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INTERVIEW

THE JAPANESE PRIDE

2024.07.10UPDATE

2024年07月号掲載

THE JAPANESE PRIDE

Member:小栗 征哉(Ba/Vo) 川口 英軌(Gt/Cho) 瀧本 航大(Dr/Cho)

Interviewer:フジジュン

さらなる高みを目指すため、約7年間慣れ親しんできたバンド名での活動に区切りをつけ、新たな活動を開始した3人組ロック・バンド、THE JAPANESE PRIDE。5月に自身のライヴで新たなバンド名での始動を告知して、1st EP『NOW』をリリースすることを発表した。翌日、先行シングルとして「No.8」を配信リリースした彼ら。心機一転、新たな始まりへの真正直な気持ちや決意を歌うヴォーカル、バンドを組んだばかりの頃のような衝動をここまで積み重ねてきたキャリアとスキルを持って鳴らすサウンド。"NOW"のタイトルに相応しい彼らの現在を詰め込んだ1st EPや、THE JAPANESE PRIDEに懸ける想いを3人に訊く。


"この先もついて来てほしい、ずっと同じ景色を見ていたい"――という気持ちを込めたので、たくさん聴いてほしい


-5月28日に約7年間慣れ親しんできたバンド名を改名して、THE JAPANESE PRIDEとして活動していくことを発表。発表後のファンやバンド仲間からの反応はいかがですか?

小栗:驚かれましたけど、僕らの中ではようやく発表できたなという感じです。"WATERって名前好きだったのに"と言うお客さんもいたけど、"ジャパプラ(THE JAPANESE PRIDE)になっても好きだよ"と言ってくれる人もいて、早くも略されてたりして(笑)。

瀧本:僕らは心機一転、バンドをイチから始めるつもりで頑張っていこうと思ってます。

小栗:うん、WATERとしてずっとやってきて、当たり前ですけど調子いいときもあれば悪いときもあって。たくさん悩んできたんですけど、ひとつ気持ちを切り替えるタイミングがあったほうがいいんじゃないか? という考えになったんです。

-現状から突き抜けるために、バンド名を変えるくらい大きなことをして、気持ちを一新させたかった?

小栗:まさにそうです。"ここからどうしようか?"というのは常に3人で考えていたんですけど、ようやくその答えが出た感じでしたね。

川口:これまでも征哉が"やりたい"ってことをやってきたんですけど、"改名したい"と言ったときは、僕らも驚きました。でも、CDを初めて全国流通できるタイミングで改名できたらキリもいいし、そこから一新するというのはいいんじゃないか? と思って。結構考えたけど賛成しましたし、自分たちでもこれからが楽しみです。

瀧本:僕は改名を決めるまで、気持ちの浮き沈みが激しかったんですけど、改名することが決まってから、"もう一度、イチから頑張ってみよう"って気持ちが強くなりました。

-バンド名を改名しての再スタートって、3人の中では覚悟もすごくいったと思うんですが、1st EP『NOW』を聴かせてもらって、そんな覚悟や今歌うべきこと、鳴らすべき音というのがしっかり込められた作品になったなと思いました。"まだ夢を見てる"という現在の気持ちを歌った「TIE」とか、バンドを始めた頃の気持ちや初期衝動を思い出して、もう一度バンドにワクワクして、みたいな気持ちがサウンドからも表れてて。

小栗:あ~、嬉しいです。ありがとうございます。

-ちょっといじわるな質問ですが、WATERの活動を振り返ったとき、バンドで叶えられたこと、叶えられなかったことっていかがですか?

