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FEATURE

BLINK-182

2011.10.18UPDATE

2011年10月号掲載

2009年の復活宣言から2年 決して焼き直しではない、 しかしBLINK-182以外のナニモノでもない、 "2011年度版BLINK-182"サウンド、ここに完成!!

ライター:ムラオカ

BLINK-182が復活を宣言してから2年半、解散してから6年半ぶりの期待の新作『NEIGHBORHOODS』が、ついにリリースされた。最高の出来栄えだ。彼らは本当に素晴らしい作品を作ってくれた。
激ロック読者には彼らの活動をリアルタイムで体験していない方もいると思うので、まずは彼らのデビューからの歴史を掻い摘んで書いておこう。

BLINK-182はTom DeLonge(Vo&Gt)、Mark Hoppus (Vo&Ba)、Scott Raynor (Dr)の3人によって1992年カリフォルニア州サンディエゴ郊外のパウエイにて結成される。1994年には16曲入りの『Cheshire Cat』をインディ・レーベルからリリースし、1996年9月には早くも初来日を果たしている。翌年にはMark Trombinoプロデュースによる『Dude Ranch』をリリース。まさに悪ガキ流パンク・ロックを現しているかのようなインパクト大な牛の尻ジャケや、全米のラジオを中心にヒットした「Dammit」、「Josie」が評判になった作品だ。リリース以降、バンドはファン・ベースを一気に拡大し、メジャーのMCAと契約することになる。
1998年1月にはWarped Tour '98で2度目の来日を果たすが、ツアー後Scottが脱退してしまう。後任にはオレジカウンティーで活躍していたTravis Barkerが加入し、Tom、Mark、Travisの現在に至るラインナップとなり、傑作『Enema Of The State』をリリースする。RANCIDなどを手掛けるパンク職人、Jerry Finnをプロデューサーに迎え制作されたこの作品は、全米で500万枚、ビルボード9位という大ヒット作品となる。 2001年、再びJerry Finnをプロデューサーに迎え『Take Off Your Pants and Jacket』をリリース。この作品はなんとビルボード初登場1位を記録。「First Date」、「The Rock Show」などのシングル・ヒットを生み、全米で200万枚、全世界で400万枚を超えるセールスを記録、2003年11月には、セルフ・タイトル『Blink-182』をリリースし、こちらもビルボード3位、全世界で600万枚の大ヒット・アルバムとなる。この作品では従来のおバカパンク路線から一転、シリアスなミドル・テンポの曲やロック・テイストの曲を増やすなどチャレンジ・スピリット溢れる意欲作となった。
こうしてパンク・ロック・シーンで不動のポジションを得た彼らは、音楽活動以外だけでなく、ストリート・カルチャーにも積極的にかかわり、MarkとTomはATTICUS、MACBETHを、TravisはFamous stars and strapsを立ち上げ世界的に大成功を納める(現在、Markは両ブランドのオーナー権を売却し、TomもATTICUSのオーナー権を破棄)。

飛ぶ鳥を落とす勢いであった彼らだが、人気絶頂の2005年2月にたくさんのファンに惜しまれつつも無期限の活動休止を宣言する。活動停止後、Markは2005年にTravisと共にBLINK-182の後継サウンドを奏でる+44を結成し、『When Your Heart Stops Beating』をリリース、全米で初登場2位を記録している。Tomは元THE OFFSPRINGのドラマー、Adam "Atom" WillardとANGELS & AIRWAVES(以下AVA)を結成し、『We Don’t Need To Whisper』、『I-Empire』、『Love』と3枚のアルバムをリリース。スペーシーなエレクトロ・ロックはBLINK-182とはかけ離れたものだったが、セルフ・タイトル・アルバムである『Blink-182』の進化系とも取れる音楽性であった。

2005年の活動休止からちょうど4年経った2009年2月、グラミー賞授賞式に元BLINK-182のメンバー3人が揃って出席し、COLDPLAYに“最優秀ロック・アルバム賞”を進呈するプレゼンターとして久々に登場した際に、彼らはBLINK-182の復活を宣言。そして同年夏から秋にかけて、WEEZERとFALL OUT BOYという超豪華サポートを従え、全米ツアーを実施すると各地でソールド・アウト公演が続出し、順調な再出発となった。その後、過去3作品で起用したプロデューサー、Jerry Finnがすでに他界していたこともあってか、初のセルフ・プロデュースを試みたアルバムの制作に入る。そうして出来上がった復活作が、この『NEIGHBORHOODS』である。

さて肝心のアルバムの中身であるが、リスナーの心を一発で捕えるTrack.1「Ghost on the Dance Floor」でまずはアルバムはスタート。BLINK-182ならでは甘酸っぱいメロディで疾走する、聴き手の高揚感をどんどん上げてくる名曲だ。他の曲も含めてだが、TomのAVAでの経験が生きており、エレクトロ、シンセ・サウンドが絶妙なバランスで融合している。Track.2の「Natives」はTrack.1以上に疾走感があってアップリフティングな名曲。ただ速いだけではなく、ここまでドラマティックなメロディが光る曲はBLINK-182史上5本の指に入るのではないだろうか。Track.3「Up All Night」は先行シングルにもなっている曲。グランジなリフと不思議なメロディを持っているが、個人的にはそこまでシングル向きの曲ではないかなとは思うが、スルメ的な佳曲ではある。
Track.7「Heart's All Gone」はエレクトロ、シンセを完全に排除し、初期BLINK-182的な左回り全開な疾走メロコア・チューン。続くTrack.8「Kaleidoscope」も初期の彼らを思わせ懐かしさを誘う曲だ。Track.10「This Is Home」は彼らには珍しいタイプの曲で、80年代的なシンセが印象的な青臭い青春エモ・パンク・ソングだ。また国内盤にはボーナス・トラックが3曲収録されているが、そのうちの1曲、Track.13「Fighting The Gravity」はどちらかというとAVA的で、UKのブリット・ポップの祖、THE SMITHS・ミーツ・シンセなスタイルの曲である。

このアルバムではBLINK-182を休止させ、AVA、+44、を経験したからこその進化したBLINK-182サウンドを聴くことができる。決して焼き直しに終始してもいないし、別モノにもなっていない。『NEIGHBORHOODS』はまさに“過去から現在進行形”のBLINK-182まで、すべてのBLINK-182サウンドを凝縮し、最高のエキスだけを抽出したものになっている。しつこいようだが何度でも言う。最高の出来栄えだ。彼らは本当に素晴らしい作品を作ってくれた。

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