カリフォルニア、サクラメント出身のヘヴィ・ロック・バンドDEFTONESは、BLACK SABBATHやPANTERAのサポート・アクトや数々のライヴをこなし、ヴォーカルのChino Morenoのカリスマ的なステージングも手伝い、その人気を築き上げてきた。デビュー・アルバム 『Adrenaline』(1995年)はアメリカで50万枚、全世界で100万枚以上の売り上げを記録した。
2ndアルバム『Around The Fur』(1997年)を引っ提げ、アメリカやヨーロッパでヘッドライナー・ツアーを敢行、1998年にはその勢いを駆って初来日公演を行ったDEFTONES。すべての神話はこの時に始まったと言っていい。日本の音楽関係者は彼らのパファーマンス初めて目撃した。ギターとベースが織り成すヘヴィな音のウネリ、容赦なく叩き出される乾いたスネア・ドラムの音、まるで我々を洗脳するかのように、激しくこだまするヴォーカル、ワン・アンド・オンリーのサウンドを生み出すライヴ・アクト、DEFTONESが初めて日本でその姿をあらわした瞬間だった。結果的に、2枚目となるアルバム『Around The Fur』は全世界で180万枚を売り上げた。
1999年、DEFTONESはOZZFESTのメイン・ステージで他のバンドを完全に食うその強烈なライヴを見せ付けた。それと併行して、彼らは地元サクラメントでニュー・アルバムの制作を続け、楽曲は次第に輪郭をなしていった。
2000年7月、DEFTONESのニュー・アルバム『White Pony』が遂に発表された。ヘヴィ・ロックの若手のバンドに現在もっとも尊敬を集めるカリスマ・バンドだけある素晴らしい仕上がりとなった。このアルバムは作品としても全世界で賞賛を浴び、"ヘヴィ・ロック界のRADIOHEAD"と異名をとるまでになった。
2003年の5月に発表した『Deftones』は『White Pony』で切り拓いた新境地とも言える、エモーションとアグレッションが同居する「Hexagram」、美しいギターのイントロから始まり、壮大で感動的な世界観を提示した「Minerva」、ステファンの重いギター・リフが畳み掛けるように迫る「Bloody Cape」などを収録した意欲作であり、全米チャート2位を記録する大ヒット作となった。
2006年、SUMMER SONIC 06で待望の来日公演を行い、その直後となる10月にはBob Ezrinをプロデューサーに迎えた『Saturday Night Wrist』を発表、より実験性を高めた今作は、大きな話題となった。
2010年、バンドは『Diamond Eyes』を発表、直球性のあるヘヴィネスに戻った今作でさらなる注目を集め、ビルボード6位を記録した。そして2012年、8月に行われたSYSTETM OF A DOWNとの北米ツアーを経て、通算7作目となるスタジオ・アルバム『Koi No Yokan』をリリースする。
ヘヴィ・ミュージック・シーンのカリスマ、DEFTONESが放つ7枚目のフル・アルバム。今作は『Koi No Yokan』(邦題:恋の予感)という日本人であれば思わず二度見してしまうようなラヴリーなタイトルが付けられているが、愛くるしいサウンドに方向転換するはずもなく、一聴してDEFTONESと分かる知的で美しいヘヴィネスが充満している。前作『Diamond Eyes』はChi Cheng(Ba)の事故によりアルバム制作を中断し、白紙の状態から新たに制作したというイレギュラーな制作過程であったが、今作はプロデューサーも前作同様Nick Raskulineczを起用し、腰を据えて落ち着いた状態で制作されている。そのためか今までの流れを踏襲しながらも、彼らならではの世界観は過去のどの作品をも凌駕している。 ムラオカ