DISC REVIEW
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2枚のミニ作を経て、ついに完成した1stアルバムが素晴らしい。全13曲入りだが、聴きどころは満載で、もはやthe aroundsとしか言いようがないオリジナリティを発揮。フッと流し聴きでもキャッチーなリフやコーラスが耳をガシッと捉えるポピュラリティを見せながら、じっくり向き合えばきめ細かなアレンジ・センスが冴えわたり、非常によく練られているので聴き応えも十分。豪快なのに緻密、爽快なのに哀愁があり、もっと言えば洋楽ライクなセンスを日本人の皮膚感覚でしっかり消化したバランス感覚に唸るばかり。こういうバンドは意外といそうでいない。またパンク、ロックンロール、メタルのエッセンスを、今作で完全に自家薬籠中のものにしている。特に日本語詞を用い、壮大な音風景を描き上げた「Hiding」は名曲! 荒金 良介