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INTERVIEW

Are Square

2025.02.07UPDATE

Are Square

Member:Maru(Vo) KAYA(Gt) 上田 カズアキ(Ba) Hikage(Dr)

Interviewer:山口 哲生

-後はよろしくっていう(笑)。

KAYA:この曲はデモの雰囲気がすごく良かったんですよ。アコギとMaruが歌っている雰囲気がすごく良かったから、それを壊さずにバンドに落とし込みたかったんですよね。だから8割ぐらいはMaruの要素にして、その装飾を自分たちがするっていう作り方をしてみました。コード進行もメロディもMaruが持ってきたものそのままなので、たぶんMaru色が一番強い曲かなとは思いますね。

Maru:たしかに。

-ブルースな雰囲気もあっていいですね。

Maru:あの2AのギターとかはKAYA君の味が出てますね。あそこのギターめっちゃ好きです。

上田:それこそブルースの感じでね。

-この曲は、それこそ初期衝動大爆発だったら絶対にできないと思うんですが、そういった曲に挑戦してみていかがでした?

KAYA:本当にめちゃくちゃ悩みましたね。Hikageと上田が持っている強い音は自分たちの武器でもあるから、それをこの美しい楽曲にどう織り交ぜていくのかっていうのはかなり考えたんですけど、なかなかうまくいくものではなくて。最終的にはみんなでレコーディングしながら、ここは一音減らしたほうがいいんじゃないか、ここはやっぱりあったほうがいいんじゃないかって一音一音確かめながら、本当に緻密に組み上げていったので、アルバムの中で作るのが一番難しかった曲でした。

Hikage:本当に一番難しかったですね。今まではそこまで深く考えずにドラムを叩いてたんですよ。初めて深く考えながら叩かされた曲でしたね。

Maru:なんかすいません。

Hikage:何も考えずに自由に叩くのが楽しかったのに。

Maru:おい! 楽しくなかったみたいに言うなよ(笑)。

Hikage:(笑)レコーディングのときに付いてくださったドラムテックさんが、普段はバンプ(BUMP OF CHICKEN)とかをやっている方なのもあって、バラードからロックまで振り幅をすごく大きく見てくださったんですけど、一打一打が本当に超繊細なんですよ。ライド(シンバル)も、このへんよりもこっちのほうを叩いたほうがいいよとか、スティックをもうちょっと手前に持ったほうがいいよとか。そうやっていろんな情報を一気に頭に詰め込んで、いざレコーディングってなったら分かんなくなっちゃって(苦笑)。結構満身創痍で録って、なんとか形になったので、ある意味思い入れは一番強いですね。その分いっぱい聴いてほしいです。いい曲なので。

-その詰め込んだ情報は、後から冷静に処理するとめちゃくちゃ武器になりそうですよね。

Hikage:マジでめっちゃくちゃ勉強になったんですよ。レコーディング後のライヴとかから、自分のドラムの音もそうですけど、他のパートの音にも敏感になってきたので。だからすごく必要な情報でしたね。

-上田さんはいかがでした?

上田:こういうバラードで鳴っているベースってすごく大切ですし、ごまかしが全く効かないじゃないですか。さっきのHikageの話じゃないけど、指の力を気持ち弱めたらこういう音が出てくるけど、それは自分が思っているニュアンスとは違うからどうしようかなぁみたいな。「BANG!!!」みたいにスラップでガーっといくのとは真反対なプレイをするっていうのは、自分を試しているような感じもありましたね。"この曲でどこまでいけんだ"っていう。

-たしかに。

上田:そういうなかでも自分らしさを見つけつつ、過去に聴いてきたバラードを思い返して、それを自分なりに噛み砕いて弾いたんですけど、めちゃくちゃ集中しましたし今後がめちゃくちゃ楽しみな曲になりましたね。20年後に振り返ったときに、"あのときの上田はそういうふうにベースを入れたんだな。まだお前は生半可だな"みたいに思いたいんですよ。で、20年後のライヴでは、ベースラインを全部書き換えて、そのときの自分で新しいベースラインを入れたいなって。そういう感じの曲なので、この先が個人的にはすごく楽しみです。

-あとKAYAさんが作曲をされている「Otherside」、「Wasted Youth」、「アイマイナアイニ」といった曲は、バンドの新しい表情を見せているものが多いですけど、ご自身の中で曲を作るときってサウンドからなのか、メロディからなのか、こんなテーマを歌いたいということなのか、まずどんなところから始めます?

KAYA:いろんな方面から作るんですよ。歌詞から作ることもあるし、メロディからもあるし、ベースからもあるし、ギターからもあるし、打ち込みのドラムのフレーズからもあるし。本当に曲によって違うかもしれないですね。で、作っていくなかで、こういう音色にしようかなって決めていく感じです。

-ちなみに「アイマイナアイニ」は?

