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INTERVIEW

Are Square

2025.02.07UPDATE

Are Square

Member:Maru(Vo) KAYA(Gt) 上田 カズアキ(Ba) Hikage(Dr)

Interviewer:山口 哲生

八王子発の4人組バンド、Are Squareの1stアルバム『Let's Go To Eat Crab's Club』が、抜群にいい。同作には、ラップ・ロックを土台にした強烈なまでにグルーヴィな楽曲から、エモをはじめとしたメロディアスなラウドロックまで、様々な音楽を貪欲に吸収し、自分たちの音に昇華した全13曲を収録(CD限定ボーナス・トラック含む)。同期を一切使うことなく、あくまでも4人で音を鳴らすことにこだわりを持っているAre Squareだが、それは、彼等がメンバー主催のセッション・イベントで出会った経緯を持つ手練揃いだからこそ(中にはマキシマム ザ ホルモン2号店のオーディションで最終選考まで残ったメンバーも)。そんな彼等が出会った経緯から、ラウドに、ファンキーにリスナーを激しく高揚させるアルバムについてまで、じっくり話を訊いた。

-1stアルバム『Let's Go To Eat Crab's Club』はかなり充実した1枚になりましたが、まずは完成させた手応えをそれぞれお聞きできればと。

Maru:今回は新曲がボーナス・トラック含めて7曲あるんですけど、バンド全体でアレンジをしていくのはわりと短い時間でギュッと詰めていったんですよ。短期間で制作したからこそ出せる濃密なまとまりとか自分たちの個性とかが出せたかなと思いますね。

KAYA:アルバムに向けて一気に新曲を作り込んだんですけど、本当に短い時間だったので、アレンジ面もそうだし単純に間に合うのかなとか、不安もいろいろあったんです。でも、いざデモを作り上げてスタジオに持って行ったら、メンバーみんなすぐに自分なりのアレンジも加えた状態で合わせることができて、本当にうちのメンバーうまいなって(笑)。

-うまいっすよねぇ。

上田:はははははは(笑)。

-マジでうまいですよ。グルーヴ感がとにかく半端なくて。

上田:ありがとうございます。

Maru:嬉しい。

KAYA:改めて思いましたね、みんな上手なんだなぁって(笑)。レコーディングを進めていくなかでも、話し合いながらアレンジを変えていった部分もすごくあったので、完成させたものを聴いたときに、やっぱりこのギター重ねて良かったなとかいろいろ思い出しました。そういうのも全部含めて、すごく満足感の高いアルバムにできたかなと思います。

上田:自分等のいろんな顔がこの1枚に凝縮されてるなぁって思いますね。新曲だと「To The Destination」だったらすごく激しくてミクスチャーな曲、「WE GOTTA RED HOT」だったら昔のファンクっぽい感じ、「Otherside」や「Wasted Youth」みたいなヴォーカルを聴かせるミドルテンポの曲、既存の曲ではラウド感のあるロック・ソングもあるっていう、自分たちが今までやってきたもの、ライヴとかで培ってきたものを1枚に入れられたと感じます。



Hikage:アルバムを出すっていうのはいち音楽人として夢だったし、Are Squareとしては1st EP(2023年の『We Are Square』)を1年前ぐらいに出したんですけど、そのときはもう本当に各々がやりたいことをやって、それを形にした感じだったんです。もう本当にただの大爆発、ダダ漏れEPです! みたいな。

上田:初期衝動みたいな。

Hikage:そう。その後、今回はフル・アルバムを作るにあたって、1枚通して飽きずに聴いてもらうためにはどうしたらいいのかとか、いろいろと考えた曲が結構増えてきたところもあって。ただの大爆発だけじゃなくて、ちゃんと引き算を覚えたところもあるから、これが1stアルバムではあるんですけど、自分の中では成長を感じる作品になってるなと思います。アルバム名はすごく変なんですけど。

-そうですね。"Let's Go To Eat Crab's Club"。どんなタイトルなんだ?っていう。

一同::ははははは(笑)。

-ボーナス・トラックの「Let's Go To Eat Crab's Club」で、"カニ食いてぇか!?"って煽っていますけど、あれはその場で思いついたものを言った感じだったんですか?

KAYA:あの曲は全部即興ですね。最初のセリフからラストの演奏まで。だから"カニ食いてぇか!?"も即興です。

Hikage:初期衝動ですよ。

-ははははは(笑)。とにかくカニが食べたい。

Maru:なんで出てきたんだろうね?

