INTERVIEW
XOXO EXTREME
2025.09.22UPDATE
2025年09月号掲載
Member:一色 萌 小日向 まお 桃瀬 せな 小嶋 りん 横山 陽依
Interviewer:サイトウ マサヒロ
-キスエクなら歌えるだろうと信じてくださっているんでしょうね。
小日向:だったら嬉しいですね。そうか、もうちょっと行けるって期待してくれてるからレコーディングが長かったりするのか。ふふーん(笑)。
大嶋尚之(プロデューサー):今はミックス・ダウンの作業中なんですけど、結構高等な要求をしてくださることがあって。演者としてちゃんと信頼してくれてるんだなと思います。
-作詞に関しては、これまでの楽曲でもお馴染みのまいさんが担当されています。
小日向:さよならの曲っぽい感じがするんですよね。最後のセリフが"残像"で。その2文字を陽依が歌うんですけど。
一色:陽依、レコーディングの日はみんなから"残像さん"って呼ばれてた。
横山:CDが出たら、皆さんからも"残像さん"って呼んでもらおうと思ってます。
大嶋:まいさんは陽依の卒業のことを知らなかったので偶然の産物なんですけど、歌割りは僕がそういった意味合いを含ませようと思って考えました。まいさんも"二重にエモくなった"って喜んでましたね。
-そして、同時リリースのもう一作が『High-Posi-Cry』。こちらの表題曲は「レッドシックレコード」に続いておおくぼけい(アーバンギャルド/Key)さんの作詞作曲ですが、難易度がグッと上がったような。
小日向:激ムズ。
一色:とはいえ、こっちのほうがレコーディングはワイワイしてました。あれやってみよう、これやってみようっていうのをフランクに試しながら歌って。でも、特に小嶋のヴァイオリンは大変そうでしたね。
小嶋:難しかったです。今回もヴァイオリン・パートを作ってくださったんですけど、まずは拍子が複雑で。今までの曲の中で一番苦戦しました。
小日向:でも、すっごくきれい。
小嶋:猟奇的なパートから美しい旋律に移り変わっていく対比が面白いなと思います。「レッドシックレコード」は最後まで猟奇的なままだったけど、今回は開放感があって昇華されるようなイメージですね。
小日向:今回、初めて小嶋のヴァイオリンと私のオペラが同じ曲に入ってるんですよね。ハモりも全部自分で録って。最初は歌詞が入ってなかったんですけど、それもおおくぼさんがその場でラテン系の言葉の歌詞を考えてくれました。
-イントロから、小日向さんの歌唱に圧倒されました。
桃瀬:レコーディングでもすごすぎて笑っちゃいました。マジで。"これ、本当にアイドル?"みたいな。
一色:ヴァイオリニストとオペラ歌手を外注したような仕上がりになりましたね。
小日向:私自身も、こんな高音出るんだ! って思いました。
-新しいポテンシャルを開けましたね。
一色:「Vanitas Hora」は、今までと違う表現や個性を抑えた方向での新しいやり方を探ったんですけど、「High-Posi-Cry」は、逆にやりたい放題です。
桃瀬:開放! って感じだよね。
一色:あと、せなと陽依はこれまであんまりハモリをやることがなかったけど、今回は挑戦して。
桃瀬:そのパートの直前までメロディを聴いて、歌う瞬間につまみを0にしてました。私、めちゃくちゃ他の人の音につられちゃうんですよ。
一色:ライヴでは大変だね。
桃瀬:練習します!
-ダンスも相当大変なんじゃないですか?
