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INTERVIEW

WHOM GODS DESTROY

2024.05.08UPDATE

2024年05月号掲載

WHOM GODS DESTROY

Member:Yas Nomura(Ba)

Interviewer:菅谷 透

-そういった超絶技巧が取り入れられながらも、今作は作品として非常にまとまってるなと感じまして。プログレのスーパー・グループだと、個々のパートの主張がかなり強い作品が多くなる傾向にあると思うんですけど、今作はいい意味でバンド感、一体感を感じたんですが、そういった部分で意識したことはありますか?

もちろん。結局は曲の邪魔をしちゃいけないと思うし、特にベースっていうのは曲を第一に考えないといけないし。ギターもそうですけど、結局は曲ありきだと思うんで。それを弾きすぎて邪魔するのはもったいないと思いますね。もちろん、「Hypernova 158」に関してはインストだし、そういうテクニカルな曲なので別ですけど。「Find My Way Back」で弾きまくっても......っていうのはあるし、それはみんなわかってると思います。

-今回のアルバムはもう曲ができあがってたとおっしゃってましたが、ご自身のパートではどういった部分を工夫されましたか?

ギターとユニゾンのところはハーモニーにしてみたり、あとはフィルとかですね。ミックスはRonがやったんですけど、めちゃくちゃかっこ良く仕上げてくれたなと。ギタリストはベースの音量を下げちゃう癖があるんですけど、今回はベースの音がデカめで。音自体もプラグインで録ってたんですけど、その音っぽいニュアンスでリアンプしてくれたんですよね。だからいい感じになったと思います。

-ここからはいくつかの曲についてうかがえればと思います。Track.1の「In The Name Of War」は静かなピアノで始まりテクニカルなリフへと繋がっていく、まさに1stシングルに相応しい楽曲ですね。

この曲は本当に最初に聴かせてくれた曲で、最初のピアノのイントロからバンドインする感じとかかっこいいなって。あと5連符で、プログレ・シーンのトレンドも取り入れられているんですよ。狙ったわけじゃなくてナチュラルだったとは思うんですけど。リフもかっこいいですね。

-中間のソロも、冒頭でも名前が挙がったAllan Holdsworthっぽいところがあって。

ドロップするところですね。ベーシストとしては、静かになるけどゴリゴリの音でやってみたりとか。あまり弾きすぎないで、できるだけソロに寄り添うように、邪魔するんじゃなくてサポートするように録りたかったのもありました。結構いい感じに録れましたね。だいたいソロ・セクションとかは音源を流しながらループで録って、バランスを見ながらいいところを選んでいく方式でやってるんですけど、いい感じに仕上がったかなと。

-続いての「Over Again」は、SOAの流れでアルバムを手に取ったリスナーが一番驚くような、ヘヴィでDjentyなサウンドです。

そうですね、Djentyで。ヴァースとかめちゃくちゃかっこいいです。Dinoが素晴らしいですね、マジで。

-パワフルでスクリームっぽい歪みもありつつ、メロディも同じ感じで歌えるっていうのが素晴らしいですよね。

彼はキーボードもすごい上手いんですよね。ギター、ベース、ドラム全部できるんですけど。複雑なリズムもちゃんと理解してるのがデカいですね。俺のバンドの曲も結構複雑でリズムが17拍子なんですけど、それもちゃんとできてたし。あれだけ上手くてリズムも理解しているっていうのは本当に貴重なので、そこは強いですよね。

-Track.3「The Decision」はメロディだったり、コーラスが分厚くなるところも含めてとても叙情的で。Derekがプレス・リリースの中でインスピレーションの源にMUSEを挙げていたんですが、それも頷けるような楽曲です。

MUSEっぽいなと俺も思いました、MUSE大好きなので。たぶんRonの曲だったと思うんですけど、あれが追加された曲のひとつなんですよね。メインのメロはRonが歌っていて。歌詞はなかったんですけど。デモが送られてきたときにDinoがLAにいて、ここ(自宅)に泊まってたんですよ。それで一緒に聴いて"MUSEっぽいね"ってなりました。まぁ、仕上がりを聴くとそんなにMUSEでもない気はするんですけど、ハーモニーの感じは近いですね。

-「Crawl」はMVも撮影されていて、テクニカルさもありつつ、歌の魅力もグッと出ている曲ですね。

最初のリフがムズかったですね。フィンガリングが"これどう弾くんだ"ってなるくらい。この間も練習してたんですけど久しぶりに弾いたらやっぱりムズくて、すげぇアイディアだな、こんなリフよく考えるなと。RonとDerekのどっちが作ったかはわからなくて、たぶんふたりで書いたんだと思いますけど、ヴァースとかがめちゃくちゃいいですね。若干PLANET Xっぽさも感じました。

-ここまでの楽曲はモダンな仕上がりになっていますが、バラードの「Find My Way Back」はオールドスクールなハード・ロックのアプローチをとっていますよね。

たぶんアルバムで一番好きな曲なんですけど、80s感がありますよね。80sロック・バラードって感じで、めちゃくちゃDinoの声が映えてます。あと、フレットレス・ベースを弾いてるんですけど、(制作時に)フレットレスが合うんじゃないかと思ってたら、Derekから"フレットレスはどうだ?"ってメッセージが来て、"今ちょうどそれを考えてたよ!"って。意見がちょうど合いましたね。

-続いて「Hypernova 158」についておうかがいしたいんですが、この曲は短いですけれども、すごく情報量の多い曲ですよね。

もうムズすぎて(笑)。この曲をプレイスルーで撮ったんですけど。

-それはぜひ観たいです!

