INTERVIEW
Are Square
2025.02.07UPDATE
Member:Maru(Vo) KAYA(Gt) 上田 カズアキ(Ba) Hikage(Dr)
Interviewer:山口 哲生
-そのときのメロディが、今は曲になっていたりするんですか?
Maru:曲になってはいるんですけど、まだリリースはしてないですね。あと、リリースされた曲だと「風の言葉」(『We Are Square』収録曲)のデモを聴いていて、あの曲もその日に歌ってました。
-「風の言葉」は1st EPに収録されているスロー・ナンバーですね。
Maru:あのときは結構テンポ速めな感じでやってたイメージがあるな。
KAYA:「風の言葉」は僕が二十歳のとき、まだ岡山にいた頃に作ったんですけど、当時は1人でアコギ持って、ライヴでこの曲を歌ったりしていたんですよ。でも、あんまり自分の声が好きになれず、こういうふうに歌いたいんだけど全然歌えないなって結構ヘコんだりしていて。だから、いつかめっちゃ歌のうまいやつが現れて、そいつが代わりに歌ってくれたらいいのになって思いながらずっと温めていたんです。その後もバンドとか何もなくて、さっき言った通りセッションをするためにこっちに出てきていたんですけど、そこでMaruと出会って。曲を聴かせたら、"めっちゃいい曲やな"って言ってくださって――"くださって"はおかしいか(笑)。
Maru:当時19歳のガキにね(笑)。
KAYA:それで歌ってもらったら、"そう! そうやって歌ってほしかったんだよ!"っていう表現をしてくれて。僕はそれがきっかけで、バンドするのいいなって思いましたね。
-そこからバンドとして歩き始めたわけですが、資料を拝見すると、1stアルバムに収録されている「To The Destination」について、Maruさんが"自分のルーツをこれでもかと詰め込んだ一曲"、KAYAさんが"自分達が大好きな音楽を好きなだけ詰め込みました"とコメントされていて。そこで挙げられていたバンドが、RAGE AGAINST THE MACHINE、RED HOT CHILI PEPPERS、LIMP BIZKIT、RIZE、LINKIN PARK、ONE OK ROCKだったんですが、今回のアルバムにも収録されている「BANG!!!」、「RIDE ON」、「SMASH」といった1st EPの楽曲は、その辺りの要素がかなり強いものになっていて。
Maru:そうですね。
-ただ、いわゆるラップ・ロックの曲だけではないし、先程挙げたルーツも本当にごく一部だと思うんですが、そのなかで、Are Squareってバンドの音楽をどういうものにするのかは、いろいろ話し合って決めていったのか、それともセッション的に音を出して構築していったのか、どんな感じでしたか?
Maru:スタートはセッションでしたね。スタジオでガーっとやって、曲っぽいのできたね! みたいな。それこそ「BANG!!!」は、"ふりぃだむ"で生まれたフレーズと、僕が"ふりぃだむ"でしていたラップから作った曲なので、1st EPは本当にセッションから作りました。言葉じゃなくて、音で語り合って作ったというか。そういう盤になってるんじゃないかなと思います。
-それゆえに自分たちの好きなものが自然と出ていて。
Maru:そうですね。たぶんメンバー全員、ルーツ的なところが似てるんだと思います。だからすんなりと曲作りに入れたし、あまり話し合わなくても、それぞれの好きなものを理解して歌ったり、演奏したりできたかなと思いますね。
KAYA:曲の作り方的には、みんなでセッションしたものを一旦僕が持ち帰って、大まかに曲の設計図っぽいものを作るんですよ。それをスタジオに持って行って、またセッションして変えたり、フレーズを練ったりする作り方が多くて。だから、曲を作るにあたってセッションは絶対にしてるんです。デモを作って投げて、みんながそれを吸収して自分のものにして......みたいなやり方が多いので、その曲の中での割合が、セッションで作った部分が多いかそうでないかって感じですね。
