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INTERVIEW

EYE

2023.10.24UPDATE

2023年11月号掲載

EYE

Interviewer:フジジュン

2022年4月にMary's Bloodを活動休止し、同年6月にソロ・プロジェクトを本格始動させたEYEが、1stミニ・アルバム『アルカナ』をリリース。"ロック・ヴォーカリストの概念は存在しない"とジャンルの垣根を軽やかに飛び越え、ヴォーカリストとしての表現力や振り幅の広さを惜しみなく詰め込んだ今作。ソロ・プロジェクトが始動した経緯、EYEの新たな魅力を引き出してくれたパートナーの存在、そして完成した最新作『アルカナ』について、今自身を取り巻く現状や音楽を思い切り楽しんで、高いモチベーションを持って新たな挑戦に挑むEYEに話を訊いた。


何回聴いてもいろんな発見があるアルバムになった


-1stミニ・アルバム『アルカナ』が完成。2022年4月にMary's Bloodを活動休止して、6月にソロ・プロジェクトを本格始動ということで、そもそもソロ・プロジェクトをやろうと思ったとき、ご自身の中ではどんなヴィジョンが見えていたんですか?

最初はまったく何も見えていなかったんですが、きっかけとなったライヴがあって。それが2022年1月に開催したバースデー・ライヴ("EYE birthday solo live ~Another Face~")だったんですが、時期も時期なので、オンラインでしっぽりお祝いしてくれればいいかな? と思ってたんですけど、Mary's Bloodでサポート・ギターをやってくれていたYASHIROちゃんが、"せっかくだからライヴをやりましょう。なんなら私が主催してもいいから!"と言ってくれたんです。"だったら悪いし、ちゃんと自分でやります"ということでライヴをやったんですが、"せっかくだったらメンバーを募って楽しくやろう"ということで、メンバーを集めようと思ってライヴを観て回ってる中で、今回の作曲もしてくださってるKAZAMI(風弥~Kazami~/DaizyStripper)さんがドラムを叩かれてて。ドラムも上手いし、共通の知り合いもたくさんいて、打ち上げの席でお話ししたら好きな音楽も被ってることがわかって、"一緒にやっていただけませんか?"ってお誘いをしました。"じゃあ、もうひとりのギターをどうしよう?"となったとき、KAZAMIさんが別で演ってるプロジェクトを観に行きまして、そのギタリストの夢時(eStrial/HOLLOWGRAM)さんがめちゃくちゃ色気があってカッコ良くて、ひと目惚れしてしまって。"じゃあ、このメンバーでやりたい曲をやらせてください!"となったんですが、みんなすごく意見を出してくれる人たちで、最初からすごいバンド感があったので、"これ1回で終わらせたくない!"となってソロ・プロジェクトのスタートを切れることになったんです。そこから、私が絵を描くのが好きなので、いろんな出来事からインスピレーションを受けて、思い浮かんだ映像を絵と歌詞にした『GRAffITI』(2022年リリース)というアルバムを作ったんですが、そのアルバムを作るときにエンジニアをやっていただいたSinriさんとも話の馬が合いまして。KAZAMIさんとそこで知り合ったSinriさんと3人で作ったのが、今回のミニ・アルバム『アルカナ』なんです。

-なるほど。お話を聞いてると、なんだか導かれるように新しい人と出会って、今作の制作に至った感じで。バンドをやってたときには目を向けることのなかった外の世界に目を向けることで、どんどん世界が広がっている感がありますね。

本当にそうで、この2作を作る間に10年くらい経った気がしてます(笑)。みんなすごく音楽に対して真摯だし、アレンジやパフォーマンスもああしよう、こうしようって率先して意見を出してくださって。ライヴもリハーサルも常に新しい何かを見せてくれるので、毎回すごく新鮮にやれていて、今むちゃくちゃ楽しいんです。

-"アルカナ"という言葉について調べてみると、"秘めたもの"という意味があったり、タロット・カードでは"切り札"という意味があって。EYEさんの中にあった秘めたものを表現するためのソロ・プロジェクトなのかと思ってたら、そういうわけでもなさそうですね。

