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FEATURE

PENNYWISE

2012.05.08UPDATE

新ヴォーカルにIGNITEのZoliを迎え、再スタート――。 全メロディック・ファン納得の新作で、シーンに堂々と返り咲いたPENNYWISEを渾身のシンガロングで迎えよう!

ライター:山本 真由

09年、シーンに衝撃を与えた“PENNYWISEのオリジナル・メンバーでリード・ヴォーカルのJim が脱退”というニュース。この時、多くのファンが“Jim がいないペニワイなんて!”と、悲観に暮れた。独特の存在感を放つJimのヴォーカルも、楽曲制作におけるJimの影響力も、バンドにとっては不可欠なものの筈だった。そのJimがいなくなるということは、ある意味“PENNYWISEがPENNYWISEではなくなる”ということ、そう思われても仕方のないことだった。しかしバンドは、そんな周囲の否定的な意見にも負けず、活動を休止することなく前へと進むことを選んだ。直ぐにサポート・メンバーとしてIGNITEのZoli Téglásを迎えライヴを行い、翌年には正式にZoliが新ヴォーカリストとして加入したことを発表。新メンバーというフレッシュなエッセンスと、危機を乗り越えたバンドの結束力は、再びPENNYWISEに“本来のPENNYWISEらしさ”を取り戻させた。その証とも言えるのが、このニュー・アルバム『All Or Nothing』である。

新作の内容に移る前に、彼らの激動の軌跡を辿りながら、PENNYWISEというバンドの重要性を振り返ってみよう。
88年、カリフォルニア州の沿岸都市、ハモサビーチで誕生したPENNYWISE。当時高校の同級生だった、オリジナル・シンガーのJim LindbergとギタリストのFletcher Dragge、オリジナル・ベーシストのJason Thirsk、そして隣町の高校に通うドラマーのByron McMackinというラインナップで活動を開始し、地元のバンド達とショウを行い、80年代に自主EPを2枚リリースしている。その後、BAD RELIGIONのBrett Gurewitzがオーナーを務めるEpitaph Recordsと契約し、91年にセルフ・タイトルの1stアルバムをリリースした。この作品で彼らは頭角を現し、南カリフォルニアのハードコア・パンク・シーン復権に影響を与えた。しかし、その直後にJimがバンドを脱退。Jasonがヴォーカルを務める代わりに、新たなベーシストとして現在のメンバーであるRandy Bradburyが加入しているが、レーベル・メイトのDave Quackenbush(THE VANDALS)がヴォーカルとして参加し、Jason がベースの枠に戻ったためRandyはバンドを離れることとなる。そしてまたすぐにJimがバンドに復帰を果たし、93年には2ndアルバム『Unknown Road』を発表。90年代半ばには、BAD RELIGIONやNOFX、GREEN DAY、THE OFFSPRING、RANCID等がヒット作を相次いでリリースし、多くのパンク・バンドがメインストリーム躍り出た。彼らの3rdアルバムまた、例外に漏れずビルボード100位以内にチャートインするという商業的な成功を収めた。ところが、ここで再びバンドに危機が訪れた。アルコール依存症を抱えていたJasonがバンドを脱退、その直後に自殺してしまう。ベースの枠にはRandyが戻り、バンドは新作『Full Circle』を制作。1st収録の「Bro-Hymn」を「Bro-Hymn (tribute)」として再録し、Jasonへ捧げた。以降、彼らのライヴでは決まってこの曲をラストに演奏し、バンドにとってもファンにとっても特別な楽曲となっている。
その後もバンドはコンスタントに新作を発表し、速いのに軽くない、どっしりとした野太いサウンドと、揺ぎないメッセージ性が信頼を集め、Epitaphの看板バンドの1つとなった。
00年代に入ってからは、9.11 以降、多くのバンドがそうであったように、ダークで感傷的な楽曲が増え、それはバンドに成熟したソング・ライティングと表現力をもたらした。バンドにとってそれは必要なタームだったに違いないし、ライヴでも十分な説得力をもって表現できる実力があってのことだが、初期の突き抜けた走り具合とポジティヴなアティテュードを求めるファンは多少物足りなさを感じていたかもしれない。そんな中、新生PENNYWISEとして発表する今作は、そんな重々しい鎧を脱ぎ去った、どこまでも彼ららしい作品となった。

まずは、このアルバムのカヴァー・アートに既視感を覚えた方も多いだろう。バンドのロゴ・マークを大胆に起用したこのアートワーク……あれ??これって『Full Circle』!?若しくはセルフ・タイトルの1st!?……実際、PENNYWISEのオフィシャル・サイト上で新作について、Randyは“こんなにエイキサイティングに感じたアルバムは『Full Circle』以来だ”と明言し、また、バンドのメイン・ソング・ライターであるFletcherも“自分たちのルーツに立ち返って制作した”と発言している。
まさに“これが聴きたかった!”と全ファンが納得するに違いない、力強いシンガロング・パートとファストで激しい楽曲が揃っており、そこに伸びのあるZoli のヴォーカルが見事にマッチしている。メンバー・チェンジを乗り越え、こんなに明朗で力強い、そしてフレッシュなサウンドを作り上げ、堂々と復活を遂げたPENNYWISE。彼らは立ち止まることなく活動を続け、PENNYWISEというバンドが決して過去のものではないことを、この作品をもって証明してくれた。

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