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INTERVIEW

CHAOS CONTROL

2023.08.24UPDATE

CHAOS CONTROL

Member:Hiroyuki Kaneko(Gt)

Interviewer:杉江 由紀

レガシーを超えた新たなる歴史が今ここから生まれていく、ということだろう。前作『Call Of The Abyss』(2022年リリースの1stフル・アルバム)で約20年ぶりにCHAOS CONTROLを復活させたギタリスト Hiroyuki Kanekoが、あれから1年で今度は"The Legacy Within"というタイトルを冠した2ndフル・アルバムを完成させるに至ったのだ。前作同様にドラマーとしては摩天楼オペラの響が全面参加しているほか、今作はベーシストとしてRosana:miho、メイン・ヴォーカリストとしてSilexのYoungChoon Choが新たに参加し、CHAOS CONTROLはより強力化したメタル・サウンドを提示する存在へと進化。轟く温故知新なヘヴィ・メタルを堪能するがいい。


いかにも武骨なヘヴィ・メタル! っていう雰囲気の曲調にしたかった


-20年ぶりの復活作であった『Call Of The Abyss』に続いて、2ndフル・アルバム『The Legacy Within』がここに完成したわけですけれど、今回のインターバルは約1年ということでずいぶんと早く仕上がったことになりますね。もしや、前作を作られた段階で今作についてのヴィジョンもすでにお持ちでいらしたのでしょうか?

いや、それはまったくなかったです。去年出した『Call Of The Abyss』に関しては、まず制作体制自体が2002年にEP『Gathering Chaos』を出したときのメンバーというか、摩天楼オペラのドラマーでもある響さん以外は当時のままの編成で、ある種リユニオン的な感覚で作ったものだったんですね。それで、そのあと去年の終わりくらいにレーベルの方から"来年もまた作品を出さないか"という打診がありまして、そこから今年2月にかけて8曲くらいを一気に揃えて始まったのが今回の2ndフル・アルバム『The Legacy Within』なんですよ。「Evolution Divine」と「Hold In My Fear」の2曲は約20年前に活動休止することになった直前に作った曲で、それをほぼ当時と内容を変えずにレコーディングしましたけど、あとはすべて新曲なんです。

-なるほど。ずいぶんと短期間で曲作りを進められたようですが、方向性の面で"やりたいこと"もすぐに定まっていった感じだったのでしょうか。

前作の『Call Of The Abyss』に関しては、昔80~90年代に流行ったベイ・エリア・スラッシュとヨーロッパ系のパワー・メタルを融合させたい、というのが主なコンセプトだったんですよね。そしてさっきもお話しをさせていただいた通り、基本は2002年当時のメンバーで改めてやりたいというのも大きなテーマだったんです。ただ、今回の2ndに関してはヴォーカルの光永(敏典)さんが参加できない状況だったので、せっかくなら全パートとも今の自分がやりたいメンバーと作ろう、といった方針になりました。

-そうなりますと、名義としては前作も今作もCHAOS CONTROLとしての作品になりますものの、今作の成り立ちの過程は前作とかなり異なるわけですね。

もっとも、聴く側からするとたぶんそんなに違和感はないんじゃないかと思います。音としてはよりヘヴィになったかもしれません。特に、リズムの面でいくと今回は「The Legacy Within」や「Headbanger's Journey」、そして「Against The Evil」がいわゆるツービートで速さもある曲になっています。ヴォーカルもハイトーンなので、最近の音とは一線を画した質感の音になっていると思いますね。イメージとしては90年代とか2000年代初頭くらいまでの、いかにも武骨なヘヴィ・メタル! っていう雰囲気の曲調にしたかったんです。もちろん、そうは言っても変に古臭い感じにはしたくなかったので、モダンなテイストも少し入れてあります。そこのバランスも上手く取れました。

-その"いかにも武骨なヘヴィ・メタル!"な音を醸し出していくうえでは、メンバー選びも重要なポイントになっていったのではないかと思います。今作『The Legacy Within』を制作していくのにあたっては、どのように参加メンバーが決まっていったのかという過程についても教えていただけますでしょうか。

まず、ドラムの響さんについては1stのときまで話がさかのぼってしまうんですが、実を言うと当初は別のドラマーさんでレコーディングをすることが決まっていたんですよ。でも、どうしてもスケジュール調整ができなくて新しくドラマーを探さなきゃいけないとなったときに、真っ先に思いついたのが響さんだったんです。

-響さんとは以前から交流があられたのですか?

全然ありませんでした。というか、僕には音楽をまったくやっていなかった時期がありまして、そのときにYouTubeで響さんのプレイ動画をよく観ていたんですよね。それで、彼のチャンネルに"お仕事に関するお問い合わせはこちらから"って書いてあったのを見まして、『Call Of The Abyss』を作ろうとなった段階でぜひ叩いてもらえないだろうかと思い、声を掛けさせてもらったんです。それで連絡を取ってみたら、連絡を送ってすぐに、やっていただけると返事をいただけまして、そこからはトントン拍子で現在に至ってます(笑)。

-では、ベースのRosana:mihoさんについては?

mihoさんも、実は1stのときにも1回声を掛けさせてもらったことはあったんです。そのときは残念ながらタイミングが合わなかったんですけど、昨年末くらいにまたやりとりする機会があって、そのときに"来年またアルバムを出すことになったんですが、どうですか"という話をさせてもらったところ今回はタイミングも合い、やっていただけることになりました。

-なお、今回ヴォーカリストについてはSilexのYoungChoon Choさんがメイン・ヴォーカルとして、さらに前作に引き続いてNORTHTALE/TRAUMERのGuilherme Hiroseさんも3曲ゲストで参加してくださっているそうですね。

今年の2月にCHAOS CONTROLはSHIBUYA CYCLONEでライヴ("Metamorphosis of the Abyss")をやったんですが、Choさんとはわりとその直前にライヴを手伝ってくれているギタリストのMasaki(Papilio Effectus)さんからの紹介で出会いまして、ライヴにもゲスト参加してもらっていたんですよ。それで、そのライヴの感触がとても良かったので、今回の『The Legacy Within』ではメイン・ヴォーカリストとして歌ってもらうことになったんです。そして、Hiroseさんは前作でもゲスト参加してくれていたので引き続き今回も歌ってくれていますけど、Hiroseさんは経緯としては僕から歌っていただけないか打診をさせていただいたんです。

-つくづくHiroyukiさんは新規の人脈開発がお得意でいらっしゃるのですね。

得意......なんですかねぇ!? もとを辿ると、約20年前にCHAOS CONTROLとしてのバンド活動をやめた大きな理由のひとつが"探してもメンバーが見つからない"っていうことでしたから。音楽活動を休止するのにあたってはそれ以外の事情も絡んではいましたけど、やっぱり自分から動いて見つけないことには始まらないっていうことをそのときにすごく感じたんですよ。だからCHAOS CONTROLとしての活動を再開させて以降は、とにかく"この人とやってみたい"と思ったらまずはその意思を伝えて、ダメならダメでそのときに考えよう、といったスタンスでやっています。

-その点、20年前だと人材を探すには人づてかライヴハウスを回って探すのが主だったかと思いますけれど、現在はSNSや動画サイトなど便利なツールを使えるところがかなり利点かもしれませんね。

本当にそれはすごくありますね。そういう便利なものがなかったら、たぶんこのプロジェクトは実現してなかったです。響さんなんて、僕が現役だった頃はまだ小学生くらいだったはずですし(笑)。まずは音楽を作りたいという気持ちから始まって、こうしていい出会いに恵まれたというのはすごく幸せなことだと感じてます。