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INTERVIEW

AINSEL

2023.06.01UPDATE

2023年06月号掲載

AINSEL

Member:Riku.(Vo) Hiro(Gt) Yuji(Ba) You(Dr)

Interviewer:杉江 由紀

8曲全部がリード曲ですよって意味での"EIGHT"


-それから、アルバム『EIGHT』の冒頭を飾っているのは「nonsense」という楽曲ですが、これを幕開けに持ってきた理由についてもぜひ教えてください。

Hiro:これも僕が詞を書いている曲なんですが、内容的に、このアルバムの中で最も聴いてくれている側の背中を押すようなものになっているので、今回はそのメッセージを最初に伝えたいなっていう気持ちで1曲目にしました。頑張ってるんだけどくすぶってしまっている人とか、何かに悩んでいる人を元気づけるには、おそらく「nonsense」みたいな曲がいいんじゃないかと思ったんです。ちなみに、以前(2022年)この曲は配信リリースをしているんですけど、今回のアルバムに入れるのにあたってはリアレンジをしてます。それによって、サウンドにインパクトが加わったことも1曲目にした理由のひとつですね。

-「nonsense」で聴ける圧の高いバンド・サウンドは、迫力たっぷりです。

Yuji:この曲ではすごく自分の好きな感じのベースを弾けました。ライヴでやってても楽しい曲になってますね。

You:僕はライヴでこの曲を叩いてるとき、たぶん顔面がかなりグシャグシャになってるはずです(笑)。しばく系のオラオラなドラムを叩いてます。

-「nonsense」は、シーケンス系の上モノ要素も多分に入ったサウンドメイクになっていますけれど、ギターとそれらの位置関係やメソッドについて、Hiroさんはどのように考えていらっしゃるのでしょう。

Hiro:シーケンス系の音は、主にヴォーカルの歌う主旋律に対しての、裏メロ的なオブリガードとして使うことが多いんですよ。自分のギターの音に関しては、やっぱりバンド・サウンドを作っているという前提がありますから、上モノとしてではなくバンド・サウンドの中の大事な要素として捉えています。

-この「nonsense」に限ったことではありませんけれど、結局のところAINSELの放つサウンドはたとえそれが整理されたものであったとしても、かなり圧も濃度も高いものになっているように思います。これだけの音の塊たちと向き合っていくとなると、Riku.さんは相当な体力と気力が要求されることになるのではないですか?

Riku.:あはは(笑)。でも、そのぶんこの音を聴くとイントロの時点から自分的にもスイッチが入るので、自分自身も強くなれる感覚があるんですよ。だから、歌うときにはまったく音に負けそうみたいな気持ちになることはありません。むしろ、この音と連動してガッツリと歌っていけるくらいの感覚があります。

-「nonsense」の歌詞からは、近年の停滞していた世の中の状況に対する視点や、そこから脱していこうとする意思を感じることができますが、Hiroさんがここに込めたのはリアルな感情や想いになりますか?

Hiro:リアルタイムな感情はすごく入ってます。きっと、そういう歌に対しては、聴いてくれる側も共感してくれるところが多いんじゃないかと思いますね。

-なお、AINSELの抱く率直でまっすぐな想いは、その曲タイトル通り「message」にもしっかりと託されているようですね。

Riku.:コロナ禍でたくさんのツアーをやっていたときに感じたことを、ここではそのまま歌ってます。みんながなかなかライヴハウスに来にくい状況になったとき、それでもバンドに会いに行きたい、ライヴを楽しみに行きたいって想ってくれているファンの方々がたくさんいることを痛感して、改めて私たち自身も、"ライヴハウスが好き"という気持ちを強く持つことになりましたからね。AINSELから今みんなに一番伝えたいメッセージを、ここに詰め込んだんです。

-その他にも、今作にはアニソンになってもおかしくなさそうなくらいにキャッチーな歌詞と、Riku.さんの自伝的な歌詞が強い説得力を持っている「RUNWAY」や、アコースティック・ギターの音をフィーチャリングした「ロンリー」、某イオン飲料のCM曲に起用されてほしいほどの爽やかさに溢れた「アオハル」、かと思うとラウド感のある音が豪快に響く「if」ときて、終盤は未来への希望を歌ったミドル・テンポ曲「明日へ。」と、キラキラしたアッパーチューン「プロローグ」で締めくくられることになります。この『EIGHT』というアルバムは実に聴き応えのある作品に仕上がったようですね。