-それもあってパート全員に主役感があるんですね。そこがカッコいいし、聴いていてワクワクしました。
上田:嬉しいです。ヴォーカルを聴かせたいっていう願望がどんどん増えてはいるんですよ。それまではずっと自分を出すためだけにやっていた音楽が、リスナーのみんなに対してやる音楽みたいな方向にどんどん変わっていって。今回のアルバムも、MaruとKAYAが、どうやったらMaruの声をよく聴かせられるかみたいなところをすごく意識しながら作ってくれているんです。ただ、いざ楽器で音を入れるときに、それで個性を失ってしまったらダメだなって思ったんですよね。メンバーみんな考えてると思うんですけど、ヴォーカルをちゃんと聴かせながらも、絶対これは俺等しかやらないだろうっていう音の入れ方や作り方をしたので、今回はそこにかなりこだわって作った印象があります。
-実際に歌と楽器隊のバランスがすごくいいですからね。Hikageさんはいかがです? ドラマーとしてバンドの土台にはなりながらも、個性を大事にしながら叩く場面も多かったですか? もしかしたら個性は自然と出ているところもあるかもしれないですけど。
Hikage:そうですね。でも、基本的にはKAYAが持ってきたデモのドラムをなぞることがわりと多くて。というのも、こいつ(KAYA)が作ってくるフレーズがカッコいいんですよ。ドラマーが考えられないフレーズを持ってくるし、しかもちゃんとカッコいいんで、こっちとしては火が付いちゃいますね。今回もレコーディングの1週間前くらいに"これ叩ける?"みたいな感じで渡されたんですけど、それが「Wasted Youth」で、これめっちゃいいけど、めっちゃムズいぞ! って。でも、これはやるしかないなと思って叩きました。そういうことも曲によっては多いんですけど、ライヴのときは全然違うアレンジに勝手にしちゃうとかもしますね。
-そうなんですね。
Hikage:作品としての曲は、作曲者の意図をちゃんと汲み取って忠実にやるんですけど、ライヴになると、俺の気持ちももっと盛り上がったら、もっと難しいことをし始めちゃうかもしれないし、もう疲れたみたいな感情が仮に出てたとしたら......(笑)。
-ライヴ中に(笑)?
Hikage:そう、もう最後の「BANG!!!」とか無理......ってなったら、めっちゃ簡単なビートになっちゃうみたいな。正直2、3回あるんですけど。
Maru:あるんかい(笑)!
Hikage:そうやってアレンジを変えちゃうのも自分たちの強みなのかなって。作品は忠実に、ライヴは生ものでみたいな。
-そういう意味では、その日のテンションによってライヴの内容がだいぶ違うから、観ていて楽しそうですね。
Hikage:リハから違いますもん。あんまり良くないことだと思うんですけど、例えば今日はちょっと元気! みたいなときはテンポが速かったり、二日酔い気味だったらめっちゃ遅かったり。それでよくMaruに怒られます。
上田:"もっと速く!"とか。
Hikage:でもまぁそこも今後は安定させていって......。
Maru:いや、そのままでいいよ。
上田:うん。それでいい。
KAYA:だから楽しいんだと思う。
-いいですね。人間がやってる感じがして。
Maru:そうですね、人間味があるというか。
上田:そういうセッション的なワクワク感がないと、絶対に俺等は面白くないって思っちゃうんで。一時期、同期を入れてライヴをやったときもあったんですけど、面白くなかったんですよ。
KAYA:肌に合わなかったね。
上田:うん。BPMの決まった音がずっと後ろから聴こえてきて。やっぱり感情でやるものだから、楽しいときはテンションが上がって音量が大きくなったり、今日あんまりノれてないなってときは音がちょっと小っちゃくなったり、そういう動きを見せるのがライヴだなと思うんで。だからどのライヴも全部違うんです。その日のテンション感とか、それが作用して出てくるフレージングやアレンジが全然違うので、そこは俺等の一番の武器かなと思いますね。
-Are Squareの武器であり、特徴であり。
上田:そうですね。
-KAYAさんも、その日によって弾くギター・ソロが全然違うとか、そういうこともあったりしますか?