小栗:う~ん、どうだろう? でも、WATERをやったことで"バンド楽しい!"って思えました。最初何もわからない状態でいきなりバンドを始めたんですけど、"いや、イケるっしょ"ってマジで思ってたし。初めの頃は友達とかもめちゃくちゃ来てくれるから、めっちゃ楽しかったんですけど、やっていくうちに難しさに気づいて、"これ簡単じゃねぇな"と思うようになって。ツアーやったり、企画やったりするようになったら、それなりにお客さんも来てくれるようになったんで、"頑張って良かったな"と思う瞬間も多かったし、WATERで叶えられたことは、"バンド楽しい!"って思えたことじゃないですかね。

-そう考えると、ここまでバンドを続けてこられたというのも叶えられたことですよね。"バンド楽しい!"ってことに気づけなかったら、苦しいことが起きたときにあっさりやめてしまうという選択肢もあったわけで。

小栗:そうですね。僕ら、一番長いツアー([WATER 3rdEP"New Home"TOUR])をやっていて、自分たち的に"今調子がいい!"と一番思ってたときにコロナが来て、ツアーが半分なくなって、まともに活動できない時期が2年くらい続いて。活動できなかった時期は、"やめようかな"って本気で考えたこともあったんですけど、今思うと、続けてきて良かったなと思います。

-これまでの経験で楽しいことばかりじゃないのも知ってるけど、苦しいことも乗り越えてきてるから、また大きな壁が訪れたときも乗り越えられそうですよね。

小栗:不安は不安ですけどね。やっぱりWATERを好きでいてくれたお客さんと、この先も一緒に楽しんでいきたいし、ついてきてほしいなと思います。

-そんな気持ちを表したのが、EPに"TJP ver."として再録したWATERの「約束」(2019年リリースの2nd EP『Snuggle up』収録曲)だと思って。その他の収録曲で"これがTHE JAPANESE PRIDEです!"と、WATERを知ってる人にも知らない人にも新たな側面を見せて、「約束」でこれまで応援してくれてた人たちに、"大丈夫、俺たち気持ちは変わらないし、今こんなにカッコいいぜ"っていうのを証明しているのだろうなと感じました。

小栗:その通りです。だから、今回のEPはめちゃくちゃ納得してて。どんな曲を届けたらいいかめっちゃ考えましたし、歌詞を書くときもめっちゃ時間かかったんですけど、結果すごくいいものができたと思うし、リリースされるのが楽しみでしょうがないです(※取材は6月上旬)。

川口:僕は最初「TIE」の歌詞を征哉がグループLINEで送ってくれたとき、"これ、俺らのこと言ってるな"って、ちょっと泣きそうになりました。あれ、俺のことやもんね?

小栗:うん......まぁまぁ(笑)。でも、まずはこのふたりに伝わらないと、伝わらないというか。俺の作る曲の一番のファンであってほしいですから、伝わってて嬉しいです。

川口:"征哉、いい歌詞書くなぁ~!"って改めて思いました。征哉はシャイで普段、言葉じゃなくて歌詞で伝えてくるタイプなんで。

小栗:そうなんです。僕、歌詞で伝えるタイプなんです。

-あはは、お酒飲んでても言えないことが歌詞だと言えると(笑)。でも、やっぱり歌詞を読んで、楽曲への思い入れも変わってきたでしょう?

川口:そうですね。スタジオで作ってるときはしっとりした感じで、"1曲目じゃないな"と思ってたんですけど、作っていくうちに、"これ1曲目じゃない?"って感じました。

小栗:「TIE」は最初に作り始めた曲でもあって、スタジオではめっちゃ何回も演奏してるんで、ライヴでも一番上手くいく気がします。僕たち、スタジオで音を鳴らしながらじゃないと曲が作れなくて。3人で鳴らしたとき、"これめっちゃいいやん!"ってなって、一番しっくりきたのが「TIE」だったし、今作でも一番いいと思ってます。

-初期衝動的な気持ちを思い出しながら、それを現在のスキルで鳴らせてて、表現する術をわかってるから、しっかり伝わる曲になっています。航大さんはいかがですか?

瀧本:僕はWATERをやってたときから、征哉さんが作る曲が一番好きなので、THE JAPANESE PRIDEになっても、一番のファンでありたいと思ってて。

小栗:ほ~ぉ。なんか恥ずいですね(笑)。歌詞はちゃんと見た?

