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INTERVIEW

WHOM GODS DESTROY

2024.05.08UPDATE

2024年05月号掲載

WHOM GODS DESTROY

Member:Yas Nomura(Ba)

Interviewer:菅谷 透

Mike Portnoy(Dr)のDREAM THEATERへの電撃復帰が発表された際に、驚きと同時に"SONS OF APOLLO(以下:SOA)はどうなるんだろう?"と頭をよぎったプログレ・メタル・ファンも多かったことだろう。結果的にSOAは活動終了してしまったようだが、同バンドのRon "Bumblefoot" ThalとDerek Sherinianが新バンド WHOM GODS DESTROY(以下:WGD)を始動! VoにはWHITESNAKEのDino Jelusick(Key/Backing Vo)、DrにANGRAのBruno Valverde、BaにHYDEのツアー・ギタリストも務めるなどグローバルに活動する日本人ギタリスト/ベーシスト Yas Nomura(野村康貴)と、凄腕ミュージシャンが集結。デビュー作『Insanium』では、SOAのマインドを継承しつつ、よりモダンでヘヴィなスタイルへと舵を切った、新感覚な超絶技巧サウンドを堪能することができる。激ロックではYas Nomuraに、バンド加入の経緯やアルバムについて話を訊いた。


ことごとくユニゾンが入ってて、"これベースで弾くのかよ"、"ムズすぎだろ"っていう(笑)


-デビュー・アルバム『Insanium』の完成おめでとうございます。海外ではもうリリースされていますが、どういった反応がありましたか?

SNSのコメントとか、会った友達も結構いい感じの反応ですね。やっぱりDerek Sherinian(Key)とかは界隈ではレジェンドだし、ドラムのBrunoも、ヴォーカルのDinoも注目されてる存在なので。

-まずバンドが結成した経緯からうかがっていければと思うんですが、もともとNomuraさんはアメリカでギタリストとして活動されていたんですよね。

そうですね。もちろんベースでも仕事とかバンドをやってはいたんですけど、もともとはギターから始めていて。(ギターの)学校に行ったりとかしてて、その学校を卒業するちょっと前ぐらいからちゃんとベースを弾き始めたって感じですね。20代半ばあたりはバンドに入ってたので、ベースのほうが弾く機会は多かったんですけど、最近はギターをやっていて。WGDに入った経緯としては、まずDerekからInstagramでDMが来たんですよ。

-最初からバンドの打診があったんですか?

最初は普通にフォローされて、こっちもフォローを返して。それで"いいね、バンドで音楽を作ってるのか?"みたいなメッセージを貰ったんです。その後しばらくしてから、"君のメインがギターなのはわかってるけど、スタイルがあって格好いいバンドがあったら、ベースで入るつもりはあるか?"というようなことを言われたので、"もちろん"と返して。でもそこから半年くらい特に何もなかったんですが、いきなり連絡が来て。そのときはまだRon(Gt)の名前は出てなかったかもしれないんですけど、"新しいバンドを始めるからスタジオで曲を聴かせたい"と言われて、彼のスタジオは(LAの)家から車で5分くらいのところにあったので、行って3曲を聴かせてもらって"どう?"、"いいね"って話をしたんです。そしたらオーディションみたいに、ベースを録ってくれって言われて。そこですぐ演奏して、一応(メンバーに)決まった感じですね。それが2021年の10月くらいのことなんですけど、そこから1年くらい何もなくて。Dinoと前のレーベルの契約問題があって始められなかったみたいで、"もうやらねぇんだろうな"と思ってたんですけど(笑)、結局ほかの曲も送られてきて。2022年の11月頃にはもうほぼ全部終わって、俺が11月から4ヶ月ぐらい日本に戻ってたんですが、それからまた曲が追加されて、2023年の4月にこっち(LA)に戻ってきてレコーディングして、という感じで。だから、めちゃくちゃ時間かかりましたね。レコーディングは去年の6月に終わったんですけど、(海外での)リリースは先月(※取材は4月下旬)だったので、最初から考えたらすごい時間がかかってます(笑)。

-メンバーにBumblefootなどが参加するというのは、いつ頃から把握されたんでしょうか?

