DISC REVIEW
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堪らん......。過ぎ去りし90年代の美しき日々は、奇術的手法を伴って今ここに甦ったようだ。異才を放つクリエイターであり、ベーシストとしてのキャリアも持つうえ、実は"でか美ちゃん"の命名者でもあるティンカーベル初野がヴォーカリスト tinkとして率いるこのバンドは、当初エイプリルフール用に仕込まれたネタ企画系90sV系リヴァイヴァル・バンドであったそう。しかし、その楽曲クオリティの高さが方々で絶賛されたことを受け活動続行となり、初フル・アルバム発表へと至った。今作も珠玉の逸品揃いだが、筆者の激推し曲は「花言葉がうまれる会」と「TAMAKIN」。耽美な音と不条理な詞が交錯して生まれるヤバいトンチキ感は中毒性つよつよ。嘘から出たまことのごとき名盤を"聴きしし者†"になるがいい。 杉江 由紀