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INTERVIEW

Not Secured,Loose Ends

2024.07.11UPDATE

2024年07月号掲載

Not Secured,Loose Ends

Member:メイユイメイ 秘我未也ゆちおみ 楪おうひ 如月愛海

Interviewer:吉羽 さおり

-前身であるゆくえしれずつれづれ時代の曲を英語詞で再新録したアルバム『OUROARBOROS』がまずリリースされましたが、英語詞で歌うというレコーディングはどうでしたか。

楪おうひ:結構苦労しました、難しいですね。

如月愛海:もともとゆくえしれずつれづれ自体、単純な日本語の歌詞ではなくて、独自の日本語表現や日本語としての難しさもあったので。その日本的な、繊細で深い言い回しを英語に翻訳してもらっているので、英語自体もまた難しいものになっていて。

秘我未也ゆちおみ:聞いたことがないような英単語が出てくるんです。

如月愛海:かなり歌うのは難しかったですね。逆にそのゆくえしれずつれづれならではの日本語の歌詞を英語で発信することで、日本の良さみたいなものが受け取りやすいし、わかってもらえたりするのかなとも思います。

-詩的な表現や感情の機微、激しい感情の内にある繊細さなどのニュアンスまで感じ取ってもらえたらいいですね。再新録ということで曲数も多かったと思いますが、どのくらいの時間で録っていたんですか。

メイユイメイ:「Phantom Kiss」と「Odd eye」だけ結構前に録っていて、残りの9曲はぎゅっと詰め込んで録ったんですけど、最初の2曲と残りの9曲とでは、後半のほうがちょっと英語がスムーズでしたね。慣れてきたというか。

-もともとメロディ・ライン自体が英語のノリもいいのか、聴いていて違和感はなかったですね。

メイユイメイ:そうですね、逆に英語詞のほうがしっくりくるなという曲も。

楪おうひ:「Post Catastrophe」とか。

如月愛海:「howling hollow」とかも、かなり英語詞が映える感じがある。

-ただ、もとが日本語詞の曲だと、それが染みついていて大変さもありそうです。

メイユイメイ:ライヴでお客さんがでっかい声で一緒に歌ってくれているんですけど、そのお客さんが歌う日本語の口パクが見えちゃうと釣られて日本語で歌っちゃう感じはあったりする(笑)。

如月愛海:あるある。

-ゆちさんはどうでした?

秘我未也ゆちおみ:私はレコーディングが初めてで、逆に初めてが英語だったから、英語に関する難しさはそんなに感じなかったんですけど、とにかくレコーディングが緊張しました。あとは、日本語だったらきっとこういう感じで歌うんだろうなというのはわかりやすいんですけど、英語だとうまくその感覚が掴めないというのがあったり。最初に録った「Phantom Kiss」と「Odd eye」ではデモに近い感じで歌っていて、それでちょっと後悔もあったので、残りの9曲では自分の個性を出そうと思って頑張りました。

-レコーディングではもっとこう歌おう、こういう表現にしようなどディレクションが入ったりもしたんですか。

如月愛海:どちらかというとポイント、ポイントで、英語的にここを強く言ってほしいみたいのはありましたけど、歌とか声質的な意味ではそんなになかったです。

メイユイメイ:でもおめぐはぜん君。のときとは全然違っているんですよね。ディレクションされてなかったとしても、楽曲に沿った歌声にしてたから、そういうことできるんだなって──。

如月愛海:(笑)

メイユイメイ:もちろんできるのはわかってるんだけど(笑)、ぜん君。ではずっと強い芯のある歌声というイメージがあったから、こういう儚い、ちょっと静かな歌声っていうのもできるんだなって。

如月愛海:できるよ! もう10年目だぞ。

メイユイメイ:そこはちょっと感動しました(笑)。もともとNSLEにおめぐをって思ったのも、おめぐのポエトリーが好きで、NSLEのポエトリーも映えるんじゃないかなと考えたんです。楽曲に沿って声色とかも変えていて素敵って思いました。

楪おうひ:ディレクションとは違うんですけど、ゆくえしれずつれづれの曲ってスクリームがあるじゃないですか、私はあまりスクリームをやったことがなくて、"ヤバい、できない!"ってなって、メイ師匠が教えてくれました。

メイユイメイ:しかもレコーディングの前日に"スクリームってどうやって出すの?"ってポンってLINEが来て。"前日かよ!"って思った記憶がある(笑)。

楪おうひ:最初に録った2曲は頑張ってやるしかないみたいな、荒削りなシャウトだったんですけど、あとの9曲はそこから毎日家で練習をして、自分で録ったスクリームをメイに送って、息の使い方を教えてもらったりもしたので、段々と良くなってきて。聴き比べるとわかるくらいになりました。

