DISC REVIEW
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近年、フランスのALCESTなどによりポスト・ブラック・メタルと呼ばれるジャンルがよりオーバーグラウンド化しているが、その中でも今年の"FUJI ROCK FESTIVAL"で来日を果たすこのバンドは海外で異様なほど高い評価を得ている。シューゲイザー、ポスト・ロック、ブラック・メタルなどを見事に融合した芸術作品とも呼べるその音像は、聴き手をある種の極限なまでのトランス状態に陥らせる。色鮮やかなピンクのジャケットで話題をさらった前作同様、浮遊するブラストビート、まるで天から降り注ぐように叫ぶシャウト、ときにあたたかく、ときに轟音を鳴らし続けるギター、そのすべてがハイレベル、そして異空間へと誘う力を携えている。そんなメタルという枠を大いに超越した今作で、彼らは音楽史の新たな1ページを開いた。 今谷 重治