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INTERVIEW

AS I AM

2023.07.06UPDATE

2023年07月号掲載

AS I AM

Member:Shiro(Vo) Yuki(Gt) Kenta(Ba) Ko(Dr)

Interviewer:フジジュン

4~5年前から頭の中にあったイメージがやっと形になった


-7月5日のアルバム配信リリースと同時に、リード曲である「FIRE」のMVも公開されました。このアルバムを象徴する、めちゃくちゃカッコいい曲になりましたね。

Yuki:もともと、「理想」と「Fight song」をシングルで出す予定で準備していて、同じ日にミックスしてたんですけど、そのタイミングでShiroが「FIRE」を持ってきて、"これはヤバイね!"って話になって。それくらいのタイミングからアルバムを意識し始めていたので、"1曲目のイントロを挟んで、アルバムのオープニングに「FIRE」を持ってきて、エンディングに「Fight song」を持ってこよう"という流れが見えたんです。

Shiro:僕、20歳くらいのときにAVICIIとか全盛期の歌モノのEDMをめちゃくちゃ聴いていて。このバンドを始めてから、EDMとか海外のポップスを昇華したロック・バンドをずっとやりたかったんです。でも、その頃はEDMを混ぜる力がなかったし、そういうことをやってるロック・バンドってFear, and Loathing in Las VegasとかARTEMAとか、ラウドやピコリーモと言われるようなバンドがいて。僕らもライヴキッズだったので大好きだったんですけど、僕がやりたかったのはそういう感じじゃなくて。俺の好きな海外のEDMを表現したようなバンドが頭の中にはあるんですけど、そんなバンドはまだ日本にいなかったんですよ。

-まだ誰もやっていない、理想のバンド像が頭の中にはあるけど、それを形にする力もないというもどかしさがあったんですね。

Shiro:そうですね。簡単に言うと、海外のポップ・アーティストってライヴのときに生バンドを呼ぶんですよ。僕はそのときに演奏するような、EDMの同期を主体としてラウドが前に出てこないような、ポップスとEDMが混ざったサウンドがやりたかったんですけど、そのときはミックスや作曲の実力がなくて。理想に近づけるように日々勉強して、少しずつ進化しながらやってきたんですけど、「FIRE」を作ってたときに"あれ? 俺、今だったらEDMの曲作れるな"と思って。「SAYONARA」とか「Fight song」も、若干フィルターのかかったEDMサウンドが入ってるんですけど、それはアルバムを作りながら気づいてしまったことを取り入れてて。それらを作ってるとき、"あれ? もう1個上に行けるな"と思っていたのもあって、「FIRE」ができたときに自分たちの進化にはっきり気づけたんです。

-紙資料にあるShiro君のコメントに、"完全に新しい僕たちの意思表示で、聞いたことのないバンドの形を表現できた1曲になりました!"とありますが、話を聞いてその意味がよくわかりました。「FIRE」におけるバンドの進化は、ずっと自分の頭の中にあったものを具現化することができたということだったんですね。

Shiro:その通りです。曲のイメージは4~5年前から頭の中にあったんですけど、できなかったんです。それがやっと形になったという感じですね。

Yuki:「FIRE」の打ち込みの音やEDM的なサウンドはShiroが作り込んで、各々が自分らの楽器をアレンジしたんですけど。Shiroが提示した音に対して、上手く馴染む音作りやフレーズを繰り返し話し合いながら練り込んでいって。だいぶ時間をかけてやりました。

Shiro:相当注文多いですからね、僕(笑)。それも夜中にひとりずつ電話して、"もしもし、いくよ。♪デデデデ、デデデデ。はい、弾いて"ってやっていくんですよ。

-あはは。だったらPCでデモを打ち込んで送ればいいじゃないですか! なんでそんな大事なところでアナログなんですか(笑)!?