スタジオに行ったときだったと思いますね。SOAが終わるから、みたいな感じだったと思います、解散するのかはわからないですけど。そのときはもちろん知らなかったんですが、Mike PortnoyもDREAM THEATERに入ったし、Billy Sheehan(Ba)も抜けたと思うんですよ。だから、ふたりでやっていこうと決めたのかなと。

-各メンバーの印象をおうかがいできればと思うんですが、まずBumblefootについてはいかがでしょうか。

高校のときにソロ・アルバムを何枚か聴いていて、めちゃくちゃクレイジーな人ってイメージでした(笑)。もちろんSOAもMike PortnoyとDerek SherinianとBilly Sheehanっていうラインナップなので、そんなにがっつり聴いたわけではないですけどチェックはしてて。あとツイン・ネックのフレットレス・ギターとか、とにかくすごいギタリストってイメージがありました。会ってみたら、めちゃくちゃいい人で面白いです(笑)。直接会ったのはたぶんPV撮影の1回だけなんですけど、FaceTimeで話したりとかは何回かしてて。メッセージのやりとりもしていて、めちゃくちゃ面白いです。

-続いて、Derekについてはいかがですか?

DREAM THEATERの2枚(EP『A Change Of Seasons』、4thアルバム『Falling Into Infinity』)に参加してるので、もちろん知ってて。あとPLANET Xが好きだったので、高校のときですけどDerekのソロ・アルバムも聴いてました。ギタリストをフィーチャーしてて、ゲスト・アーティストがすごいことになってたので。でもPLANET Xのイメージが強いですね。3rdアルバムの『Quantum』に俺の好きなAllan HoldsworthとBrett Garsedが参加してて、ベーシストのJimmy Johnsonも全部の曲じゃないですけどプレイしてるから、もう聴きまくってました。PLANET Xってサブスクで配信されてないんで、この間持ってるCDから3枚くらい見つけてきて、でもパソコンにもCDドライヴがついてないから車でしか聴けないっていう(笑)。サブスクで配信してほしいですね(笑)。

-(笑)DinoはNomuraさんのプロジェクトでフィーチャーしたことがあったんですよね。

そうですね。自分のバンドのTHE RESONANCE PROJECTの1曲(「End Of Time Ft. Dino Jelusick」)でフィーチャーしてて。それは本当に偶然で、(WGDの)話が来たあとだったんですけど。THE RESONANCE PROJECTはインスト・バンドなんですが、その曲はインストだと成り立たないんじゃないかって気がして。結構長い曲だったんですけど、短くするのもギターのメロディを乗せるとかも違うなと思って、ヴォーカルを乗せたいなと。それで友達に誰かいないかっていう話をしたらDinoの名前が出てきたので、すぐYouTubeとかをチェックして。そしたらLIQUID TENSION EXPERIMENT(※DREAM THEATERのMike Portnoy、John Petrucci(Gt)と後にDREAM THEATERに加入するJordan Rudess(Key)、KING CRIMSONのTony Levin(Ba/Chapman Stick)によるグループ)の「Paradigm Shift」をカバーしてて。もとはインストなんですけど、それに歌を乗せてて"すげぇな"って。とりあえずインスタをフォローしたら、すぐにフォローが返ってきて、それで曲を作って、DinoがWHITESNAKEのリハかツアーかでLAに来たときにMVも録って、仲良くなりました。あとでわかったんですけど、その時点でDinoはDerekから"こういうベーシストがいる"って話をされてたらしいんですよ。それを知らなかったんで、Derekに"こういうやつがいるよ"って話をしたんですけど、"いや知ってるよ"って言われてしまって。Dinoがレーベルと揉めてたんで、最初は別のヴォーカルがデモで歌ってたんですよね。でも"絶対Dinoが歌ったほうがいいだろ"と思ってて。それで問題がクリアになって、ようやくDinoが参加できることになった感じです。

-最後に、Brunoについてはいかがでしょう?