メイユイメイ:だいぶ変わったよね。

楪おうひ:そこも、注目して聴いてほしいです。

-こうして4人の声になって曲が生まれ変わった感じがありますよね。

メイユイメイ:別モノになる感じですね、強くなった感じがします。

-メイさんはぜん君。での活動もありましたが、こうしてNSLEとしてゆくえしれずつれづれの曲を歌ってみて、自分で変化を感じることはありますか。

メイユイメイ:ゆくえしれずつれづれが解散してすぐにぜん君。に加入したので、そのときはぜん君。に追いつくので必死で。1年くらいは考える暇もないくらいがむしゃらに走っていた感じだったんです。武道館後の活動休止期間いろんなことを考えたんですけど、ゆくえしれずつれづれをやっていたときの自分よりも──自分で言うのもなんですけど、圧倒的に歌だったりシャウト、パフォーマンス力も上がったなと思っていたので、今の自分ならこの楽曲たちをどう表現できちゃうんだろうっていうワクワクでいっぱいでしたね。絶対にもっといい表現ができるはずだなって。

-ぜん君。では47都道府県ライヴを何度もしたりライヴ数が半端じゃなかったですし、鍛えられますよね。そして『OUROARBOROS』に続いて、7月17日には新曲「GENESIS」がリリースとなります。当時のゆくえしれずつれづれを聴いてくれていた人、観てくれていた人にも投げ掛けるような、すごくまっすぐでいい曲ですよね。

秘我未也ゆちおみ:「GENESIS」はNSLEとして初めての曲じゃないですか、それがめちゃめちゃ嬉しいんです。最初に歌詞のない音源だけの状態で貰ったんですけど、嬉しすぎて毎日聴いていたくらいで。歌詞を貰って、最初は今までの群青(※ゆくえしれずつれづれ/NSLEファンの呼称)さんの思いとか、今回NSLEを始めると決めたメイユイメイの曲なのかなとか改めて考えたりしたんですけど、いつしか自分とも重ねていて。NSLEに入る以前の自分との決別じゃないですけど、前に進もう、NSLEとして新しく進んでいくぞ、みたいな気持ちとも重なるなって思いました。

楪おうひ:ゆくえしれずつれづれはTOKYOてふてふが始まってすぐに解散しちゃったので実際にライヴを観たことがなくて、映像で残っているものしか観たことがなかったんですけど、まさか自分がこうしてNSLEに入るとは思っていなかったし、そこからの新曲で。歌詞には、前身のゆくえしれずつれづれの感覚も入っているけれど、さらに新しくなって全世界に叫び続けるっていうNSLEなりの気持ちの表れが詰まっていて、歌っていると前を向く強い気持ちになれます。

如月愛海:自分が歌う"I live to shout this all over the world.(私はこれを世界中で叫ぶために生きている。)"というパートがあるんですけど、その次のシーンでおうひの歌詞が"We live to shout this all over the world.(私達はこれを世界中で叫ぶために生きている。)"って、"私"から"私達"に変わっていて、それは群青さんもそうですけど、自分たちのことでもあるなと思って。これまでは、ゆくえしれずつれづれとしてメイが叫んできたものだったりするかもしれないけど、今は私たちも同じように叫びたがっていて、それをライヴで伝えようとしているのをすごく感じるんですよね。

-このパワー、エネルギーはライヴという場でダイレクトなやりとりができそうです。

如月愛海:「GENESIS」って実は曲自体はキャッチーじゃないですか。なのに、ライヴが全然キャッチーじゃないんです(笑)。私たちもフロアのお客さんも、曲の頭から全員でぶつかりにいく感じで。自分たちが叫ぼうとしてるものを、口ではなく全身で体現してるんだなって思って。ライヴ中、歌っている側としてはお客さんの叫びたい思いに負けたくないじゃないですか。そのお互いの相乗効果で、この曲を聴くたびにテンションが上がりますね。めっちゃいい曲を貰ったなって。言ってることはエモいし深いんですけど、思ったよりも明るく捉えている部分もあって。

メイユイメイ:たしかに今までの楽曲の印象って曇天というか、重い感じの曲が多かったんですけど、「GENESIS」は晴天な感じで。それが、NSLEが本当に始まったんだなって感じがします。サビの歌詞にもグループ名が入っているし。前回アルバム『OUROARBOROS』も出しているんですけど、これでちゃんとNSLEが始まるなっていうのを感じました。