Hiro:このアルバムは、ライヴのセットリストを組むのに近い感覚で曲順を構成したところがあって、特に最後の2曲「明日へ。」と「プロローグ」はこの流れを大事にしたんです。最後が湿っぽい感じになるのは寂しいじゃないですか。だから、いったんは「明日へ。」で終わるんだけど、そこからアンコール的な感じの「プロローグ」に繋がるという流れにしてあるんです。"プロローグ"はひとつの物語が終わって、また新しい物語が始まりますよという意味での"序章"なんですよ。

Yuji:「プロローグ」はファン投票第1位的な人気のある曲だけに、このアンコール的な位置に入れることができて良かったです。

-なお、今作は9曲入りだけど"EIGHT"ですよね。このアルバム・タイトルについても少し解説をお願いできますか?

Hiro:めちゃくちゃぶっちゃけると、本来は8曲入りで"EIGHT"にするつもりだったんです。でも、制作の過程でAINSELとしては珍しいアコースティックな「ロンリー」ができたので、せっかくだからアルバムに入れようかとなり計9曲になったんですよ。結果的に言うと、このアルバムはメッセージ性の面でも音楽性の面でもかなり濃い内容になってますし、結構激しい曲も多いんで、中盤に「ロンリー」を入れることによって、ティー・タイムみたいなひと息をつける役割をしてくれることになりました。それだけに「ロンリー」は、完全な1曲というよりはサッカーで言うとハーフ・タイム的なものとして捉えているので、アルバム・タイトル自体は、変わらず8曲全部がリード曲ですよって意味での"EIGHT"にしてあります。

-そんな『EIGHT』のリリース後にも、AINSELはツアー([AINSEL 3rd ALBUM " EIGHT " RELEASE TOUR 2023])に出ることになるそうですが、ここからのライヴに向けては今どのようなヴィジョンを描いていらっしゃいますか。

You:まさに『EIGHT』の内容もそうなんですけど、AINSELは1枚のアルバムとか1本のライヴの中に激しい要素やドラマチックなところといった、いろいろなものを表現していくことができるバンドなんですよね。だから、今度のツアーでも1本ごとに、そういう展開の多さをみなさんに楽しんでもらえると嬉しいなと思ってます。

Yuji:自分自身でも感じるのは、AINSELって回を増せば増すほどライヴが良くなっていくバンドなんですよ。実際、毎回ライヴのあとには、次に向けてどうすればさらに良くなるかメンバーみんなで打ち合わせもしてますし、ライヴをすごく大切にしているバンドなので、きっと今度のツアーも、"その日ごとが特別"ってライヴを日々やっていけるんじゃないかと思ってます。

Hiro:うちのライヴって、とにかく一生懸命なんですよ。毎回メンバーみんながグシャグシャになってやってるし、終わると真っ白な状態になっちゃうくらいで、来てくれた人は、みんな僕らの混じりっけなしに一生懸命なところを感じてもらえるはずなんです。そして、そんなライヴを観たみんなが"AINSELがこれだけやっちゃってるんなら、自分たちも行っちゃおうぜ!"みたいな臨場感を味わってくれたり、一緒にシンガロングしたいって思ってくれたりしたら、僕はバンドマンやってて良かったな、最高に幸せだなってきっと感じるんじゃないかと考えています。ぜひ遊びに来てください!

Riku.:このところはライヴに関する規制もだいぶ緩和されてきていて、みんなも声を出せるようになったり、好きなところで好きなように観ることができるようになったりしてきているので、この3年間できなかったことやみんなが我慢してくれていたことを、今度のツアーでは実現していきたいです。もちろん、『EIGHT』の新曲たちもしっかり届けていきます。みんなで歌ったり、好きに騒いで、全身全霊で汗かいて楽しみましょう!