Shiro:それは面倒くさいというか(笑)。口で説明して、それぞれのアイディアを加えて、その中間のいい塩梅を探したいんです。

Kenta:それを聴いてフレーズを作るんですけど、どうせダメ出しが来るのはわかってるんで。僕は2~3パターン作って、"どれがいいか選んで"みたいなことが多いです。

Shiro:でもそういう作業を繰り返すなかで、みんながめちゃくちゃ進化してるっていうのも、アレンジをお願いしたときに返ってくる音でわかったんで。自己肯定するみたいですけど、僕のダメ出しはちゃんと意味があったんだなと思って(笑)。

Ko:僕は「FIRE」は、ライヴでのパフォーマンスをすごく意識してアレンジしていった曲なので、ぜひライヴで観てほしいんです。一番盛り上がる曲になると思います。最初EDMのビートが来て、僕のできるアレンジでドラムのフレーズを寄せていくっていう作業で作り進めていったんですけど。

Shiro:うちのドラムはロック・バンドのドラムじゃないよね?

Ko:じゃないですね(笑)。そのへんはブレイクを聴いてもらえればわかると思うんですけど。そこからどんどんライヴを意識して、"ライヴでこれやったらカッコいいんじゃないの?"って話し合っていって。ライヴでの熱量は期待しててほしいです。

Shiro:「FIRE」に限らず、EDMとかヒップホップとか、USやUKの最先端を取り入れていて。現在だとUKドリルとか、キックの打ち方とかがロックとはかけ離れてるんですけど、そういうビートを自分で打ち込んで、"これに合わせてドラムをつけて!"って渡して。ビートを流しっぱなしでドラムをつけると、ヒップホップ的な跳ね方が乗ったりすることが多いんです。Koはバンドのドラムじゃないことをむちゃくちゃやってるんで、あまり他にいないタイプのドラマーになれるんじゃないか? と思ってるし。ぜひ、生で観てほしいです。

-そこで打ち込み頼りにしないで、生の音にこだわってるところもAS I AMの特徴だし、Ko君のドラムがものすごい強い武器になっていきそうですね。では、それぞれアルバム収録曲で特に思い入れの強い曲を聴かせてもらえますか?

Kenta:僕は「SAYONARA」ですね。ほとんどの曲をShiroが作詞するんですけど、この曲は初めて"作詞やってくれない?"みたいに頼まれて。

Shiro:基本、歌詞とメロディは自分でやるんですけど、曲数が多くなると、テーマを変えても同じ言い回しや表現になっちゃうので。Kentaはバンドの中だと静かなんですけど、独特な視点と言語化能力があると思ってて。"歌詞を書かせてみたら面白いかな?"と思ってお願いしたら、普通にいい歌詞ができて驚きました。そこから僕が半分くらい書き換えてはいるんですけど、土台はKentaが書いた曲です。

Kenta:僕、本を読むのが好きなので、普段からこっそりポエムとかを書いてて......。

Yuki:え、そうなの!? 知らなかった!

Kenta:その日に思ったこととかを短文でメモに取ってたりするので、それを上手く組み合わせて書いた感じでしたね。ただ、優柔不断なので"これだ"って決めるのが苦手で。長文とか完成に至る前に諦めちゃうタイプなんですけど、今回はお願いされたので最後まで書き上げました。

Yuki:僕は1曲に絞るのはすごく難しいんですけど、強いて挙げるなら「君と」ですね。アルバム制作の最後の最後に作った曲なんですが、最初はアルバムをイントロも入れて10曲にしようと思ってて。「FIRE」とか、曲を量産していた時期にはなかった曲だったんですが、"最後に1曲作ろう"って作り始めて、ミックスの最終日を迎える直前まで音を足したり引いたりして、最終日にミックスをして完成したんですが。「理想」のときもそうだったんですけど、僕、自分が作った曲にShiroの歌詞が入ると、泣かされそうになっちゃうんです。

Shiro:本当に? なんで言ってくれないの(笑)?