一色:まだ振り入れをしていないのでどうなるか分からないですけど、やっぱり「レッドシックレコード」に連なる世界観の楽曲なので、そのあたりも汲んだ振付にできたら面白いんじゃないかと思ってます。「レッドシックレコード」はレコードが回り続けていたけど、「High-Posi-Cry」ではカセット・テープを巻き戻しまくってるんですよ。だから次のテーマはMDかな? CDかな? とか想像してます。
-そして、2作ともカップリングには再録楽曲が収録されています。
一色:これは両方とも念願ですね。
-まず、『Vanitas Hora』のカップリングには「Progressive Be-Bop」。キスエク単独のバージョンに加えて、ライヴでもたびたび披露されてきた絶対忘れるなとのコラボ版も収録されています。
一色:2021年に私の生誕祭("一色萌生誕ライブ 〜萌フェス2021〜")でコラボさせていただいて、これまでに5回くらいやりました。1年に1回聴けるか聴けないかのレアなバージョンです。
小日向:うちらの自己紹介ソングだよね。そこにぜわす(絶対忘れるな)さんの自己紹介が加わって。
一色:もともとは前身グループからあった曲で、キスエクの中では比較的短くてライヴでもやりやすい曲なんです。メンバー・チェンジのタイミングで歌詞も変わってきたから、本当は全部のバージョンを残しておきたかったんですけど、このタイミングで5人の「Progressive Be-Bop」をレコーディングできたこと、ぜわすさんが参加したバージョンを残せたことはすごく嬉しいです。
桃瀬:よく聴くと、ぜわすさんのパート以外にもいろんなところで皆さんの声が聞こえるんです。"会場のルールは守ってね"の後に入ってるすごく元気な"ハイ!"が面白くて。
一色:犬の鳴き声に聞こえる(笑)。
-個人的には、小日向さんのパートのシャウトで笑っちゃいました。
小日向:叫べって言われたので叫びました。振付では、そこでみんなが耳を塞ぐんですよ。あと、"元気担当、かわいい担当?"と言うとみんなが"ないない"っていう顔をしてる。面白いですよね〜?
-はい、面白いです(笑)。
一色:言わせた感が(笑)。
-他の楽曲は難易度が高いものばかりなだけに、この曲のレコーディングはのびのびと楽しめたんじゃないですか?
小日向:超楽しかったです!
桃瀬:みんなでブースに入って、1つのマイクに向かってワイワイやるのが楽しかったです。
横山:完璧すぎて一発でOKだったし。
小日向:これからは、真面目な曲でもみんなで録ったらいいんじゃないかって思ってます。
横山:私は、"これまさに頭脳改革"っていうフレーズが、ライヴだと歌えるはずなんですけどレコーディングだとどうしても舌が回らなくて、何回も録り直したんです。なので、滑舌強化に努めます。
-プログレとラップがクロスオーバーするのは、キスエクならではの表現という感じがしますよね。
一色:たしかに。
小嶋:「Progressive Be-Bop」はELP(EMERSON, LAKE & PALMER)をオマージュした楽曲なんですけど、そこにぜわすさんのラップが加わるっていうのは異色で面白いです。
-そして、『High-Posi-Cry』のカップリングは11分超の楽曲「悪魔の子守唄」の再録です。
一色:キスエク最初のオリジナル曲なので思い入れが深い曲です。初期にメンバーの入れ替えが多々あったので私のiPodにも4、5バージョンくらい入ってるんですけど(笑)、これもこの5人でできて良かったですね。
桃瀬:レコーディングしたのは初めてですし、ライヴでも大事なときしかセトリに入らないから、実はまだそんなに歌った経験がなくて。いざやってみると、"意外とこの曲難しいぞ?"みたいな。ライヴではアドレナリンで乗り切れてた高音が、レコーディングでは出なかったり。
小日向:じゃあレコーディングでもアドレナリンを出そう。どうやって?
横山:ちょっと走ってきてから、そのままブースに入るとか(笑)。
-先輩3人は、改めて歌ってみての感慨もあったのでは?
小嶋:キスエクに入って最初に覚えた曲の1つで、初めてのレコーディングも「悪魔の子守唄」だったんですよ。でも、よく考えたらそのときと歌ってるパートがほとんど違うなと思って。私はしんぴか(新條ひかり)さんと入れ替わる形で加入したので、最初はそのパートを受け継いでたんです。で、大嶋さんはいつもメンバーのキャラやイメージに合わせた歌割りをしてくれるんですけど、私は8年の間にキャラ変を繰り返してて(笑)。だから、聴き比べると今の私に辿り着くまでの過程が想像できると思います。
一色:アー写を撮るたびに見た目が変わりすぎてて、毎回新しいメンバーだと思われてました(笑)。
小日向:キスエクにとっても私個人にとっても、すごく大切な曲だと思ってて。まだ高校生だった研修生の頃、最初に"この曲の動画を観て振付を覚えてきて"って言われて、元気に"はーい!"って......これが普通だと思ってたんです。
一同:(笑)
小日向:騙されたー!