KAYA:ギター・ソロに関しては毎回完全アドリブでやってますね。気分的に今日は原曲通りに弾きたいなってときも、ちょっとニュアンスを変えて弾いたりするんですけど、基本的にソロを弾くときは頭を空っぽにして、その瞬間に弾きたいフレーズ、出したい音を出すという。これはもう自分の信念として決めてますね。あと、ちょっとしたリフでも違うフレーズを入れたりして、メンバーを楽しませたい、びっくりさせたいっていう気持ちもあるので。"全然違うフレーズ入ってるやん!"ってステージ上で笑い合ったりするのも楽しいし、そういう感じでやってますね。
-Maruさんとしても、そういった全然違うフレーズが飛んでくると、やっぱりテンションが上がったりします?
Maru:しますね。アンコールで「BANG!!!」を2回やったりするんですけど、そのときにひかちんがいきなり2ビートっぽくするとか。
-だいぶ違いますね(笑)。
Hikage:本当に全然違う曲みたいにするのが好きなんですよ。
Maru:最初はそれにただただ困惑してたんですよ(笑)。でも、最近は慣れてるんで、"オッケー、今日はそういう感じね?"みたいな。
上田:一番セッションが苦手だった彼が一番入れてくるんですよ。
Hikage:フロント3人の困った顔を見るのが好きなんです。
Maru:絶対に良くないんですけど、歌っていて"えっ?"って振り向いちゃうときとかありますからね(笑)。
上田:でもやっぱり燃えますよ。
-間違いないですね。アルバムの収録曲について、例えば1曲目の「Super Sonic」はMaruさんが作詞作曲をされていますけども、それはMaruさんがデモを持って行って、みんなで詰めていった感じだったんですか?
Maru:これは僕が作詞作曲ではあるんですけど、いつも曲を作るときは、コードとメロディと全体の構成みたいなのをどシンプルに作って、あとは全部KAYA君に投げちゃうんです。だから、自分が作詞作曲とは書いてあるけど、自分としてはとりあえず好き勝手に作って、Are Squareの曲にするのはKAYA君でありカズ君でありひかちんでありっていう認識ですね。
KAYA:Maruには"デモは好き勝手に作ってくれ"っていつも言ってるんですよ。"バンドのことは考えなくていいから、とにかく自分がやりたいことを入れてくれ"って。それをどう自分たちの色に染めるかってところが、こっちとしては燃えるんで。
Maru:だから歌詞もめちゃくちゃ好き勝手に書いて、削って削ってようやくこの形になりました。もっとはちゃめちゃなことを言っていたり、自分の中でしか解決できない言葉遣いもしちゃったりするんですけど、それをどう届けるかってところで、またもう一度壊して作り直すという作業をバンド全体でやっていく感じです。
-ちなみに「Super Sonic」で、Maruさんが特にやりたかったことというと?
Maru:Bメロの"It's beautiful tonight"からのところなんですけど、最初はそこがサビだったんですよ。歌い上げるメロウな曲にしたいなって思ってたんですけど、KAYA君に投げたら、もうちょっと楽しくて、みんながワクワクできるような曲にしたいよねって。じゃあこれはBメロにして、サビを別で付けるかっていうので、今のサビができたんです。だから、Bメロのメロディは個人的にはすごくツボというか、グッと来るメロディですね。
-今のお話を聞いていて繋がったところがあったんですが、Bメロが強い曲が多いなと思ったんですよ。初めて聴いたときに、これがサビかなと思っていたら本当のサビが来て、さっきのBメロだったんだ? みたいな。
Maru:そういうのもこのアルバムからだと思います。1st EPのときは、ヴァースとフックみたいな感じでヒップホップ寄りだったり、メロディよりもリリックっていう考えで作っていたりしたので。このアルバムからは、メロディの聴き心地の良さみたいなものをかなり意識してましたね。
-Maruさんは「Holding My Breath」という曲も作詞作曲されていて。こういったロック・バラードもやってみたいなと思って持って行ったんですか?
Maru:これは2年前ぐらいに、自分のソロとかで出せたらいいなぐらいの感覚でデモを作ってたんですよ。コードを弾いて、ワンコーラスぐらい歌ったやつを30分ぐらいで作ってKAYA君に投げたら、これはバンドでやりたいねって言ってくれたんで、じゃあアレンジして? と(笑)。