DISC REVIEW
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90年代NYハードコア界の伝説的存在であり、いわゆるタフガイ的なイメージとは違う、異端の存在で在り続け、一度は解散するも奇跡の再結成を果たし、2012年には復活作『The Cursed Remain Cursed』をリリース。本作は、それに続く通算6枚目となる最新作である。メタルでもハードコアでもなく、そのどちらの要素を兼ね備えながらも、単なる折衷案などではない、紆余曲折あった音楽的な変遷をすべて背負った独特の緊張感を保つ。そのベテランならではのしなやかなバンド・アンサンブルは、まさに一朝一夕では表現することなどできない味わいである。身震いするほどの壮絶な叫びと、深遠な響きを持った歌は、文字通り痛みを伴って、聴く者の心に突き刺さる。貫録の1枚。 井上 光一