KAYA:この曲は歌詞とメロディからですね。この曲は21歳ぐらいのときに作っていて、1人で、アコギで歌っていた頃の曲なんですけど、バックのアレンジをいろんなパターンにして、1人で遊んでたんですよ。今回のアレンジはその中の1つなんですけど、これがAre Squareに一番ハマるし、みんなだったらカッコ良く演奏してくれると思って。だから、実はまだ他にもアレンジしたものがありますね。

-タイプA、タイプB、タイプCみたいな。

KAYA:そうです。楽器が完全に入っていない全部打ち込みのパターンもあるので、いつか出せるのかな? まぁ、分からないですけど(笑)。

-「アイマイナアイニ」だけでEP 1枚作るとか。

KAYA:ははははは(笑)。パターン違いで。

Maru:その曲だけでEP作るってことか(笑)。それおもろい。

-「Otherside」はどこから作り始めたんですか?

KAYA:これは歌詞先行だったんですけど、Maruと歌詞の内容を一緒に考えて作っていきました。

Maru:スタジオに入る3日前くらいだったよね。

-どんな話し合いをされたんです?

Maru:["君"はどこにいるの]という歌詞があるんですけど、その"君"は、はたして俺たちにとっての誰なのか、リスナーにとっての誰なのかみたいなところですね。そういったところで、どういう感情を持ってこの曲を歌えばいいんだろうと想像したときに、最初ちょっと意味合いが違ったんですよ。

KAYA:この曲は自分の体験談をガッツリ入れているんです。自分が経験して、感じたことに対して思ったことを言葉にして、歌に乗せたんですけど、"Otherside"というのは言ってしまえば"音楽をやっていない自分"のことなんですよ。で、今の自分は向こうの音楽をやっていない自分から見たらOthersideで......っていう。そんなことをいろいろ考えながら歌詞を書いていて、"どうだい?そっちは/そうかいこっちも/最高の景色を見てるよ"は、音楽をやっていない自分も幸せであってほしいということなんです。今の自分も元気で幸せに暮らしているけど、もし今自分が音楽をやっていなかったとしても、幸せであってほしいっていう願いを込めていて。そういうことをMaruとずっと相談しながら作っていたんですけど。

Maru:実際にその体験談を詳しく聞いてたんです。どうすれば自分の人生にKAYA君の人生の歌詞を落とし込めるかなって、それこそちょっとインタビューみたいな感じで(笑)、いろいろ話を聞いて。

KAYA:本当に長い時間、話してましたね(笑)。

Maru:そういう会はときたま開かれますね。俺が書いた歌詞をKAYA君にワーって言うときもあるし。そういう共有はよくします。

KAYA:歌詞が聴いてくれる人にどういう伝わり方をするのかはやっぱりすごく考えるし、フレーズを大事に選ぶようにはしているんですけど、いい感じにできたかなと。伝わってたらいいなと思いますね。

-伝わってますよ。たしかにそうだなぁと思いました。Otherside、言ってみればパラレル・ワールドの自分も幸せでいてほしいですもんね。そっちが不幸だったらちょっと嫌だなって。

KAYA:そうですよね(笑)。どうせならみんな幸せでいてほしい。

Hikage:でも、パラレル・ワールドの自分がもっと幸せだったらちょっと悔しいですけどね。

上田:あぁ。たしかに。同じぐらいであってほしいよな。

Hikage:いや、ちょい不幸であってほしい。

上田:嫌なやつ(笑)。

Maru:向こうが幸せだったら、こっちも頑張ろう! って思うけど、向こうが不幸だったらこっちは何もすることができないっていう無力感はあるかもね。

-たしかに。あと、KAYAさんと上田さんが共作された「WE GOTTA RED HOT」という曲もあって。かなりファンキーですけども、それこそセッション的な感じで作ったんですか?

KAYA:これは"ふりぃだむ"をやるよりも前に、データのやりとりでセッションをしていたというか。ベースラインを送ってもらったら、それにギターを入れるっていう遊びをよくしていたんですけど、その中のワンフレーズから曲に仕上げていきました。

上田:最初は"何々っぽい曲を作ろうぜ"みたいな感じで、データを入れ合って遊んでたんですよ。それで俺、レッチリ(RED HOT CHILI PEPPERS)大好きなんで、"レッチリのめちゃくちゃ初期の曲っぽいやつを作ろう"みたいな。

-その雰囲気ありますね。

上田:ありますよね(笑)。最初のカウントは俺が声を入れてるんですけど、あれもレッチリのFlea(Ba)が初期の曲でやってたカウントの仕方と全く一緒で。そうやって2人でゲラゲラ笑いながら作っていたやつを引っ張り出してきたんです。だからもうただただ自分の好きなものを詰め込んでますね。

-その曲のタイトルが"WE GOTTA RED HOT"(笑)。

上田:まぁカニも一応赤いし、いっか? って。後付けですけどね。

Maru:この曲は本当に何も考えずに録ってたなぁ。

-ラップも?