KAYA:僕、カニが好きなんですよ。それがとっさに出ちゃったんだと思います。

-タイトルがすでに決まっていて、それを叫んだわけではないんですね。

Hikage:よく聴くと分かるんですけど、うちらも困惑してるんですよ。"おぉー!"とは言ってるけど。

上田:リアルな反応だよね(笑)。

-あの微妙な間はそういうことでしたか(笑)。ぜひそこも踏まえて聴いていただきつつ、激ロック初登場となりますので、結成の経緯もお聞きしたいです。皆さんは上田さんが主催しているセッション・イベント"ふりぃだむ"で出会ったそうですが、そもそも上田さんはどんなところからこのイベントを始めたんですか?

上田:自分は地元が岡山なんですけど、上京してきて都内のセッション・バーに行ったときに、ぶっちゃけて言うと嫌な対応をされたというか。全然音楽してねぇじゃんと思っちゃって。例えばまぁ、いわゆる"プロ以外お断り"とか。

Hikage:形式的な感じでね。

KAYA:曲を知らないとセッションできないとか。

上田:そう。ノリで入ってきた人が馴染めるところでもなかったりして、それがすごくショックだったんですよ。もともと地元でセッション・バンドを組んでいたので、それをこっちでもやりたいなと思っていたんですけど、現状こんな感じなんだ......じゃあ俺がやろうっていう。そこから始めたんですけど、最近は高校生とか、"ステージに1回も立ったことがありません"っていう人も来てくれて。そんな人たちにもステージに上がってもらって、音を出して、ベース・アンプってこんな音が出るんだとか、ギターってこんな大音量で弾けるんだとかの感覚を味わってほしいっていう目的でやってますね。

-なるほど。フリーダムに音楽をやりたかったのがスタート地点で。

上田:そうです。そういう意味合いも込めてのこの名前("ふりぃだむ")ですね。そこで自分とKAYAがずっと一緒にやっていて。僕等は同郷なんですけど。

KAYA:保育園ぐらいから一緒です。

上田:"ふりぃだむ"は当時月一でやっていたんですけど、開催するたびに岡山から夜行バスで来ていて。

KAYA:そのときはバンドを組んでなかったんで、僕は"ふりぃだむ"を上田と一緒に大きくしたいっていう気持ちで、毎月岡山から夜行バスで通ってましたね。

-お2人は地元で一緒にバンドをやってたんですよね。

上田:そうです。それこそセッション・バンドをやっていて。

KAYA:一応僕がギター・ヴォーカルだったんですけど、曲の8割ぐらいはインストっていう(笑)。1回のライヴで2曲歌があったらいいかなみたいなバンドだったんですけど。

上田:そのバンドを高校生くらいからやってました。俺等高校生2人と、ドラマーが中学生だったんですけど。

-中学生......!?

KAYA:そうです。3ピースで。

-しかもインストのセッション・バンド......。

上田:それで大暴れしていたんで、岡山では意外と名が知れていたんですけど。

-ヤバすぎますね。KAYAさんとしては、毎回参加するぐらいだったらこれはもう上京してしまおうみたいな感じだったんですか?

KAYA:まさにそうです。その当時は、東京に行って"ふりぃだむ"をやるということが、自分にとって音楽の全てみたいな時期だったので、これだったら引っ越しちゃおうって。その当時、上田は八王子に住んでいたから、僕も近いところに住んで一緒にやったほうが楽しいし、そっちのほうがいいなと思って、通い始めて半年ぐらいで決めました。

-そういった状況もありつつ、上田さんとHikageさんはまた別でバンドを組んでいたと。

上田:"ふりぃだむ"をやる前にオーディションがあって、そこで出会ったのがきっかけだったんですけど。

-それがマキシマム ザ ホルモン2号店のオーディション?

上田:そうです。自分としては(Hikageと組んだ)そのバンドをやるために出てきた感じだったんですけど、ちょうどコロナ禍と被って、うまくいかずで散り散りになってしまって。その後に"ふりぃだむ"を始めたので、ちょっと来いよってHikageに来てもらって、ずっと叩いてもらっていたんです。

KAYA:この3人はずっとセッションしてたんですよ。

-Hikageさんはセッションに誘われたとき、楽しそうだなと思って参加したんですか?

Hikage:最初はめちゃくちゃ苦痛でしたよ。

KAYA&上田:ははははは(笑)!

Hikage:苦っ痛でした。苦痛の間に小さい"っ"が入ります。

Maru:ははははは(笑)。

-(笑)何がそんなに嫌だったんですか?

