INTERVIEW
ARKTA
2024.02.24UPDATE
Member:Tak(Vo) kenken(Vo/Producer)
Interviewer:菅谷 透
-本作は楽曲のレコーディングやミキシング、マスタリングもご自身で行われていますが、こだわった部分や苦労した部分はありますか?
kenken:こだわった部分に関しては、それぞれもちろんあるんですよ。Takが言ったように、僕たちのエッセンスのひとつに宇宙感があって。なんで仲がいいかって言うと"ガンダム"が好きだからで(笑)。Takがサブカルや日本のカルチャー全般に興味があって、アニメとかゲームがお互いに好きだから仲いいっていうのもあるんですけど、そういう作品をモチーフにしてるんです。"こういう思いってすごくいいよね"みたいな。ただ、別に"「ガンダム」が好きだからその曲を作ろう"じゃなくて、"ガンダム"で描かれた人間のこういう思いが大事だよねっていうところを、お互いに共感できるんですよね。"あの人の会話やこいつの心情ってこういうものに繋がってるよね"って。でも、それを詳しく話し合うわけじゃないです。同じ感覚として持ってるというか、言葉で言い表さなくても伝わるものがあって。
-"ニュータイプ"ですね(笑)。
kenken:(笑)ほんとにそれってあるなって。すごい離れてる場所に住んでて、会話もLINEとかZoomでしかしないし、年に何回かしか会わないけど、会っても全然久しぶり感のない人間で。感覚が近いから、そういう部分をちゃんとサウンドに表現するっていうところにこだわりを持ってました。こうやって話し合わなくても、言葉で伝わらなくても、音で感覚が伝わるようにメイキングしたのがひとつ。もう1個は、去年アメリカに行ってレコーディングとかミキシングをしたんですけど、アメリカの音楽が持ってるサウンド感、パワー感へのこだわりですね。マネージャーにも"アメリカ人はローが好きだからね"と言われてたんで、今回は下から音が出てくるような感じにこだわってミキシングに取り入れていて。僕が作るんでメロディ・ラインとかトップラインは日本の曲感が出るんですけど、サウンド面とか歌唱面とかはなるべく洋楽感を出して、いい意味でミクスチャーになるようにというのは、こだわり2ですね。
Tak:"ハイブリッド・ロック・バンド"って言ってるんで、日本とアメリカの要素を両方ミックスして音に出したいなっていうのはありました。メロディ・ラインは日本のロック・バンドっぽいんだけど、サウンドでアメリカ感を出すように、もうロー、ロー、ローっていう感じでやってます。そういう意味で僕は楽しいんですよね。日本のバンドマンとこうやって何かを作れるのは刺激的で素敵だなって。あとは、ミックスやマスタリングの面では完全にkenken任せなんで。
kenken:ミックスやマスタリングはDIYだから、大変っていうのはわかってやってたんですけど、何が大変だったって――「The Song for You」のヴォーカルRECって、LAでやったんですよ。MVを撮りに行った去年の11月に。Takとマネージャーと僕でスタジオに入ってRECしたんですけど、EPでも一番ストレートなバンド感の曲で、アコギで始まるし、歌も強調されてるからごまかしが効かない曲で。歌っていうより、英語の部分でめちゃめちゃ大変でした。この曲の歌詞はTakにとってもEPの中で一番伝えたいこと、書きたかったことだと思うんですよ。だからこう歌ってほしいってこだわりもすごい強かったと思うし。Takもマネージャーもバイリンガルだから、ふたりに囲まれると"ここは発音こうだよね?"って言われて。3万回くらいテイクしたもんね(笑)。妥協したくないし、英語できれいに歌いたいのもあって、チャレンジングで楽しかったけど一番大変でした。
Tak:よく頑張りました(笑)。
-1曲目の「The Lily」はエレクトロ・サウンドとハードなバンド・サウンドが融合した楽曲で、バンドの二面性を紹介するような楽曲になっています。
Tak:これはもう完璧に"ガンダム"です(笑)。
-(笑)ライナーノーツを拝見したら、"機動戦士ガンダムUC"のリディ・マーセナスが出てきて。
