいので、あっという間にアルバムを1周してしまう。
更に「Undefeated」、「Cinderella」、そして「Battleships」のアコースティック・ヴァージョンに加え、日本盤ボーナス・トラックには「Long Live Rock & Roll」のアコースティック・ヴァージョンも収録されている。
『Daughtry』や『Leave This Town』が好きなファンは物足りなさを感じるかもしれないが、新境地を開拓したDAUGHTRYサウンドもなかなか心地良い。COLDPLAYなどが好きな人にもお勧めしたい作品だ。
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