実は最初に会ったのは10年ぐらい前で。仲のいいMateus Asatoってギタリストがいるんですけど、そいつの家にBrunoが泊まってたんですよね。それで会ったときにVirgil Donatiがドラムを叩くライヴを観に行くって話をしたら、彼も行く予定だって言ってたんで、Asatoの家に車で迎えに行くっていうことがあって。それから連絡を取ってたわけじゃなかったんですが、3年くらい前に税金を払いに行ったらたまたまそこにBrunoがいたんです(笑)。そのときにドラムを探していたんで、ちょうどいいんじゃないかと思って(WGDの)話をしたんですけど、1年くらい動きがなかったのでちゃんと紹介するには至らなくて。それからDinoがLAに来たときにANIMALS AS LEADERSを観に行ったんですが、そこにもBrunoがいたので話をして、最終的にDinoがBrunoを推薦して加入が決まりました。だから、いろいろな偶然が重なって今に至る感じですね。

-本当ですね。ちなみに、BumblefootやDerekが関わっているということで、今回のプロジェクトはSOAの後継に位置するバンドになるのでは、というような印象はありましたか?

そうですね。ただ、Mike PortnoyとBilly Sheehanっていうスターだからなぁっていうのはあって(笑)。一応そういう(後継バンドの)体にはなるんでしょうけど、そんなに深くは考えてないですね。

-なるほど。たしかにこれまでのSOAとはまた異なる、かなりダーク且つモダンでヘヴィな感じのサウンドになっているなと思いまして。

もっとモダンな感じがしますよね。今回のアルバムは全部RonやDerekが書いていて、Dinoはもちろんメロと歌詞で関わってるんですけど、俺は作曲に参加してないんです。実は来月あたりから2ndアルバムの曲作りを始める予定で、俺も今フレーズを作ったりしていて。俺はもっとモダンな感じにしてもいいんじゃないかと思ってます。まぁ、難しいところではありますけど。

-なるほど、早くも次のアルバムが楽しみになりますね。ちなみに1stアルバムの楽曲を初めて聴いたときは、どういった印象を持ちましたか?

最初に聴いたのは「In The Name Of War」とたぶん「Crawl」だったんですけど、かっこいいなと思いましたね。レコーディングするときにMIDIファイルを送ってきてくれたんですが、ことごとくユニゾンが入ってて、"これベースで弾くのかよ"、"ムズすぎだろ"っていう(笑)。まぁ、それができるから俺になったんでしょうけど。でも、結構練習しましたね。

-フレットレス・ギターならではのリフがかなり特徴的ですよね。

ああいうリフは聴いたことがないから、めちゃくちゃ刺激になりました。ただ、ベースはフレットレスで弾くとアタックがなくなっちゃうので、ヘヴィさに欠けちゃうんですよね。バラードの「Find My Way Back」と「Requiem」(ボーナス・トラック)はフレットレスで弾いているんですけど、フレットのあるベースで、フレットレスのリフを弾くっていうのはなんか変な感じでしたね。こんなリフ弾いたことねぇわと(笑)。あれはすごいオリジナリティがあるなと思いました。

-少し前にBumblefootの演奏動画が公開されてたんですが、フレットレスのほうのネックでガンガン弾いてて衝撃でした。

すごいですよね。ちょっと弾かせてもらったんですけど全然無理でした(笑)。フレットレス・ベースでもめちゃくちゃムズいんですけど、ギターはより狭いので、ピッチがよりシビアになるんですよね。あれはすげぇなと。フレットレス・ギターをあれだけ弾けるのはあの人とGuthrie Govanくらいですよ。