INTERVIEW
GARUDA
2023.07.19UPDATE
2023年07月号掲載
Member:崎村ゆふぃ(Vo)
Interviewer:杉江 由紀
"GARUDA"とはインド神話に登場する半人半鳥の存在に付けられた名前であるという。アイドル・グループ めろん畑a go goの崎村ゆふぃとして活動する一方、インダストリアル・メタル×アイドルの概念をセルフプロデュースで具現化してみせているGARUDAは、まさにキメラ的な特異性を持ったアーティストであると言えるのではなかろうか。このたび7月26日に発表されるEP『#GARUDA』では、不穏なほどに尖った音像と刺々しい言葉の並んだ詞世界が聴き手に対して突きつけられることになるが、そこから感じられる気迫はまさに本物。すべての怒りと哀しみを浄化させるべく地上に舞い降りたGARUDAは、きっと混迷の現世を救うメシアになりうる。
殴り込みたいのは世の中です
-6月で6周年を迎えたGARUDAは、このたびEP『#GARUDA』を発表することになりました。そして、今作では始動当初から歌い続けてこられたコンセプト・ソング「#GARUDA」が表題曲として初音源化されたという点が重要ポイントのようですね。
3年前に1stミニ・アルバム『The Battle Of Nightmares』を出したときは、始動当初から歌ってきた曲たちよりも、その当時にできた新しい曲のほうを先に世に出したいという気持ちが強くあったんですよね。あのときはあのときの自分をできるだけそのまま表現したかったんです。ただ、そこからまたちょっと時間が経った今回は、初期からずっと歌ってきた「#GARUDA」と改めて向き合って、それを音源としてかたちにしたいと思って作ったのが今回のEP『#GARUDA』なんです。
-なお、GARUDAとは公式プロフィールによると"日本発のインダストリアルメタル×アイドル。崎村ゆふぃによるセルフプロデュースのソロワーク"になるのだとか。また、公式Twitterのプロフにも"アイドル界からインダストリアルメタルで殴り込み"との記述が見られます。そのことを踏まえたうえでEP『#GARUDA』を聴かせていただきますと、前作『The Battle Of Nightmares』よりもインダストリアル・メタル度合いは格段に激化している印象です。これは意図してのアプローチということになりますか。
そうですね。今回の『#GARUDA』はGARUDAの根源を改めて提示した内容になっています。今振り返ると、前作『The Battle Of Nightmares』は初期の楽曲たちに比べて少し柔らかめの音で構成された1枚になったかなと思います。今回は6周年を迎えたGARUDAとして原点に立ち戻って、初期の楽曲たちを今だったらこういうふうに表現するなと思うことを音にできました。正直なことを言うと、前は自分自身でも"GARUDAとして歌うって、どういうことなんだろう?"って模索していたところがあったんです。でも、あれから2018年にはめろん畑a go goに入ってそこでも活動するようになったり、2019年にはGARUDAでイギリスに行かせていただいたり("Indie, Idol and Infamous")、いろんな経験をして"GARUDAとして歌うこと"の意味がわかってきたんです。6年の月日が経ってずっと歌い込んできた今だからこそ、ようやく出せるようになったGARUDAとしての色を、ここでは出せたと思います。
-つまり、GARUDAが『#GARUDA』の世界を本当の意味で描き出すためには6年の月日が必要だったということなのですね。
時間はすごくかかっちゃいましたけど(笑)、きっとそういうことなんです。
-ちなみに、先ほども触れさせていただいた公式Twitterのプロフの"アイドル界からインダストリアルメタルで殴り込み"という記述についてなのですが、この文章には"どこに殴り込みたいのか"という部分は含まれていません。GARUDAが殴りみたいと考えているのは、具体的に言うといかなるフィールドになるのでしょうか。
ざっくり言うと、殴り込みたいのは世の中です。言葉にすると対象としてはめちゃくちゃ大きいものになっちゃうんですけど(笑)、GARUDAにとっては世の中にある垣根とか壁って邪魔だなぁって思うことが多くて。もともと私はバンドの音楽しか聴いてこなかった人間で、そこからももクロ(ももいろクローバーZ)やでんぱ組.incを好きになって"どうしても自分もアイドルになりたい!"って思うようになったんですよ。だから、初めはキラキラしたアイドルになるはずだったのが、やっぱりGARUDAをやってたっていう感じなんです(笑)。
-ご自身の原体験をアイドルとして突き詰めていくことになったわけですね。
自分にとってはこれが自然な流れだったんだと思います。アイドルもバンドもどちらも尊いからこそ、そういう垣根や壁を壊したいんです。
-それこそ、ももクロやでんぱ組.incがブレイクした時期あたりを境に、今では各ロック・フェスにアイドルが出演することも普通になっているように思います。それでも、まだ一方では垣根や壁のようなものを感じる現実があるとはシビアですね。
よく言われるのは"アイドルだけどステージ・パフォーマンスがすごかった"、"アイドルっぽくないから面白い"みたいな言葉で、おそらく言う側からすると褒めてくださってるんだとは思うんです。でも、そういう垣根や壁みたいなものは関係なく、すごいものはやっぱりすごくて、カッコいいものはやっぱりカッコいいんだってなってもらえたらなと思います。
-GARUDAは、そんな世の中に風穴を開けようとしているということですか。
私は"ゆふぃって、めろん畑a go goのほかにバンドでも活動してるよね"って言われることもあるんですよ。だけど、GARUDAでライヴをバンド・セットでやるのって自分の生誕とレコ発のほんとに特別な日だけなんです。そういう意味でいうと、GARUDAってサウンドはすごくヘヴィにこだわりつつスタンスとしてはアイドルとしてやってるつもりなので、GARUDAはそういう世の中の思い込みと闘ってきています。
-ところで。先ほど"私はバンドの音楽しか聴いてこなかった"との発言がありましたけれど、ここで少しゆふぃさんが過去にどのような音楽を聴いてこられたのかというお話をうかがってもよろしいでしょうか。
一番最初に"カッコいい!!"って思ったのはMARILYN MANSONです。そこからRAMMSTEIN、NINE INCH NAILS、ROB ZOMBIEとか洋楽をいろいろ聴くようになりました。
-もちろん、いずれもリアルタイムで知られたわけではありませんよね?
全然リアルタイムじゃありません。たまたまYouTubeでライヴ映像やMV観て衝撃を受けたんですよ。それまではのほほんと生きてたアニメ好きのヲタクだったんですけど、とにかくMARILYN MANSONに出会ってビックリしちゃって(笑)。
-いきなり触れたのがMARILYN MANSONだったとは......その衝撃はお察ししますよ(笑)。
RAMMSTEINにしても、日本に来ないから生のライヴは1回も観たことないんですけどね。でも、顔を真っ黒にして火炎放射器ぶっ放してるライヴ映像とか観てると"同じ地球に生きてるはずなのに、これは異界の人種なのか!?"って感じるほど衝撃的でどハマりしちゃったんです。