DISC REVIEW
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彼らの生み出す"ヘヴィな要素もあるけれど、意外とマイルドでいて実は刺激のある音像"というのは、言うなれば"辛そうで辛くない少し辛いラー油"と感覚的には多少なり近い気がする。強いアタックこそあるものの、決して暑苦しくも重苦しくもないこの音は、何よりとても風通しが良く聴きやすい。また、ロック・バンド然とした頼もしい存在感を漂わせながらも、時代的に旬な音を巧みに取り込んだオケと訴求力の高いヴォーカリゼーションが融合する様も、実に小気味よいことしきり。卓越したセンスを持っているからこそ成し得るこの絶妙なサジ加減は、彼らにとっての大きな武器だ。これを彼らがここから駆使していくことにより、TWENTY DOLLAR$ が次世代を担う存在となっていく可能性は十二分にあり得る。 杉江 由紀