Yuki:夜、歌詞が上がってきて、ベランダに出て外の空気を吸いながら聴いたんですけど。夜のセンチメンタルな気持ちになってるとき、こういう歌詞を出されて"この曲、作って良かった~。これだから作りがいあるな"と思ったし、涙がちょちょ切れそうになって......この曲の歌詞のテーマというか世界観は、自分たちのリアルがそのまま描れていて。ここまでのリアルがあったから、歌詞を見ると余計に泣きそうになるんです。

Shiro:あ~、理解してくれてたんだ。そういうのは曲を渡したときに伝えてよ! 俺、自分との戦いをずっとしてるから、そういう言葉を聞くだけでやる気が出るんだから(笑)。まさに「君と」の歌詞はバンドのメンバーに向けて書いてるんですけど、前のギターとベースがやめて、Yukiが入って、KentaとKoが入って、今のスタイルになってというのを順に追った物語になってて。

Yuki:僕はShiroの次にこのバンドに長くいて、同じ道を辿ってきているので、最後の最後にこの曲ができて、かなり食らいました。あと、曲のグルーヴもめちゃくちゃこだわって。要所要所でノリが違ったりするんですけど、そこも最後の最後まで練って作って。力尽きるまでやれました。

Ko:僕は「Fight song」ですね。どれも思い入れのある曲ばかりなんですけど、ライヴでやっと声を出せるようになったのもあって、コロナ禍で沈んだ気持ちをブチアゲてくれる曲がこのタイミングでできたので、嬉しかったです。レコーディングでみんなで歌ったのも楽しかったし、お客さんと一緒に歌える曲ができたのも嬉しいし。リリースして、ライヴでどんどん育っていくのが楽しみです。

Shiro:聴き手に想像させる歌詞が多い中、「Fight song」は"これは君が大丈夫だと証明する歌"って言い切っていたり、"このまま時が経てばきっと~"って歌詞は4回、同じことを繰り返し歌ってて、それだけ聞いてほしいってことだし。"君が大丈夫だ"と証明する歌になってほしいし、そう思ってもらえるバンドになりたいという、ストレートな思いをぶつけた曲なので、みんなに伝わってほしいですね。

Yuki:そう、僕らもともと英語の歌詞ばかりだったんですけど、去年くらいからずっと日本語で歌ってて。今回のアルバムはこれまで以上に日本語で歌っているから、ライヴハウスでは日本人のお客さんがシンガロングしてくれるだろうし、外国の方も日本語が好きな人が多いと思うのでたくさん聴いてほしいし。リスナーの規模が広がって、シンガロングの大きさも変わっていって、どんどん成長していく曲だろうなと思っています。

-今、海外での日本語歌詞への評価も変わってきてるんですよね?

Shiro:そうですね。アニメの影響が大きいと思うんですけど、日本語がカッコいいみたいな風潮もあって。今、俺がアニメーションMVの勉強もしてまして。アルバムの中のどれかの曲を、アニメーションMVで仕上げようとも思っています。

-すごいな、常に最先端を行ってますね! そんなShiroさんの選ぶ1曲は?

Shiro:僕は「Re:」ですね。バラード調から激しくなっていく、感情を引き立てる構成とか、サビに行くと思ったら、置いていく場所があったり。曲の中に細かい伏線を入れるのが好きで、気づく人はほとんどいないと思うんですけど。1サビの前に鳴っている時計の音が、2サビでバンドサウンドが入る時は倍テンで鳴ってて。時間が進んでいるっていうのを表したりしていて。この曲に限らず、細かい音を結構入れていたり。バラードって普通、歌詞に注目すると思うんですけど。展開や構成も結構、面白い曲になっているので。ただのバラードじゃないってところが、気に入ってます。

-そんな思いの強い曲が揃ったアルバムを掲げたリリース・ツアー"1st Full Album『AS YOU ARE』Release Tour"も控えてます。

Shiro:はい。今までにないくらい気合入っていて、照明も海外ポップスのライヴのイメージでド派手にしたくて、専属の方を入れようと考えてたり。これまでやってこなかったような演出も、細かくやっていきたいなと思っています。僕が映像とかもやり始めて、よりクリエイティヴなことを意識するようになって、歌と演奏だけじゃなくて、観る人が飽きないような演出や映像まで考えるようになってきているので。このツアーは特に気合を入れて臨みたいと思っているので、期待してください!