Hikage:いや、だってこの2人がもう勝手に弾き始めるわけですわ。

KAYA:なんの相談もなく(笑)。

Hikage:そうそう。でも、2人は幼馴染だからなんか分かるんでしょうね。目配せとかで、ここはこうしようぜみたいな。それがこっちには全然伝わらなくて、気まずいったらありゃしないっすよ。

上田:最初はそんな感じだったね。

Hikage:そもそも僕はバンドを組んだこともなかったんですよ。学生時代にサークルで組んだことはあったけど、それもコピーバンドでしたし、自分のYouTubeチャンネルもあったんですが、それも結局カバーだったので、そういった即興セッションや作曲みたいな0から1を作るっていうことを、ドラムにおいては全くやったことがなかったんです。それなのに、リアルタイムで生み出すことを強いてくるんですよ、阿吽の呼吸の2人が(笑)。

上田:そやね。

KAYA:"合わせてこいよ"みたいな。

-それは苦っ痛ですね(苦笑)。

Hikage:苦っ痛でした! でも、こうしたら上田はちょっと笑うな、KAYAは気持ち良さそうに弾いてくれるんだなってのを一個一個拾いに行ったんですよね。それでようやく慣れてきました。

-3人でセッションを重ねていくなか、Maruさんは別でバンドをやっていて、Xに投稿した動画を上田さんが観たことがきっかけで知り合ったそうですね。

Maru:バンドと言うほどたいそうなものではなくて。僕は中学、高校の同級生で、自分と同じような音楽を聴いてたやつが1人いたんですけど、そいつがドラムを叩いて、ドラマーとラッパーのユニットって感じでちょっと音楽活動をしてたんです。で、2人で何曲か作って、その演奏動画をXに上げたら、それをカズ君(上田)が観て"「ふりぃだむ」っていうイベントに参加してみませんか?"って話を貰ったのが最初でした。

-それまでセッションをやったことがあるわけでもなく?

Maru:なかったですし、そもそもバンドを組んだこともなければ、ステージに立ったこともなかったんですよ。だから、どんなイベントなんだろうなと思って、ドラムのやつと2人で行ってみたんですけど。

-実際いかがでした? 最初に行ってみた感想というと。

Maru:いやぁ、最初にバっとドアを開けたら、(上田が)この感じなんです。ステージでめちゃくちゃスラップしていて、(※低い声で)"おー! 来たかー!"って言われて。しかも岡山弁で何を言ってるのか分からないんですよ。"まぁちょっと上がって来ぃや。ラップしてみぃや"みたいなことを言われて、ヤバいところに来ちゃったな......って(笑)。

-そうなりますね(笑)。

Maru:でも、ちょっと行ってみようっていうことで、ドラムのやつと2人でステージに上がって。上田と、KAYA君もそこにいたんですけど、俺たちは既存の曲をやったんですよ。そしたら2人がバッチバチに合わせてきたんです!

KAYA:僕等2人は曲を何も知らない状態で、まるで曲を知っているかのように合わせにいって。

Maru:そうそう。なんだこいつら! ってなって、ワクワクし始めた感じでしたね。僕等は打ち込みで作ったものをやるっていうスタイルだったので、セッションもよく分からなかったし、最初の頃はそれこそひかちん(Hikage)みたいに苦痛でしかなくて。

Hikage:苦っ痛ね。

Maru:でも、俺の場合はステージに上がるまでが苦痛だったんだけど、上がったらラップしてるだけでめちゃくちゃ合わせてくれるんで、楽しい! ってその日のうちになりました。

-そこからバンドを始めることになったのは?

Maru:最初に連絡を貰ったのもあって、上田とずっとやりとりしていたんですよ。それで、"メンバー探してるんでバンド組みませんか?"って言い続けていたんですけど、(上田は)"まぁでも......バンド......うん"みたいな感じが2~3ヶ月続いたんです。でも、ある日、これ一緒にやってくださいってメロディのある曲を持って行ってセッションしたときに、視界がパっと開けた感じになったときがあって。そこから2人が徐々にバンドをやることに対して前のめりになっていって、カズ君からやってみようかって言ってくれて結成しました。

上田:"バンドがやりたいです"ってずっと言ってくれてはいたんですけど、セッション・イベントが盛り上がってきていたから、気持ちがもう完全にそっちに行っていたので、バンドを組むのはなぁ......っていうしぶりがずっとあったんです。でも、その曲を持ってきたときに、一気にバンドやりたいっていうほうにシフトした感じになりましたね。