INTERVIEW
East Of Eden
2025.03.11UPDATE
2025年03月号掲載
Member:Ayasa(Vn) 湊 あかね(Vo) Yuki(Gt) MINA(Ba) MIZUKI(Dr)
Interviewer:サイトウ マサヒロ
昨年12月24日にベーシスト MINAの加入を発表し、ワーナーミュージック・ジャパンへの移籍とともに新体制での活動をスタートさせたEast Of Eden。3月12日にリリースされる初のフル・アルバム『The First Eden - Seeds Of Hope』は、収録曲全てが現メンバーによる新曲だという。MEG(MEGMETAL)、丸山 漠(a crowd of rebellion/Gt)等豪華作家陣と共に作り上げた、ヘヴィでラウドなバンドの新章を体感してほしい。
-まず最初に、新メンバーのMINAさんが加入した経緯を教えてください。
Ayasa:ベーシストをどうするかというのは私たちにとって大きな問題で。サポート・メンバーにお願いするという選択肢もあったんですけれど、やっぱりできれば正式メンバーを迎えたくて。そのなかで、SNSで活躍を見ていたMINAちゃんのことが浮かんで。"○○(バンド名)のMINA"ではなく、"ベーシストのMINA"として名を広めているのがすごいなと。それでいて以前に長い期間バンドの経験があったというのも大きくて、ダメもとでアプローチしてみました。その後、たまたまMIZUKIさんとMINAちゃんが偶然イベントで会う機会があったり、私もお仕事でご一緒になったりして。実際に現場でのMINAちゃんを見て、より加入してほしいという気持ちが強くなりましたね。
-MINAさんは加入を打診されてどのように感じましたか?
MINA:以前は別のバンドで6年くらい活動していて、ずっとそのバンドをやっていくんだろうと思ってたんです。だけど解散してしまったので、もうそれ以降はバンドをやる未来っていうのを想像してなくて。他のプロジェクトにお誘いいただいたこともあったんですけど、心ここにあらずというか。だけど、Ayasaさんがお話しした通りいろいろな偶然が重なったことで、引き寄せられるような運命を感じまして。何より観させていただいたライヴが本当にカッコ良かったということもあって、加入を決めました。
-MINAさんと実際に音を合わせてみた感触はいかがでしたか?
MIZUKI:EOE(East Of Eden)の曲は本当に大変なんですよ。それをちゃんと仕込んできてくれたというだけでも、もう"ありがとう!"っていう(笑)。それでいて、MINAちゃんの得意なスラップや派手なフレーズが足されてたり、アレンジもしてきてくれて。これまでとは違った楽しさがあったし、これからもっとカッコ良く仕上がっていくだろうなっていう期待がありました。
Yuki:今までタッピングだったパートをスラップに変えたり、最初に音を出したときからいろいろな工夫が見られて。それによってバンド全体がいい感じにまとまったので、これから制作やライヴを重ねていくのが楽しみになりましたね。
湊:こんな華奢な身体なのに、溢れ出るパッションがすごいなと。若いエネルギーを吸収させてもらってます(笑)。
Ayasa:忙しいなかでしっかりと準備してくださったのはもちろんですし、"この曲はライヴではこうアレンジされてるから......"みたいな話をすると、すぐに"やってみます!"と答えてくれて。"いや、でも音源ではこうでしたよね?"とかじゃなくて、すぐにその言葉が出てくるのはすごいと思うんです。見習わなければならないなと思いました。
-MINAさんの姿勢から学ぶこともあると。
Ayasa:はい。あとは、MINAちゃんと一緒に既存の曲にもう一度向き合ってみようというムーヴが起こったことで、今までなんとなく言えないまま進んでしまっていたものをちゃんと丁寧に整理できて。最初は私たちも曲に追い付くのに必死だったから、どうしても詰め切れてない部分があったんです。そうして力業で進めてきたことを、これまでよりも余裕がある状態で"こうしてみようよ"って話し合いをしながらリハができるようになっているのは、バンドとしてすごくいい状態ですね。(※MINAに対して)ありがとうございます。
MINA:いえいえ、こちらこそ。
Yuki:リハーサルでもみんなとよく会話している感覚があるし、楽屋でもひたすら笑ってますね。
-楽屋ではどんな話をしてるんですか?
湊:人に言えないような話です(笑)。
-ではそこはNGということで(笑)。そして、3月12日にリリースされる1stアルバム『The First Eden - Seeds Of Hope』は、全曲が新体制での新曲となります。MINAさんが加わって間もないタイミングでフルレングスの作品がリリースされることには正直驚きました。
Ayasa:これまでに5曲入りのミニ・アルバムを2枚出してきて、私たち自身だけでなくきっとお客さんも"次はフル・アルバムですよね?"とは思っていました。そして今回、ワーナー(ミュージック・ジャパン)さんへの移籍、MINAちゃんの加入というタイミングが重なって。例えば、すでにライヴで演奏してきた未音源化曲を収録するとか、過去の楽曲を再録したりとか、いろいろな選択肢があったんですけど、私たちにとっては住む家が変わったような感覚があったので、やっぱりこの新しい場所、新しい家、新しいメンバーで作ったものをお見せするのがいいんじゃないかという結論に至りました。もちろん短い期間の中で大変だったんですけれど(笑)、お忙しいなかで作家さんにもお力添えいただいて、新しいEOEを詰め込んだフル・アルバムになりました。
-制作にあたって、アルバムのコンセプトやテーマは定まっていたのでしょうか?