Maru:そうです。ワーっと録って、ガヤもワーっとやって。

KAYA:「Holding My Breath」とめちゃくちゃ対照的です。ただただ楽しいだけの曲(笑)。

Maru:俺、早くこの曲を録りたかったんですよ。「Holding My Breath」を録ってるときも、早くあの曲録りたいなって。

上田:たぶん、レッチリの初期の曲って、絶対に何も考えずに作ったと思うんですよ。レッチリすら何も考えてない。

-あぁ(笑)。本家すら。

上田:そこすらもリスペクトしたいなっていう。意味がないことに意味があるみたいな。それが音楽の一番楽しい部分だと思うんで。そういうのはセッションをやってきたから余計に思いますね。

-本当に濃密な1枚になりましたが、こういうバンドになりたい、こんな活動をしていきたいと考えていることはありますか?

上田:最初の頃は、ただ漠然と大きくなりたいみたいな、武道館やりたいとかドーム埋めたいとかだったんですけど、ライヴをやっていくなかで、ライヴ・バンドになりたいっていう意識が、みんなの中で培われていったのかなと思っていて。今自分等がやっているハコをパンパンにするためにこんな曲を作ろうとか、こんなアプローチをしてみようとか、そういう方向に変わってきています。このアルバムって本当にバラエティ豊かじゃないですか。

-そうですね。かなり豊かです。

上田:そういう"何をやってもオッケーですよ"ってものが俺等は好きなんですよ。洋楽のフェスみたいな感じっていうか。でも、ある程度は方向性を決めていかないとね? という共通認識が本当にここ最近出てきたのかなって思います。それは今回のアルバムを作っていても思いましたし、このアルバムを経て、もうすでに新しく作っている曲も方向性が統一されてきたので、このアルバムは、その皮切りになる1枚なんじゃないかなって。

Maru:うん、間違いない。

上田:なので、今はみんなが一点を見つめようとしているっていう感じですかね。

-方向性はある程度決めつつも、セッション的に楽しむという根底は変わらずにありつつ。

Maru:そうですね。今までの曲もそうですけど、バンド・サウンドのみっていうのは僕等のこだわりなんですよ。僕、レッチリの"フジロック(FUJI ROCK FESTIVAL)"の映像が大好きなんですけど、結構スカッとする瞬間もあるのに、ああいう大きい空間の中で4つの音の生のバンド・サウンドだけで響かせているっていうのは、やっぱりバンドを志している者としてロマンの1つだと思うので。そこは今後、どういう大きさのステージに立ったとしても変わらずにやっていきたいなって考えてますね。この4つの音で戦っていきたいなって、このアルバムを経て改めてすごく思いました。

-KAYAさん、今のMaruさんの話をヘドバンばりに頷きながら聞いてましたけど。

KAYA:激しく同意です。僕はこの4つの楽器──声とギター、ベース、ドラムがあれば本当にできないことはないと思っているし、音源を作る上でも、ライヴでメンバーがどういう感情で表現できるのかなってところまで想像して、音を足していく作業をしているので。やっぱり自分たちがやりたいのは生身の表現だし、本当にありのままの自分たちを表現したいと思ってますね。だから、本当に自分たちの音楽を見つけていくことが一番大事だと考えてます。

-Hikageさんもそこは同じく?

Hikage:基本的にはメンバーが言ってくれたことに完全同意ではあるんですけど、いかんせん迷惑を掛けてしまっている自負もあるので。

-自由にやりすぎて?

Hikage:そう(笑)、自由がゆえに。あと、俺は(※本誌を見ながら)それこそベガス(Fear, and Loathing in Las Vegas)とか、Crossfaithとかが大好きで、ずっとコピーさせてもらってた経緯もあるので......だから全然ね、同期とかも......あの、タイミングが合えばね?

Maru&KAYA&上田:ははははは(笑)!

Maru:一番自由にやってるやつが言うか(笑)!

Hikage:5人目のメンバーみたいな感じでね、使うときがあっても僕は全然、いつでも大歓迎です。

Maru:で、自分で勝手にテンポ変えるんだろ?

Hikage:うん(笑)。俺、こんなこと言っておきながら機械めっちゃ苦手なんですよ。

上田:だからやろうとしてもできないです(笑)。

Hikage:そのときは頑張るよ。

KAYA:もしシンセが入るとしても、ちゃんと人とやります。誰かに弾いてもらう。

Maru:そこはそうだね。