INTERVIEW
SBE
2023.08.09UPDATE
2023年08月号掲載
Member:YUYA(Vo) FUJiTOR(Gt/Cho) AbeKen(Ba/Cho) koccy(Dr)
Interviewer:藤坂 綾
二面性を抱えながらここまでやってきて、それをすべて曲にして解放する瞬間がようやくやってきた
-『NewtroGrade』以来となる作品『TRICKSTER』がリリースとなります。久しぶりのリリースですが、どういうものにしようと思ってました?
YUYA:コロナ禍が明けてライヴハウスで演奏する機会も増えてきたので、それを意識した楽曲が多いかなと。前作の『NewtroGrade』はコロナ禍真っ只中に作ったので、ライヴというよりは音源重視というところで作ったんですけど、今作はそれとは対照に、ライヴの盛り上がりも考えて2ビートの曲も入れたりして、ライヴハウスやフェスで盛り上がる激しめな楽曲が多い、ラウドめな1枚になったと思います。
AbeKen:『NewtroGrade』ツアーを終えた直後から、東京でのライヴの本数を増やしたんですよ。それまで東京では全然ライヴをしてこなかったんですけど、ツアーを終えて、渋谷とか新宿に毎月行くようになって、最初はまだマスクはしてるし、声出しもできないしっていう状況だったんですけど、やっていくうちにだんだん緩和されて、前みたいにお客さんが自由に遊べるようなライヴも増えてきて。そのタイミングでこういう曲をもっと増やして、前作とは対照的に、ライヴハウスで一緒に遊ぶ感じにしようって、東京に通いながら何ヶ月もかけて擦り合わせていきました。
-曲作りはどのように進めていくんです?
FUJiTOR:僕が原型を作って、それをメンバーに聴いてもらって、そこにYUYA君がメロディをつけるのがうちらの作り方です。
AbeKen:今回は激しくしたいって、やたら言ってたよね。
YUYA:ライヴをイメージしたときに、もうちょっとここにこういうのが欲しいかなとか。
FUJiTOR:ライヴを想定したときの意見の食い違いは今回多かった気がする。こっちのほうがイントロは盛り上がる、いや、こっちのほうが、とかね。
YUYA:それぞれのイメージがあるからね。自分は基本フェス想定で考えたくて、シンガロング多めとか、ここでみんなで歌うところがあれば盛り上がるなとか。そこをメインにメロを考えていった感じです。
-歌詞はどなたが書かれてるんですか?
YUYA:僕です。コロナ前は正直伸び悩んでた時期もあって、そこからコロナ禍になり、コロナ禍明けてもっと自由にライヴができるようになって、改めてここから始まっていくぞっていう内容になってます。
-「Non-Fiction」はまさにコロナ禍のことを歌っていて、「PROMETHEUS」ではある特定のことに対してを歌っていますね。
YUYA:「PROMETHEUS」は、ちょうど仕事を辞めるか辞めないかくらいの時期にウクライナ抗戦のニュースを観て、僕たちはこうやって毎日を平凡に過ごしてるなか他の国では戦争が起きてて、プーチン大統領が原爆を落とすみたいな話まで出てきて。日本は被爆国じゃないですか。だから自分たち日本人がプーチン大統領に対して伝えられることがあるんじゃないかって、二度とそういうことを起こさないように、戦争とか起こしても意味ねぇよっていうメッセージを込めました。
-「SIXTH」、「Hey...」では、自身の人生やバンド人生に改めて向き合うとともに、未来へ進もうという希望が感じられました。
YUYA:「SIXTH」は、コロナ禍で伸び悩んでるときの気持ちを歌っていて。"Sixth magnitude star"って六等星のことで、等星の中で一番輝きが小さい星っていう表現なんです。自分たちはまだ一等星にはなれてないけど、ここから一等星に向かっていくぞって気持ちを込めて。
-なるほど。
YUYA:「Hey...」は、これはいろんなことが重なってるんですけど、小中高とずっと一緒の友達がいたんですが、その子が大学生のときに亡くなっちゃって。そのときに「Sink to the Bottom」(『Wonderer』収録)という曲を書いたんですけど、そのアンサー・ソングがこの「Hey...」なんですよ。期間は空いたけど、まだこうやってしぶとく音楽を続けてる誇りもあるし、でもやっぱりいなくなってしまった悲しみもあるし。そこに、昔音楽を頑張ってた自分はどこに行っちまったんだよっていう想いや、当時の誇りも重ね合わせて、聴いてる人たちに、自分の持ってる誇りを大切にしてほしいという想いを込めて書きました。
-タイトルを"TRICKSTER"にした理由は?
AbeKen:"TRICKSTER"は"二面性"という意味があって、いわゆるジョーカー的な意味があるんですけど、人間としての二面性、「Non-Fiction」はまさにそうで、コロナ禍で生まれたもうひとりの自分との葛藤であったり、自分自身の中に生まれる別の自分という二面性を歌ってるし、コロナ禍でしんどいと思いながらも続けていく矛盾とか、対になる気持ちが今作では表現されているので、そういう不安定なところとリアリティを込めて"TRICKSTER"にしました。
-こういう作品が完成して、手応えも十分なのではないでしょうか。
AbeKen:ようやくっていう感じですよね。ようやくここまできて、ここでこういう作品を出すことができて、あとはもうライヴへのわくわく感というか、期待しかないです。
FUJiTOR:ライヴができないときはどういう曲を作ればいいのか悩んだ時期でもあるし、『NewtroGrade』はあとになって、ちょっと物足りないなという気持ちもあったんですよ。だから次はもっとラウドに、もっと激しくライヴを想定したものを作ろうって決意ができたんですけど、それがようやくこうやって爆発できたかなと思います。
-リリース・ツアー("TRICKSTER TOUR")も楽しみですね。
YUYA:絶対に盛り上がる、確実にみんな楽しめるような楽曲になったので、ぜひぜひライヴハウスに俺らを目撃しに来てください。
FUJiTOR:今までよりもよりラウドに、なおかつキャッチーさも残る楽曲なので、ライヴでもぜひとも聴いてほしいです。絶対盛り上がるので、遊びに来てください。
koccy:今までの楽曲もちゃんと聴いてもらいたいなっていうのが正直なところで、それによって今までとは違う攻め方をした楽曲だと気づいてもらえると思うし、それを音源で聴くのとライヴハウスで体感するのとでは全然違うと思うので、これまでの曲も、このCDも聴いてもらって、ツアーに来てもらえたら嬉しいです。
AbeKen:いろんな二面性を抱えながらここまでやってきて、それをすべて曲にして、解放する瞬間がようやくやってきたと思ってます。バンドはライヴをやらないと死ぬと思ってるから俺らはライヴをし続けていくし、ライヴで一緒にこの曲たちをオーディエンスと一緒に作っていけたらいいなと思ってるので、ぜひ遊びに来てください。あと、盛岡と東京でレコ発をやって、ファイナルも盛岡と渋谷でやるんですけど、このファイナルがめちゃめちゃおもしろいことになってて、俺らとしても挑戦ではあるんで、期待しててほしいです。よくフェスで観る名前だなっていうバンドもいるし、東京で一緒にやるとは誰も想像しないでしょっていうくらいおもしろい組み合わせ、スペシャルな3マンを用意してるので、楽しみに待っててください。