むしろ逆で、自分も知らなかった引き出しを見つけてもらった感じです。以前、タロット占いをやってもらったことがあるんですが、それがめちゃくちゃ当たって。"これからすごい歯車が回り始める。これからは人のために生きるのではなく、自分の世界を突き詰めていい時期に入ります"と言われたんです。人のためにバンドをやってたわけじゃないんですが、その後活動休止をして、ソロをやってという流れを振り返ると、結果としてここに導かれるための道筋があったのかな? と思ったりして。タロットの"大アルカナ"というのは、人生の転機に出てくるかなり重要カードで、"必殺技"とか"切り札"という意味もあって、アルバム・タイトルにしたんですが、今まではヴィジュアルも黒を基調とした硬派なロック歌手って感じだったのを、髪をピンクにしてガラッとイメージを変えてみたりして、この人生の転機に自分のキャラをぶち壊したんです。違った側面も見てほしいですし、もっといろんな歌い方をしたいなと思ったとき、ロックだけじゃないいろんな曲調に挑戦してみたいと思ったし、それをみんなとライヴで共有できたら、また新たな楽しみ方ができると思ったので。ずっとこれでいくってわけではないんですが、今回はキャラ変のターンということで、自分の中に隠された引き出しを開けてみました。

-その話、"大胆に壊せ/私の人生だ"と歌う、「ARCANA」の歌詞そのままですね!

そうですね。運命を変える予感をそのまま体現しようとした結果こうなったという感じなんですが、Mary's Bloodを十数年やってきて、こんな新鮮さはもう味わえないと思っていたんで、まさか学生時代に初めてバンドを組んだみたいな気持ちになれるとは思わなかったです(笑)。今作にはゴリゴリしたハードな曲もあるんですけど、「ARCANA」が一番これまでとイメージの違う私が出せているからこそ見せたかったというのもあって。ハードな曲がリード曲だとこの思い入れが伝え切れない気がしたし、いろんな側面を受け入れてほしいから、あえて「ARCANA」をリード曲にしたんです。

-覚悟がしっかり伝わってきますし、新鮮な印象を受けますし、大正解だと思います。ミニ・アルバム『アルカナ』が完成しての感想はいかがですか?

フル・アルバムだと胃がもたれてしまうところもあるので、ミニ・アルバムだからできたという内容の濃さではあると思うのと(笑)、ここからのいろんな方向性が想像できると思うので、"次はどこに飛躍していくんだろう?"という楽しみもあると思います。今回、曲やサウンドに関しては、サウンド・プロデュースをしていただいたKAZAMIさんとSinriさんに丸投げで。ダンス・チューンがやりたいとも、ファンクみたいな感じとも言ってなかったんですが、私のやりたいことだけだともっとこじんまりしたものになってたかもしれないので、丸投げして正解だったと思いました。"好きにやってくれ!"と言って、プレイに関しても何も言ってないんですが、最初の打ち合わせのときから"歌のニュアンスをしっかり聴かせたい"と言ってくれていて。声を一番良く聴かせる組み立てにしてくれて、上手いこと声と重ならないようにギターを配置してくれてたりして、信頼できるクリエイティヴ集団の本気が詰まっているので、私のソロと言ってますけど、3人のユニットだと思って細かいところまで聴いてほしいです。メロディの一番声が生きる帯域で曲の構成を考えてくれていたり、ドラムのリズムとの掛け合いで、ヴォーカルのグルーヴ感が生きるようになってたりするので、そういう仕掛けをぜひ聴いてほしいですし、そんななかで私はどういうふうに新しいアプローチを入れてるか? というのを探してほしくて。何回聴いてもいろんな発見があるんじゃないか? と思えるアルバムになりました。

-3人のこだわりがたっぷり詰まった作品になったと。

そうですね。あと、テーマ的には"人生"や"アルカナ"って言葉を出してますけど、いろんな側面や人生経験があって、その人の人格が作られていると思うので、聴いてくれた人の人生とどこかリンクしてくれればいいなと思うし、結果"楽しかったね"と言えればいいなと。今作を通じて、"好き勝手やって、楽しければいいんです!"という気持ちをみんなと共有できたらいいなと思います。