瀧本:正直あんまり見てないけど(笑)、曲調は好きですよ。

-歌詞もちゃんと見てください(笑)。あと歌詞に込めた思いもそうですけど、サウンド面でも新しいところを見せたいという気持ちがあったと思うのですが?

小栗:そこは一緒と言えば一緒というか、WATERと変に変えるつもりはないです。ただ、音は成長したかな? とは思います。

-WATERの音源と聴き比べたとき、洗練されたというか、ブラッシュアップされた感というのは感じて。特に「No.8」とか、自分たちのカッコいいところをギュッと詰め込んだ曲になっていて、これをTHE JAPANESE PRIDEの1曲目として先行リリースしたとき、"おっ!?"と思わせることができる曲になったと思います。

小栗:良かったです! たしかに聴いた人が"カッコいい"って言ってくれて、その声は届いています。「No.8」は僕とヒデ(川口)で下北沢で飲み屋をやってるんですけど、僕の見る下北沢を描いた曲で。

瀧本:まず、イントロがカッコいいですよね。最初から"ヤベぇ!"と思わせる曲にしたかったんで、イントロはこだわりました。

小栗:「No.8」が一番すぐにできた曲だったよね? バーンと合わせて、"最高!"って。

瀧本:そう。レコーディングも後半で、"ヤベぇ、もう1曲作らなきゃ!"みたいな感じでやったら、1日でできたんです。

-それが先行リリースの曲になって。意外とそうやってできた曲がバンドの代表曲になったりするんですよね。

小栗:たしかに。WATERだと、「エンジン」(『Snuggle up』収録)が代表曲だと思うんですけど、あれも秒でできた曲で。めっちゃ簡単な曲なんで、みんなにコピーしてほしいんですけど、そういう曲が代表曲になって、めちゃくちゃ考えて作った曲が全然人気じゃないことが多々あります(笑)。

川口:僕は踊れる曲が好きなので、「No.8」はめちゃくちゃ好きで、曲作りの段階からやってて一番楽しい曲だったんですけど、歌詞があがってきたら、下北沢の曲になってて。"こいぬの木"って歌詞があるんですけど、下北沢に"こいぬの木"というモニュメントがあって。

小栗:そこにベンチがあるんですけど、朝見ると誰かしらがベロベロで寝転んでたりして。昼はちょっとおしゃれな子が多いけど、夜はその子たちが本性を表して死ぬまで飲んでたりっていう、下北沢の全部を詰め込みたかったんです。"No.8"というタイトルも、オオゼキってスーパーで買い出ししてるとき、並んだレジが8番だったという理由があって(笑)。"並ぶNo.8 見渡せば誰一人/笑ってないから もうやめよう"って歌詞があるんですけど、意外とみんな楽しそうな顔をしていないというか、"みんな頑張ってんだろうな"ってのを最近すごく感じるので、それも入れたかったし。無理して笑顔を作ってる人たちを元気にしたいという気持ちもあるかも知れないです。

-僕もそうだったけど、下北沢って上京組も多いし、下北に憧れて住み始めたり働き始めたりしてる人は、どっか気を張って生きてる気がするんですよね。"ここは俺の街だ"みたいな顔してるけど、どこか気が休まらないというか。

小栗:僕らも全員そうだから、気持ちはすごくわかるというか。上京したけど、地元に帰っていくやつらもたくさん見てきたんで、この改名というタイミングで、そいつらにも届けばなおいいなと思ってて。今回のCDもそうですけど、僕はあまり嘘が書けなくて、経験してきたことばかりなんですよ。想像で歌詞を書くっていうのができないんです。

-ラヴ・ソングにも聴こえる「THINK」も、現在の気持ちがちゃんと反映されていて。ゼロから作った創作にはないリアルさが、グッときます。

小栗:「THINK」はWATERのお客さんだった人に向けて、"この先もついて来てほしい、ずっと同じ景色を見ていたい"という気持ちを込めたので、たくさん聴いてほしいです。