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激ロック | ラウドロック ポータルサイト

FEATURE

SKRILLEX

2012.04.14UPDATE

2012年04月号掲載

新世代ラウディック・エレクトロ代表!SKRILLEXを聴いて“今”を体感せよ!

ライター:KAORU

激ロック・マガジンには初登場のSKRILLEXだが、その名前を知らない人はあまりいないだろう。KORNの最新作『The Path Of Totality』を傑作へと導くのに大きな貢献をしたのは紛れもなくSKRILLEXであったし、他にもLADY GAGAやBLACK EYED PEASなど数々の大物アーティストのリミックスを手がけ、EP『Scary Monsters & Nice Sprites』はチャートを軒並み独占し、米グラミー賞では5部門にノミネートされ3部門を受賞している。SKRILLEXは、正に2011年を代表するアーティストの座に君臨したのだ。

SKRILLEXことSonny Mooreは、ユニバーサルからメジャー・デビューも果たしているFROM FIRST TO LASTのヴォーカリストという経歴を持つ。バンドを脱退した後、2010年にSKRILLEXとしての活動を始めている。スクリーモやハードコアをバックグラウンドに持つ彼が、マイナー・コードでノイジックで享楽的なレイヴ系ダブステップに目を付けたということは非常に納得がいく。しかし『Scary Monsters & Nice Sprites』を聴けば分かる通り、彼のサウンドはBPM140ハーフ・テンポのダブステップだけではなく、フィジェット・ハウスを含むエレクトロ・ハウス(四つ打ち)の曲も充実しているのだ。この絶妙なバランス感覚があったからこそ、『Scary Monsters & Nice Sprites』は世界中のリスナーを熱狂させたのだろう。シングル「Scary Monsters & Nice Sprites」や「Rock N' Roll(Will Take You To The Mountain)」で、世界中のクラブのフロアがどれだけ盛り上がったことだろうか。

さて、近年ラウドロック界隈でもダブステップというジャンル(いや、流行語か?)が浸透しているが、その接点をより固く結び付けたのがSKRILLEXだ。その前にもPENDULUMやTHE QEMISTSのアルバムの中の数曲や、メタル・バンドのリミックス・トラックなどから、じわじわとダブステップ特有のリズムに対してある程度の慣性は出来ていたのではないかと思うが、そんな“もう一歩!”という状況の中でリリースされた『Scary Monsters & Nice Sprites』は、ラウドロック・リスナーにとっての“ダブステップ代表作”として決定的なものとなった。

そんなSKRILLEXが放つ待望の新作『Bangarang』だが、この作品は『Scary Monsters & Nice Sprites』と同様、圧倒的な熱量と、ノイジーなディストーションと、ブレイクダウンを彷彿とさせるリズムがあり、エモーショナルさも享楽性も併せ持つ雑食性が貫かれている。更に特筆すべきは、THE DOORSのRay ManzarekとRobby Kriegerとの共作「Breakn' A Sweat」。あまりに偉大な60年代のロック・レジェンドである彼らに“これこそ21世紀のTHE DOORSのサウンドと言いたい”と語らせてしまうほどの素晴らしい仕上がり。Ray Manzarek特有のキーボード・メロディと、新世代のレイヴィーなダブステップがこれほど相性が良いとは。いや、SKRILLEXはコラボレートするアーティストの持ち味を最大限に生かすことにかけても天才なのだろう。他にも、ジャングル、グライム、ドラムンベース、ダブステップなどのエレメントがごった煮となった「Kyoto (Feat. Sirah) 」や、問答無用容赦なし!とばかりに畳み掛けてくる「Right On Time」など、極端なのに不思議なバランス感覚を保つ優れた曲ばかりが収録されている。

とあるアーティストが、SKRILLEXのサウンドについてこう分析していた。彼のサウンドは、ベースラインに数百万個の倍音を詰め込み、全周波数帯域をフル・ヴォリュームで鳴らしているのだと。そう、これが我々ラウドロック・リスナーにとっての、SKRILLEXの魅力なのだ。突き抜けた享楽性と速効性と爆音の快楽。そして、本質的なミクスチャー感覚と、優れたバランス感覚。これほどに同時代性を感じさせてくれるアーティストはそうそういない。そう、SKRILLEXは“今”聴くことがとても重要なのだ。

フル・アルバムのリリースも待ち遠しいところだが、まずは『Scary Monsters & Nice Sprites』と『Bangarang』をセットで購入してみて欲しい。エレクトロ・ミュージックの一環としてのみならず、ラウド・ミュージックの延長線としても高い機能を果たしているということを感じずにはいられないだろう。

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