大変ですよ。普段できるだけピックを使わないようにしてて、親指でピックのように弾くことが多いんですけど。そっちのほうがベースは音圧が出るんで。でも、あの曲に関しては指で弾くのを最初から断念してピックで弾いたんですが、それでもムズいですね。ピックとハイブリッド・ピッキングみたいな感じで、Ronはどう弾いてんだろうと。途中のラインとかはかなり練習しました。よくこんなの思いつくなっていう感じですね、本当に(笑)。途中にベースとドラム・ソロみたいな感じのセクションを入れてくれたんですけど、そこでジャズ/ビバップの「Giant Steps」(John Coltrane)のメロを入れていて。ジャムっててたまたま無調みたいな、キーがちゃんと備わってないところで適当に弾いたらそれが出てきたので入れてます。あとエンディングのリフがめちゃくちゃ大変でしたね。すごいかっこいいですけど。あれも本当どうやってあのリフを思いついたの、という感じですが、あのリフがアルバムで一番好きかもしれないですね。

-本編最後の曲でタイトル・トラックでもある「Insanium」は3部構成になっていて、アルバムの中でも最も長尺な曲になっていますね。

そうですね。レコーディングしたときは真ん中の部分は入ってたのかな。録ったのがだいぶ前なので、ちゃんとは覚えてないんですけど。ミドル・セクションはすごく美しいなと思います。録ったときはヴォーカル入ってなかったんですけど、うまくメロをつけたなと。

-リプライズとして冒頭の展開が戻ってくるところもいいですよね。

たぶんDerekのアイディアだと思います。そういうのが好きっぽいですね(笑)。曲を書こうってなって、スタジオに行ってもともと作ってた曲のアイディアとか見てたら、同じように"このイントロを真ん中に持っていこう"みたいにしてて。"Derekそういうの好きなんだ"って思いましたね。

-そうしたお互いの理解という部分も進んできているんですね。

はい。一緒に曲を書くのが楽しみですね。1曲作っていて、まだデモ段階でキーボードとかも何もついてないんですけど、Derekは気に入ってくれたので、リリースに至るかはわからないですが、たぶん曲として一応完成させると思いますね。どう自分の曲が変化するのか楽しみです。Derekのスタジオに行ったときに、Brunoもいて曲を書こうみたいな話になって、そこで思いついたリフから作ってて。メインのところは自分で全部作っちゃいましたが、もちろん変えてもいいですし、キーボードはあえて入れずに、そこはDerekに任せてみようと。ギターもリフとシンプルなもので、サビとか普通にコードを8分(音符)で弾いてるだけっていう。それで変えたかったら変えてもらっていいし。今までそういう感じで作ってこなかったんですよ。THE RESONANCE PROJECTは全部自分たちで基本的に分かれて作っていて。曲によってはこのパートを俺が書いて送って、もうひとり(Lang Zhao/Dr)がパート作ってきてってこともあるんですけど、基本は自分たち個人で作ってて。だから創作を、特にベーシストとしてやるのは経験がないので新鮮ですね。それにキーボーディストとバンドを組んだことがなくて、そこは結構楽しみというか。もちろん普段はギターなので、ギターで考えてそれにベースを乗せるんですけど。ベーシストとして考えて、ギターの細かいところは置いといてRonにやってもらったほうがいいのかもしれないし、ドラムもそれなりにはプログラミングしてますけど、それも絶対ドラマーに任せたほうがいいし。

-初めて組んだキーボーディストがもう世界トップ・クラスという(笑)。

そうですね(笑)。キーボーディストのいるバンドに入ったことがなくて。RESONANCE(THE RESONANCE PROJECT)でARCH ECHOのJoey(Izzo)にゲスト出演してもらったことがあるんですけど(「Macrocosm (feat.Colin Cook & Joey Izzo)」)、それはソロだけで、アレンジは自分たちでやっていたので。イチからバンドとして作るっていうのはないので、どうなるんだろうと。楽しみではありますね。

-次の作品に関するお話も聞けたところで、ライヴなどの計画についてはいかがでしょうか?

今年はヨーロッパに行くかもっていう話はあったんですけど、なくなっちゃいましたね。みんな忙しいのもあるんですけど。今Dinoは自分のバンド(JELUSICK)でブラジルにいるし、BrunoもANGRAでツアーしてるし。俺も近々日本に帰ってHYDEさんのリハが始まる予定で。Ronもツアーに出てたし、Derekも来月ヨーロッパに行くみたいで。昨日Derekと電話で話してたんですけど、ヨーロッパから戻ったらライティング・モードに入るみたいです。みんな忙しいんで、今年は難しいかもしれないですね。だから、そのぶんもう一度アルバムを作って、来年からできたらいいんじゃないかっていう方向性ではあると思います。

-来年あたりにライヴができるようになったら、その新曲も併せてプレイしていく感じで。

曲数をもっと稼ぎたいっていうのもあると思います。あと単純にふたりがもうすでに有名人だし、DinoもBrunoもそこそこ名前は浸透してきてるので、ライヴをやりまくって知名度を上げるよりは、ネット上で活動したほうがプロモーションとして賢いのかなと。もちろんライヴはしなきゃいけないんですけど、なんとも言えないですね。ツアーするにも費用がかかるし。まずはネット上で活動したほうが、特にこのバンドでは賢いかなと。ライヴはやりたいんですけどね。たぶん来年になってしまうと思いますけど、そのぶん練習する時間があるし、曲も増やします。