Ayasa:1stミニ・アルバム『Forbidden Fruit -1st piece-』(2023年リリース)は全曲をMaoさんと共に作って、2ndミニ・アルバム『Forbidden Fruit -2nd piece-』(2024年リリース)では草野華余子さんにご登場いただきました。だから、草野さんが広げてくれたEOEの可能性を、いろんな作家さんによってより拡張させたいと考えていたんです。なおかつ曲の色合いとしても、私たちにしかできないテクニカルな要素も残しつつ、とにかくキャッチーにしたいなって。今までは、お客さんと一緒に盛り上がるというよりも"ギター・ソロだ! ヴァイオリン・ソロだ!"みたいに魅せる部分が多かったんですけれど、もっとライヴに強い曲が欲しかったんです。去年フェスに出演してみて、初めて観るお客さんもガッと持っていけるような曲があればいいなと思っていたので、そういった狙いから、豪華な作家さん陣に曲を書いていただくことになりました。
-サウンドはグッとモダンでヘヴィになりましたよね。
Ayasa:ラウドな方向に進みたいという気持ちはずっとありました。若いリスナーにも聴いてパッとカッコいいって思ってもらえる楽曲にしたくて。
Yuki:アルバムを通して殻を破れたような気がしますし、個人的には今の方向性がめちゃくちゃ気に入ってます。
MIZUKI:すごく幅が広がりましたよね。メタルの要素も強いし、洋楽っぽいテイストもあるし。何より、ヴォーカルのバリエーションが増えたのがバンドにとってプラスだなって。
-ヴォーカルの湊さん自身も、それを実感していますか?
湊:そうですね。やっぱり、"声は高ければ高い程いい"という層って一定数いらっしゃるじゃないですか?
一同:(笑)
湊:でも、それだけじゃないんだよと。低音もちゃんと味がするから好きでいてくださいってことを提示できたんじゃないかと思っております。メロディに奥行きがあって、男性が歌ってもカッコいいんじゃないかなっていう曲が揃いましたね。
-これまでの楽曲以上に、シーケンスやデジタルなビート、エディットが駆使されている印象も受けました。
Ayasa:作家さんたちからいただいたデモの段階で、打ち込みの要素が強いものが多かったですね。もちろんこのメンバーだったら人力の演奏だけで再現するっていうのも可能なんだろうけど、同期を使うことで楽曲により濃淡を付けられるので。意図していたわけではないですけれど、作家さんのアイディアによってEOEの音楽の可能性が広がったんだと思います。
-作家陣はどのようにセレクトしたのでしょうか?
Ayasa:ワーナーさんには今ラウドロックのシーンでご活躍されている方もたくさんいらっしゃるので、そういった方々とのパイプを作れるんじゃないかという希望もあって。スタッフさんにガッツリ頼らせていただき、作家さんをご紹介いただきました。ただ、今までとガラッと変わりすぎるとお客さんに置いていかれちゃった感を与えかねないし、やっぱりMaoさんには絶対に新曲を作ってほしくて。一番最初のEOEを知っていて、この1年間ずっと見守ってくださっていたMaoさんに、今のEOEのための曲を作ってほしかったんです。なのでMaoさんには「Breaker」を書いていただいて。あとは個人的な話なんですけれど、"BanG Dream!(バンドリ!)"でお世話になっているElements Gardenの藤永龍太郎さんの曲がめちゃくちゃ好きなので、お声掛けさせていただきました。
-作家陣の中で、MEG(MEGMETAL)さんとHayato Yamamotoさんのコンビは「Shooting Star」、「I don't say goodbye」、「IKIZAMA」と3曲を手掛けていますね。お二方をフィーチャーした理由は?
Ayasa:(これまでの作品にも携わってきた)Maoさんがキーボーディストなのに対してMEGさんはギタリストなので、ギターを主軸とした曲でMaoさんとは違った色が出せるんじゃないかと考えていました。それと、MEGさんとYamamotoさんのチームに、ギタリストでありヴァイオリンも弾けてアレンジもできるという方がいらっしゃるというのをお伺いして。リード・ギターとヴァイオリンの絡みをかなり高い理解度で構築していただけるんじゃないかと思ったんです。
-なるほど。今作の楽曲に関して、Yukiさんにとってギター・プレイの感覚の違いはありますか?
Yuki:やっぱりリフが活きてくる曲が多いですね。MEGさんからは、このフレーズはこっちのスケールがいいかもしれないとか、いろいろとディレクションしていただいて。MEGさん以外にもギタリストである作家さんが多いので、作家さんの意思を尊重しながら演奏しました。勉強になるレコーディングでしたね。
-新体制初のシングルでありアルバムのオープナーでもある「Shooting Star」は文字通り新たなEOEの幕開けを飾る1曲ですが、なぜこの曲を最初に?
Ayasa:これはですね......迷ったんです。「IKIZAMA」か、「Shooting Star」か。MEGさんから最初にいただいたのは「IKIZAMA」だったんです。今までと違うEOEを見せられるのは「IKIZAMA」なんじゃないかなと思ったんですけど、その後に貰った「Shooting Star」のキャッチーさも捨て難くて。みんなでミーティングしましたね。でも、MINAちゃんが入って最初に出す曲だと考えると「Shooting Star」なんじゃないかなと。今までのEOEの歌詞は反骨心のようなものをたくさん歌ってきたけれど、「Shooting Star」は何かと戦うというよりもまっすぐ上に昇っていくような印象があって。SNSでのMINAちゃんは笑顔で演奏しているイメージがあったし、メンバーみんなでにこやかに、ポジティヴにやれそうな「Shooting Star」に決めました。