Tak:リディ・マーセナスの人間性、ストーリーにインスピレーションを受けて書いた歌詞なんですけど。楽曲は宇宙感満載で僕の中でもぴったりでしたし。歌詞を書いたときに苦戦したのが――ラップ・パートって言ってますけど僕は別にラッパーでもないですし、ラップっていうものを使わせていただいてるっていう感覚なんですけど、ラップを入れるか入れないかで迷ってたんですね。サビのクリーンが先にできてたんですけど、それに合わせるのが大変で。バックグラウンドで、叫びみたいな感じで最初は構成してたんですけど、入れる、やっぱ入れないって迷って。最終的には舞い降りてきて、入れました。そこからはトントンと、曲と構成ができるのは早かったです。ただ、曲の微妙な調整はかなり時間がかかりましたね。それはkenkenがすごい時間をかけて作って。僕も、ARKTAとしてのイメージもそうなんですけど、この曲では特にLINKIN PARKさんの感じをちょっと意識しましたね。Mike(Shinoda/Vo/Gt/Key)さんほどではないんですけど。でも、雰囲気を意識して作り上げたときに、やりたいことができたのが「The Lily」でした。
kenken:歌詞を書くきっかけになったのが"ユニコーン(機動戦士ガンダムUC)"で。もちろん出たときからずっとふたりで観てたもので、もう何回も観直してはいるんですけど、去年もう1回観たときに、ネタじゃないけど"ガンダム"のこの人っぽい歌詞を書いてみたよってTakに送りつけたのが始まりなんです。"ユニコーン"ってこういう思いが素敵だよね、みたいなのをポエムっぽく書いたのを送ったら、"kenken、めっちゃいいじゃん"って。(主人公の)バナージ(リンクス)とか"ユニコーン"全般のことを書いたつもりなのに、この歌詞はリディだよねって言われて......ちょっと僕がひねくれてたんでしょうね。でもリディは、バナージみたいにストレートな主人公っていう感じではなく、人間のいいところも悪いところも出てるキャラで。だからよりリアルに近くて、自分たちも思うような欲とか悪の心も見えるのがいいキャラだなって思うし、自分としても重なる気持ちがあったんですよ。それを表現したかったので、まず歌詞からできたっていうのが今までと違う作曲のスタートの仕方ではありました。サウンド面では、去年の7月ぐらいにアメリカに行って新しい曲を作っていこうとしたときに、下から突き上げてくるようなサウンド感の曲が欲しいよねってことでイントロを作ったんです。サブベースの効いたキックからリードのエレクトロな音が入ってだんだんバンドになっていく、LINKIN PARKとかBRING ME THE HORIZONみたいな、バンド・サウンドだけどエレクトロやシンセがいっぱい入ってる、現代的な音楽観の曲をアメリカという地で作ってみたいと思ったのが、音響的な部分の始まりではあるなと。Takはラップ・パートとか苦労したと思うんですけど、僕は今までやったことない歌詞から書いたので、歌いたいメロディへのこだわりが強かった。なので、サビで結構(高音へ)行くんですけど、まぁキーが高くて死にそうになるんですね。でもあえてそうしていて。この曲の強い要素のひとつとして二面性があるので、高低をめちゃめちゃつけたかった。プリコーラスから一気にサビに持っていって。強弱とか高低をすごい意識して、ストーリー性を感じられるような曲にしたかったんです。最後のサビにかけても激しくなるんだけど、リズムを大きくして(モデルになったリディの)気持ちをちゃんと昇華、収束させていくような歌詞と曲展開で作ってるので、本当に"ユニコーン"を凝縮したような曲になればいいなっていうのがこだわりポイントですね。
Tak:kenkenから歌詞を日本語で貰ったときに、僕も英語で書き直したんですよ。自分でちょっと足した部分もあったんですけど、歌詞を読んでる限りリディの人間性とストーリーを書いたような内容で。でも、ただ嘆いてるだけで終わらせたくなかったんです。音楽とともにちゃんと終わっていくっていう内容にしたかったんで、歌詞も膨れ上がって膨れ上がって、ハッピー・エンドではないですけど、ちゃんと気持ちに整理をつけて終わらせていて。そこも面白いかなと。
kenken:気持ちを納得させて終わらせてるっていう。最後の歌詞が"May your smile last forever(永遠に君が笑顔でいられますように)"なんですけど、あれがひと言言えるかどうかが人として大事で。
Tak:"男"ですね。リディという。
kenken:"君は僕と一緒にいることを選ばなかった。僕は君を手放さなければならないけど、君の幸せこそが僕の願いです"って"男"ですよね(笑)。これをひと言言えるかどうかが、人間の深みであったり懐の深さで。そういう人間になりたいですね。それが言えるように曲を作ったので、ふたりが共通して一番伝えたい思いとしてはそこなんじゃないかなと思ってます。
-今作は5曲ともバラエティに富んでいるなと感じたんですけれども、いろいろな要素を出していきたいというのは意識されましたか?
