DISC REVIEW
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Deuce がHUバンドを去った理由については明らかにされていないが、どうやら訴訟問題にまで発展したようだ。彼はバンドや業界に対する怒りを音楽へと昇華し、見事なソロ・アルバムを引っ提げて帰還した。Deuce曰く、『Swan Songs』の第2章と呼ぶに相応しい作品とのことだ。ヒップホップとヘヴィ・ロックを機軸としたミクスチャー・サウンドであることには変わりないが、バラエティの豊富さが最大の特徴であったHUの『American Tragedy』とは異なり、『Swan Songs』の統一された独特のエモーションとアグレッションに包まれた雰囲気を今作でも感じさせる。孤独と真摯に向き合った1人のラッパーの生き様がリアルに描かれ、それでも強く生き、進化していく様に勇気付けられる作品。よりグルーヴィでヘヴィな『Swan Songs』と捉えてもいいだろう。NYのラッパーJeffree Starを始めとする様々なアーティストとコラボレートしているが、人選も大正解。 KAORU