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INTERVIEW

STRiKE VACK.

2024.01.10UPDATE

2024年01月号掲載

STRiKE VACK.

Member:Tatsuki Nakanishi.(Vo)

Interviewer:山口 哲生

とにかく自分の感情をまっすぐに出すというのが、このバンドにおいて大事なこと


-ここからはアルバム『SiX YEVRS.』について。初アルバムなのもあり、ここから歩んでいくという決意表明が強く表れている1枚になっていますね。タイトルについてお聞きしたいのですが、冒頭のお話に"6~7年前"というワードもありましたけども。

そうですね。この6年間、いろいろな感情の中で曲を作っていたんですよ。最近の曲やったらわりと怒っているというか、不満を書いている曲が結構多いし、Sick.をやっていた頃の曲だと感謝とか、温かい気持ちになったときに書いた曲もありますし。そうやって曲を作っては消して、作っては消してを6年間繰り返してきて、その中から選ばれた13曲なんですよね。だからアルバム・タイトルはいろいろ考えたんですけど、僕は大阪でバンドをやっていて、東京に来たときにバンドをやれなくなって、それでもずっとやりたくて、ようやくできたアルバムやから、このタイトルで勝負してみたいと思って付けさせてもらいました。

-クレジットは、歌詞はTatsukiさんですけども、作曲はバンド名義になっていますね。

僕が作ってくるときと、ギターが作ってくるときがあるんですけど、そこはもうわかりやすくしようっていうことで。

-SENさんが作ってきた楽曲に対して、Tatsukiさんはどんな印象を持っていますか?

もともとボカロPとしても活動しているので、曲のセンスはやっぱりすごくあるなって。細かいところなんですけど、面白いギミックをわりと入れてきたりするので。最初のうちはちょっとボカロすぎるというか、目指してるものとちょっと違うかなみたいな感じもあったんです。でも、僕が作ってきた曲に対しての肉づけはやっぱりものすごく上手で。だからこのアルバムを出したあとにシングルを出していこうかなと思っているんですけど、最初の段階からふたりで作ってみようかっていう話をしていて。ちょっとジャムじゃないですけど、繰り返しフレーズを弾いてもらってそこにメロディを入れてみて、みたいな作り方をしたいねっていう話をしてます。

-ここから新しい曲の作り方にもトライしていこうと。各曲についてですが、セルフタイトルでもある「STRiKE VACK.」はお話しされていたように、自分に似合う音楽や、自分がやりたい音楽を考えていくなかで生まれてきたと。

もともとやっていたグループの話にちょっとなっちゃうんですけど、やっぱり僕的には言葉にできない感情がありながら活動することがあって。なんていうか、バンドって何をしようが別にオッケーじゃないですか。でも、"アイドルなんだからもっとアイドルらしく"みたいなことをわりと言われてきたんですよね。ただ、僕はもともとこんな感じなんで、そのへんでタバコも吸うし全然女と酒飲むし。でも優等生というか、"こうだよね?"みたいな像を押しつけられることが多くて。それでも結局このスタンスで続けていたら、それでもやっぱり物好きはいるというか。応援してくれるファンがいてくれたし、むしろそういうところが好きと言う人もいて。バンドのほうにも来てくれると言っている子も多いので、結果的にやって良かったなと思っているんですけど、例えば「アウトサイダー」とか「GET DOWN.」とか、だいたい怒っている曲はその当時に思ったことを書いてますね。

-このあたりの歌詞はかなり怒ってますよね(笑)。

ははははは(笑)。今ってSNSで愚痴っている人もいますけど、やっぱりアーティストとして曲で言うのがいいかなって。ヒップホップでいうところのビーフじゃないけど、歌で勝負するみたいな。そのとき思っていた感情は嘘じゃないし、とにかく自分の感情をまっすぐに出すというのが、このバンドにおいて大事なことだと思っているので。

-なるほど。

自分は順風満帆に見られがちなことが多かったんですけど、グループをやめるって言ったときに"大丈夫なの?"とか"なんで渋公(渋谷公会堂/LINE CUBE SHIBUYA)とかZeppとかでやってるのに、そんなのもったいないよ"みたいな声ももちろんあって。でも僕からすると、それよりもバンドのほうが大事だったんですよ。そういう意見を跳ね返すためにも......"strike back"って反乱とかそういう意味なんですけど、その感情を曲に落とし込んだときに、これをバンド名にしちゃおうと思ったんです。

-曲がまずあって、それをバンド名にしたと。

そうです。このバンド名はどういう意味なのかっていうのがわかる歌詞にもなったと思いますね。

-Tatsukiさんとしては、歌詞は自分の感情をまっすぐに出すことを大事にされているし、ほぼご自身の経験から生まれてきたものでもあると。

そうです。「STRiKE VACK.」に"chevroletのsports car"っていう歌詞が出てくるんですけど、実際に乗ってるんですよ。

-へぇー!

でも正直いらないんですよ、そんなもん。"明日バンドでめっちゃ売れるよ。その代わり、車売ってこい"って言われたら全然売るぐらい。

-(笑)"いらねぇよ"と。

もちろん気に入ってはいるんですけどね。僕はもう長いことバンドマンをやってきて、過去にはヴィジュアル系もやっていましたし、今のラウドとか、そういうアーティストの知り合いもいるんですけど。その中には成功している人たちもいますけど、基本的に僕らみたいな感じのポジションって、やっぱりお金なかったりするじゃないですか。バイトをしながらバンドをやっていることが多いなかで、僕は長年わりとバイトもしてなくて恵まれているほうではあるんですけど。でもハングリー精神がちょっと止まらなくて。"そんなものより、そんなものより"って、どんどん追い求めたくなっているというか。1月からライヴが始まるんですけど(※取材は2023年12月下旬)、クリスマスなんていらねぇよ、年末なんていらねぇよみたいな(笑)。本当にそういう気持ちで今は生きてますね。

-歌詞はご自身が経験したものという点でいうと、「アウトサイダー」には"あの世へ逝ったあいつと同じ墨"という一節がありますよね。

僕が中学校のときに慕っていた先輩がいて。4つ離れているお兄ちゃんみたいな存在で、人付き合いがめっちゃうまくて、いろいろ面白いものを見つけてきたりする人だったんですけど、僕にとって音楽の先輩でもあったんですよ。で、16歳のときに音楽やりたいって言ったら、"じゃあタトゥー入れようぜ!"って言い始めて(笑)。そこで引いて、覚悟がないみたいに思われても嫌やなと思ったので、すぐ"入れようや!"って。その人が何年か前に亡くなって、僕としてはもちろん悲しい気持ちはありましたけど、これは悲しい歌というわけではないんです。たぶんその人は今地獄にいると思うし、僕も死んだらたぶん地獄に行くから、もし地獄に行ったら"おぉ! Tatsuki! あそこめっちゃおもろいから行こうや!"とか言ってくれそうやなと思って(笑)。"ここはつらいけど、その次めっちゃおもろいから!"とか。

-ははははは(笑)。いいですね。

僕としては、その人のことをどうしても歌詞に入れたかったんです。でも、バラードとかに入れるのもいいんやけど、なんかもう怒り狂ってる曲に入れたほうがええなと思って、あのワードを入れました。僕としては、彼の夢を背負っている気持ちもあるので、強い思いで書いています。