kenken:おっしゃる通りです。曲調はそんなに大きく差はないかもしれないんですけど、持ってる曲の要素を5曲全部バラバラにしたっていうのは、かなり意識した部分ではありますね。あんまり似通った感じにはなってないかなと。「The Lily」はああいうエレクトロ宇宙感だけど、2曲目の「The Last Day」は結構ハードコアで、3曲目の「The Angeles」は治安の悪いアメリカの曲(笑)。
-トラップっぽい感じもあって。
kenken:4曲目の「The End (feat. StellarStairs)」は僕が昔やってたバンドのセルフカバーではあるんですけど、あえて日本語で歌ってるし、女性ヴォーカルもゲストで入れていて差別化をしてるんです。曲調としては「The Lily」とちょっと近いとは思うんですけど、日本語/女性ヴォーカル・コラボとちょっとひねっていて。「The Song for You」は超ストレートに、打ち込みを一切使わずにバンド・サウンドだけで行ってるので、1曲ずつ差別化を自分たちの中で測ったような構成にはしてます。
-EPを聴いていて、リスナーもいろいろな情緒になるような気がします。
Tak:僕の中ではあんまり考えてなくて。そのときそのときに自分たちが作りたいものを作って、僕らが歌ってるんだったら、それだけで統一性があると思ってたので。人によっちゃ"このEPすごいバラけてんな"って感じる人も出てくると思うんですけど、こういうユニット、こういうEPがあったっていいじゃないかっていう感じですね。
-バラけたなかでも、コアの部分で統一感のあるEPだなと感じました。さて、今後の活動予定を教えていただけますか?
kenken:EPをリリースしたあとに4月末~5月頭に日本で何かしらのイベントをするのは確定してます。でもやっぱりライヴをしていきたいなとは思ってるので、日本やアメリカとかに限らずですけど、ツアーに行きたいっていうのはありますね。
Tak:僕はライヴができないと生きていけないので、ライヴが一番なんですけど。近い将来に曲とかEPを出すときにコラボしたいなと思ってて、いろんな方とフィーチャリングしたいなっていう欲がすごいありますね。
kenken:うん。なので曲作りももちろん続けていって。来年に向けて曲はストックしていきつつ、せっかく1st EPを出すので、このEPを使って世界の人に知ってもらえるように、ビデオを出したりライヴだったりをやっていこうかなと思っています。
-最後に、激ロックの読者へメッセージをお願いします。
Tak:これで僕らを知っていただいた方も、SpotifyだったりYouTubeで見かけてくれた方も、今後ともARKTAの活動を見てください。僕らはハイブリッド・ロック・バンドっていうだけあってLAと東京の人間なんですが、日本でライヴができる際にはぜひ遊びに来てください。
kenken:激ロックを読んでくださる方や好きな方はロック・バンドとかロック・サウンドが好きな方が多いと思うので、(ARKTAは)形としてはちょっと特殊かもしれないですし、日本のバンドさんみたいにみなさんの前に立てることもそんなに回数としてはないんですけれど。ただ、距離が離れててもやりたいことをやれるんだよっていうのも、曲とかを聴いて感じ取ってほしいところではあるんです。やろうと思えばできるぞと。いつかは激ロックの読者さんの前にも立ちたいとは思ってるんですけど、こういう時代なんで、SNSとか配信を通じてARKTAに触れていただける機会も多いと思うので、ぜひ触れていただきたいし。僕ももちろん音楽が好きで、いろんな海外のバンドをディグったりして聴くから、そういうののひとつに僕たちも入れてもらって、好きになってもらって、MVとか曲を聴いてもらえれば嬉しいです。いつかは日本でもまたライヴができるようにこれからも頑張っていきたいので、応援していただければなと思ってます。よろしくお願いします。
RELEASE INFORMATION
ARKTA
1st EP
『From Where the City Lights Burn』
NOW ON SALE!!
[ARK WORKS RECORDS]
1. The Lily
2. The Last Day
3. The Angeles
4. The End (feat. StellarStairs)
5. The Song For You
配信はこちら
EVENT INFORMATION
"HAL FEST 2024「ヤマサキ春のHAL祭り2024」"
4月28日(日)Shibuya Milkyway
OPEN 16:30 / START 17:00
出演:HAL (from / ACME)
オープニング・アクト:ARKTA
[チケット]
前売 ¥5,000 / 当日 ¥6,000(D代別)
※ドラム浴びゾーン(席)は当日プラス¥500
■オフィシャル先行:~2月26日(月)23:59
■一般発売:3月17日(日)12:00~
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