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INTERVIEW

清春

2024.03.19UPDATE

2024年03月号掲載

清春

Interviewer:杉江 由紀

永遠という概念を、清春は音と歌でここに描き出したということだろう。1994年に黒夢のヴォーカリストとしてデビューしたのち、SADSでの活動を経て、2003年からはソロ・アーティストとしてのキャリアを重ねてきた清春。彼がこの30周年という節目に完成させたアルバム『ETERNAL』には、進化することを希求し続けているそのスタンスが存分に生かされているのだ。3月からは世界で高く評価されているBorisと豪州を回り([Boris "Heavy Rock Breakfast" -extra- AUS Tour March 2024 Special Act 清春])、帰国後は2025年2月9日まで続く"清春 debut 30th anniversary year TOUR 天使ノ詩 NEVER END EXTRA"にも臨むというレジェンダリーなアーティストの語る、まさに現在進行形な言葉をここにお届けしよう。


今の自分がやるなら他のとは違う音の鳴らし方をしたい


-なんと、4年ぶりとなるアルバム『ETERNAL』がいよいよ完成となりました。前作『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』は2020年3月のリリースでしたので、ここまでには長いコロナ禍があったことなども考えると、清春さんとしては"結果的に4年ぶりの新作になった"ということになりますか?

そうだと思いますね。タイミング的には、ちょうど『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』を出したところで当時のレーベルとは契約満了という形でしたし。で、次はどうしようかな? と思いつつ2020年にやっていたツアー("清春 TOUR 2020 『JAPANESE MENU』")が途中からコロナでなくなった。やっぱり、あの時期はほかのアーティストもそうだったと思いますけど、何か作品を出してもなかなかライヴができない感じだったんで。そこからは、ストリーミング・パフォーマンスをしていきました。

-まさに『ETERNAL』は満を持してのアルバムになるわけですね。そして、こと音楽性の面で清春さんが今作の中で具現化したいと考えていらしたのは、言葉にするとどのようなものだったのでしょうか。聴かせていただいた印象としては、前作『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』をさらに進化させた内容とも受け取れたのですけれども。

流れとしては、さらにその前に出した『夜、カルメンの詩集』(2018年リリース)というアルバムがあったんですよね。あれはスパニッシュ・ギターを軸とした曲を何曲か入れた作品で、ずっと自分の歌に合う音というものを探しているなかで、あのときはああいう形に行き着いたというか。ただ、いざそれをライヴでやってみたら"......なんか違うな"となってしまって。そこで"あ、ベースいらないな"ってなりましたかね。で、ベースレスで作ったのが前作『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』だったわけです。

-なるほど、そういうことだったのですね。

『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』を作ったときはスパニッシュな雰囲気もありつつで、一緒にプレイするミュージシャンたちから"清春さんってブルースとか聴いてたりします?"って言われることがあったんですよね。僕は"や、ブルースとか全然知らない"って答えるんですけど、"歌の感じとかも結構ブルースっぽいところありますよ"って言われる。まぁ、僕はスライダーズ(The Street Sliders)とか好きだから、自分が意識してなかったところで染みついてる要素があるのかもしれないと思って、そういう部分も伸ばしていってもいいんじゃないかと。

-となりますと。前作『JAPANESE MENU/DISTORTION 10』の楽曲たちをライヴで演奏されていった際に清春さんが感じられたことは、今作『ETERNAL』に反映されているということになりそうですね。

そうなんです、今度は"ドラムもいらないかな"ってなったんですよ。ベースの代わりにチェロを入れて、ドラムの代わりにパーカッション、あとは曲によってサックスやトランペットが入ったり。ニュアンス的にはちょっとアフリカっぽい雰囲気も入った、ドラムではない打楽器中心のサウンドに自然とシフトしていくことになりました。

-たしかに、今作では1曲目の「Carnival of spirits」からしてトライバルなリズムが響く音像に仕上がっている印象です。

ロックとかブルースの色も残しつつ、サックスは結構フリーキーだし、そこにスパニッシュな香りとか、アフリカンなテイストも入っていて、でもポップでありたいというイメージの中で、歌は変えずに従来通りっていうのが今作の特徴ですかね。ラテンの音階とかアフリカ音階みたいな自分にないものは使ってないです。

-2018年の『夜、カルメンの詩集』から始まった流れが、かれこれ6年の時を経て今作『ETERNAL』で新たなる局面を迎えたというのは非常に感慨深いですね。

でも、まだこれは変わっていく途中。逆に、次は削ぐ方向ではなくてまたドラムやベースを戻すっていう選択肢もあると思いますかね。そこはライヴをやっていくことで変わっていく部分でもあるので、今回の『ETERNAL』が最終形ということではありません。自分が音楽活動を続けていく限り、最後の最後まで進化して変化し続けていくって決めているんです。

-歌という軸は決して揺らがせることなく、音像的には作品ごとに新たなトライアルをしていくという攻めの姿勢に、清春さんのアーティストとしての矜持を感じます。

日本の場合、だいたいはドラム、ベース、ギターとヴォーカルっていうのがバンド・サウンドとしてのベーシックだとされているけど、世界には変わった編成とかもっといろんな音楽がありますからね。例えば、激しさのある音楽を表現する場合でもギターが絶対に歪んでいる必要があるのかと言えばそうとは限らないし、今の自分がやるなら他がやってるのとは違う音の鳴らし方をしたいって思うんです。そういう意味でいくと、いわゆる"激ロック"的なものとはまったく違うのかもしれない(笑)。

-いえいえ、本質的なところでは違わないと思います。『ETERNAL』の6曲目に収録されている「SWORD」は実にアグレッシヴなスタンスの曲で、ここから感じるのはまさに"ギターを歪ませて鳴らす音楽だけが激ロックではない"ということだと思うのですよ。この音から感じられる激しさには、またとない鋭さが宿っていると感じます。

「SWORD」は僕もすごく気に入ってる曲ですね。ただ、こういうインタビュー記事とかでこの曲の面白さを言葉にするのって、ちょっと伝わりづらいのかな? とは思うんですよ。"ベースいなくて、ドラムもいなくて、ギターもアコースティックが主体なのに激しいってどういうこと?"って。だけど、自分にとっては今までの紆余曲折を経てきた中で、今はこれが一番ありのままの感情を音楽で激しく出せるやり方です。

-今年でデビュー30周年を迎えられただけあって、清春さんは多くの経験を積み上げてきた中で現在の最適解に辿り着かれたということなのかもしれません。

僕の場合、最初に黒夢でデビューしたときは"ヴィジュアル系"って言われたところから始まって。そこから30年経って今ではレジェンド枠みたいなところに入っちゃってるのもあって、余計にわかりにくいんだと思いますよ。今はバンドじゃなくてソロだし、バンドからソロっていうと"歌手"っぽくなる人もわりと多いですけど、僕はシンガーであると同時に楽曲も自分で作って、意識としてはミュージシャンっていうのが強いんです。ただし、自分の中ではロックと思って今やってることが、初見の人とか昔の僕のことしか知らない人からすると、やっぱり"だけどバンドでやってるわけじゃないんだよね?"というふうに"なんか変わったことしてる"って見られがちなのかなぁと。あるいは、未だに"池袋ウエストゲートパーク"なんですよね(笑)。もちろん、ありがたいことだし仕方ないことでもあるんだって思ってますけど。